2022.07.08
低糖質ダイエットで痩せない人の3つの特徴
さまざまなダイエットのなかでも、“低糖質ダイエット”は最も人気があるダイエット方法の一つです。おそらく、一度はチャレンジをしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一方、“低糖質ダイエット”を実践する人のなかには、“糖質は悪物”という誤った認識を抱き、正しくない方法で実践している人もいるようです。誤った低糖質ダイエットは、痩せないだけではなく、健康に悪い影響を与えてしまう恐れがあります。
そこで今回は、低糖質ダイエットで痩せない人の3つの特徴と糖質の上手な付き合い方を管理栄養士が解説していきます。
今さら聞けない “低糖質ダイエット”の基本
“低糖質ダイエット”は、ごはんやパン、麺類などの糖質を多く含む食品の摂取量を減らすことで摂取エネルギーを減らすダイエット法のことです。
そもそも“糖質”とは、人が消化吸収できる炭水化物のことで、私たちの体にとって大切なエネルギー源です。炭水化物は、たんぱく質、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、それぞれが健康に生きていくために大切な役割を果たしています。
しかし、糖質は大切な栄養素である一方、とり過ぎると中性脂肪の蓄積を招き、肥満や生活習慣病につながる恐れがあることも事実です。これが、大切な栄養素であるにも関わらず、“糖質は悪物”というイメージが先行する所以ではないでしょうか。
低糖質ダイエットは、“糖質は悪物”というイメージにとらわれず、正しい方法で実践することが大切です。誤った認識で実践していると、かえって痩せにくくなる恐れも。次項からは、低糖質ダイエットで痩せない人の3つの特徴をお伝えしていきます[1, 2]。
低糖質ダイエットで痩せない人の3つの特徴
(1)主食以外でエネルギーを摂り過ぎている
“低糖質ダイエット”で痩せない人は、糖質を多く含むごはんやパンなどの主食を減らしても、肉や魚などのたんぱく質や脂質の多い食品を摂りすぎている可能性があります。糖質だけではなく、たんぱく質や脂質にもエネルギーがあるため、いくら主食を減らしても、たんぱく質や脂質の多い食品を摂りすぎるとエネルギーは過剰になります。糖質だけではなく、食事全体のバランスを意識しましょう。
また、間食にも目を向けることが必要です。お菓子やジュースなどの飲み物にも糖質が含まれているため、摂りすぎるとエネルギーが過剰になる恐れがあります。間食は、一般的に1日に200kcal程度が適量と言われていますが、1日に摂取するエネルギーを超えないように量を調節しましょう[3-5]。
(2)長く続けられず、短期間で諦めてしまう
低糖質ダイエットを検証した研究によると、6〜12ヵ月間で体重減少が期待できることがわかってきていますが、12ヵ月以上になると続けられない人が増加するようです。せっかく減量できたのにも関わらず途中でやめてしまうと、リバウンドにつながる恐れがあるので、極端な制限をしないなど、無理なく続けられる方法をご自身で見つけることが大切です[6]。
(3)主食を極端に抜いている
主食を抜くことで炭水化物の摂取量が減ると、炭水化物の一つである食物繊維の不足につながる恐れがあります。食物繊維は、消化吸収されることなく腸まで届き、腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境の改善に役立ちます。不足すると腸内環境の乱れや便秘につながる恐れがあるため、意識してとりたい栄養成分です。
人の腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、どちらでもない中間の菌で構成されており、腸内環境を整えるには善玉菌を増やすことが大切です。不規則な食生活や便秘などの原因で悪玉菌が増加すると、腸内環境が乱れ肥満や生活習慣病につながる恐れがあります。
このことから、食物繊維が不足することで便秘の状態が続き腸内環境が悪くなると、痩せ難くなる可能性があると言えます。主食は“極端に減らす”のではなく“摂りすぎない”ように意識しましょう[7,8]。
“低糖質ダイエット”はほどほどに
“低糖質ダイエット”は、減量するのに効果的なダイエット法である反面、私たちが健康に生きるために必要な栄養素が不足し、体の不調につながる恐れがあります。主食を抜くなどの極度な食事制限をせずに、栄養バランスを意識して、ご自身が続けやすい方法でダイエット生活を送っていただければと思います。
【参考文献】(すべて2021年4月21日閲覧)※外部サイトに遷移します
[1]厚生労働省:e-ヘルスネット|炭水化物/糖質(2019年)
[3]厚生労働省:e-ヘルスネット|間食のエネルギー(カロリー)(2019年)
[4]厚生労働省:e-ヘルスネット|たんぱく質(2019年)
[5]厚生労働省:e-ヘルスネット|脂肪/脂質(2019年)
[7]厚生労働省:e-ヘルスネット|食物繊維の必要性(2021年)
[8]厚生労働省:e-ヘルスネット|腸内細菌と健康(2019年)
【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
短大を卒業後、精神科病院で調理、給食管理などの栄養士業務を経験し、管理栄養士の資格を取得。精神科病院や地方の総合病院で栄養管理などの管理栄養士業務を経験するが、働き方に悩み、管理栄養士の仕事から離れる。その後、人間関係などに悩み食べることに苦しんでいる方を救ったことをきっかけに、フリーで活動を始める。現在は、コラムの執筆を中心に活動中。
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