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2022.10.13

メタボは単なる肥満じゃない?メタボの基本と予防・改善するためのポイントを解説


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健康診断で“メタボ(メタボリックシンドローム)”と指摘されたものの、単なる肥満だからと放置している方はいませんか?メタボは単なる肥満ではなくさまざまな病気のリスクをもっていることから、病気になる前に、できるだけ早く生活習慣を見直すことが大切です。

そこで今回は、メタボについての基本と予防・改善するためのポイントを解説します。

そもそも“メタボ”って何?

“メタボ”とは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧、高血糖、脂質代謝異常が重なった状態のことをいいます。単なる肥満ではなく、放置すると動脈硬化の原因となり、心臓病や脳卒中につながるリスクが高まるため、なるべく早く予防・改善できる生活習慣を意識することが重要です[1]。

なぜメタボになる?メタボの仕組みを解説

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メタボの状態を招く最大の原因は内臓脂肪の蓄積です。内臓脂肪は腸の周りに蓄積している脂肪のことであり、中性脂肪として体内にエネルギーを貯蔵する役割がありますが、必要になった際に分解されてエネルギーとして利用されます。しかし、過剰な内臓脂肪の蓄積は高血圧、高血糖、脂質代謝異常を引き起こしやすくなることがわかっています。つまり、メタボを予防・改善するためには、その原因となる内臓脂肪の蓄積を解消する必要があります[1]。

では、内臓脂肪の蓄積を改善するためにどのようなことに気を付けていけば良いのでしょうか。

メタボを予防・改善するための食事のポイント

内臓脂肪の蓄積は食べ過ぎ(カロリーオーバー)が原因の一つであるため、食べる量を減らし、食事内容や食べ方を工夫することがメタボを予防・改善するために重要となります[2]。

次に、食べ過ぎないためのポイントを3つご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

(1)摂取エネルギー(カロリー)に注意する

摂取エネルギー(カロリー)が消費エネルギー(カロリー)よりも上回ってしまうと、消費されず残ったカロリーは脂肪となって蓄積していきます。これを防ぐためには、自分に必要なカロリーを把握し、必要なカロリーを超えないように食事量を調節することが大切です。年齢、性別のほか、運動量などによって異なりますので、あくまでも目安にはなりますが、国が定めている1日の推定エネルギー必要量は、次の表のようになります。

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また、食事以外の間食やお酒からとっているカロリーも意識をしないととりすぎてしまう恐れがあるため、食事以外にとる飲食物も注意していきましょう[3,4]。

(2)食物繊維の多い食品を摂取する

食物繊維は野菜類、果物類、豆類、穀類、きのこ類、海藻類といった植物性食品に多く含まれている体内で消化・吸収されにくい食品成分で、メタボの予防・改善への効果が期待されています。現代の日本人は食物繊維が不足しがちといわれているため、積極的にとりたいですね。

食物繊維の摂取量を増やすためには、いつものごはんを白米ではなく雑穀米に置き換えたり、汁物も野菜やきのこ、海藻などを入れて具沢山にしたりするのがおすすめです[5]。

さらに、野菜や果物の摂取とメタボのリスクとの関連を検証した研究によると、野菜や果物の摂取量が多いとメタボのリスクを下げる可能性があるようです。これはいくつかのメカニズムがあり、野菜や果物に含まれるビタミンやミネラルが高血糖などの改善に役立つと考えられています[6]。

野菜の摂取も不足しがちといわれているため、いつもの食事に野菜のおかずを追加するなどして野菜の摂取量も増やすと良いでしょう。

(3)よく噛んでゆっくり食べる

近年の調査によると速食いの習慣があると肥満になりやすいことがわかってきています。戦前に比べると噛む回数や食事の時間が減ってきているため、現代の食事は速食いや食べ過ぎになりやすいと考えられます。

そのため、食事はよく噛んでゆっくり食べることも大切です。よく噛むためには、テレビなどを見ながら食べるのを避けて食事に集中する時間をできるだけ確保するようにしましょう。また、根菜類などの噛み応えのある食品を取り入れることで噛む回数を増やせますよ[7,8]。

メタボを予防・改善するための運動のポイント

運動不足も内臓脂肪の蓄積の原因となるため、運動習慣をつけることも大切です。メタボの予防・改善に効果的な運動のポイントをみていきましょう[9,10]。

有酸素運動のポイント

内臓脂肪を減らすためには、少なくとも週あたり“10メッツ・時”以上の有酸素運動が必要といわれています。10メッツ・時以上の運動とは、ウォーキングを毎日20分程度行うことと同じくらいですが、仕事や家事で忙しくまとまった時間が取れない場合もあるかもしれません。
運動はまとめて行っても何回かに分けて行っても効果に差がないため、まとまった時間を取るのが難しい場合は隙間時間を有効に使って運動をすると良いでしょう[9,10]。

座りがちな人はできるだけ活動量を増やしていこう

座っている時間とメタボのリスクの関連を調査した研究によると、座っている時間が長い場合はメタボのリスクが高くなるといわれています。逆に、座っている時間を制限するとメタボのリスクが低下する可能性もあるようです。このことから、メタボを予防するためにはできるだけ座っている時間を減らすと良いでしょう[11]。

現在は、新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークが普及したことで外出の機会が減り、座っている時間が長くなっている方もいらっしゃるかもしれません。普段、運動していない場合は、突然激しい運動をするとけがのリスクが高まりますので、ウォーキングなど軽い運動からはじめて少しずつ運動強度を上げていきましょう。運動する時間を作れない場合は、家事を積極的に行うなどして少しでも活動量を増やしていくことが大切です。

気になったら健診を受けよう

今回はメタボの予防・改善のポイントをお伝えしましたが、1つでも取り組めそうなことは見つかりましたでしょうか。お腹周りが気になる、お腹がぽっこり出てきたと思ったらまずは特定健診を受けてみましょう。特定健診でメタボに該当したら、医師や保健師などから生活習慣の改善に向けてサポートを受けることができます。一人で取り組むのが難しい場合は、特定健診・特定保健指導を上手に利用しながら、改善に努めてみてくださいね。

【参考文献】(すべて2022年8月6日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1]厚生労働省:e-ヘルスネット|メタボリックシンドローム(メタボ)とは?(2021年)

[2]厚生労働省:e-ヘルスネット|メタボリックシンドローム改善のための基本戦略(2019年)

[3]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)

[4]厚生労働省:e-ヘルスネット|肥満と健康(2019年)

[5]厚生労働省:e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康(2021年)

[6]Y Tian, et al. Fruit and vegetable consumption and risk of the metabolic syndrome: a meta-analysis. Public Health Nutr,2018 Mar;21(4):756-765.

[7]厚生労働省:e-ヘルスネット|速食いと肥満の関係-食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」(2020年)

[8]農林水産省:みんなの食育|ゆっくり食べる

[9]厚生労働省:e-ヘルスネット|内臓脂肪減少のための運動(2019年)

[10]厚生労働省:健康づくりのための身体活動基準2013

[11]CL Edwardson et al. Association of Sedentary Behaviour with Metabolic Syndrome: A Meta-Analysis. PLoS One,2012; 7(4):e34916.

【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘

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短大を卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて、海外の論文などの情報を取り入れ科学的根拠をもとにコラムを執筆している。

公式ブログ「幸せ食ライフ|管理栄養士 一ノ木菜摘ブログ」 ※外部サイトに遷移します

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記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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