2022.02.03
内臓脂肪を減らす食品って?ウワサされる食品と食事の基本について。
内臓脂肪を減らすために、食事ではどのようなことに気をつけると良いでしょうか?
インターネットなどのメディアでは、“内臓脂肪を減らす食品”を紹介している場合があります。一見するとそれを食べれば良いと捉えてしまいがちですが、その情報は確かな情報ではない可能性があります。
そこで今回は、内臓脂肪を減らすとウワサされる食品についてと食事のポイントを解説していきます。
そもそも内臓脂肪とは?
内臓脂肪とは、お腹周りを中心に胃や腸などの臓器の周りにつく脂肪のことを言います。以前に比べると“ぽっこりしたお腹が凹まない”、“ズボンのウエスト周りがきつく感じる”とお悩みの場合、それは内臓脂肪が増加している可能性があります。それをそのままにしておくとメタボリックシンドローム通称“メタボ”につながる危険があるため注意が必要です。メタボは、内臓脂肪蓄積に加えて、血圧・血糖・血清脂質が基準値よりも高い状態のことを言います。メタボの危険を減らすためにも日頃から運動や食事に目を向けることが大切です[1]。
本当に内臓脂肪を減らす食品はある?
メディアで取り上げられている内臓脂肪を減らす食品は、“青魚”、“大豆製品”、“お酢”などがあります。それらは、きちんと効果が検証されているのかを国内外の研究をもとに見ていきましょう。
(1)青魚
“青魚”は、サバ・イワシ・サンマなど、背の部分が青く見える魚のことです。青魚を特定とした効果の研究はほとんど行われていませんが、“魚”や“魚の油”に関する研究は行われています。
18歳以上の肥満と過体重の人(BMI25以上)を対象とした魚の油に対するダイエット効果を検証した21本の研究をまとめたレビュー論文では、減量のための食事制限と魚の油の摂取によりウエスト周囲が減少する傾向があるという結果を示しましたが、魚の油が腹部の脂肪を減らすという十分な根拠が得られていないと報告されています[2]。
(2)大豆製品
大豆の摂取によるダイエット効果を検証した24本の研究をまとめたレビュー論文によると、大豆の摂取による脂肪量の変化を検証している研究が少ないため、大豆が脂肪を減らす効果があるとははっきりと言えないと報告されています[3]。
(3)お酢
日本で行われたBMI25〜30の肥満の成人155名を対象にした臨床試験によると、リンゴ酢が含まれた飲料を摂ったグループは、摂らなかったグループに比べて体脂肪が減ったという結果が得られました。この研究では、飲酒や激しい運動は禁止され、夜9時以降の食事を控え、食事記録を摂るように指導されていたため、お酢を摂るだけではなく、生活習慣や食事内容を整えることが必要と考えられます。
しかし、その他の研究ですと、動物試験が多く、人による効果を検証した研究が少ないため、さらに研究が必要と考えられます [4,5]。
このことから、これら3つの食品に内臓脂肪を減らすという十分な科学的な根拠はなく、現状はっきりと効果があると言い切れません。
でも、内臓脂肪を減らすためには、食事で対策しようがないというわけではありません。意識すべきなのは、特定の食品を食べることではなく、食事内容を見直すことです。
それでは、どのようなことに気をつける必要があるのでしょうか?
内臓脂肪を減らすための食事のポイント
内臓脂肪が増えてしまう原因の1つは、“食べ過ぎ”と言われています。次に食べ過ぎを防ぐためのポイントを5つ紹介しますので、参考にしてみてくださいね[6]。
(1)食べ過ぎていないかをチェックする
食べ過ぎている人の多くは、肥満傾向であります。そのため、今の自分の体重が肥満傾向なのかをBMIという国際的に用いられている体格指数で、求めてみると良いでしょう。BMIは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められ、18.5未満が“やせ”、18.5以上25未満が“普通体重”、25以上が“肥満”です[7]。
(2)間食の量を調整する
間食は、一般的に1日200kcal程度が適量と言われていますが、減量するなら朝食・昼食・夕食の3食と合わせて、食べる量を調節しましょう。お菓子などの個包装されている食品には、エネルギー量が表示されている場合が多いので、確認することをおすすめします。また、飲み物でもカロリーの高い炭酸飲料やジュース、乳飲料がありますので注意が必要です[8]。
(3)食物繊維の多い食品を摂る
食物繊維は、主に穀類・豆類・野菜類・果実類・きのこ類・海藻類など植物性食品に多く含まれており、摂ることで、肥満やメタボの予防・改善への効果が期待されています。野菜だけを意識して摂ろうとすると効率が悪く、不足しがちであるため、ご飯を白米ではなく雑穀米や玄米に変えて摂ることや、きのこ類や根菜類・海藻類などを入れた味噌汁を摂るなど、さまざまな食品から摂るようにしていきたいですね[9, 10]。
(4)できるだけお酒を控える
お酒を飲むときは、一緒に摂るおつまみに脂っこい食品が多く、さらにお酒に含まれるアルコールにより食欲が増進することで食べ過ぎてしまう可能性があります。そのため、飲む量は1日あたりビールだと約500ml、日本酒だと約1合程度にして、週に2日間程度の休肝日を入れると良いでしょう。また、一緒に摂るおつまみは、揚げ物などカロリーの高い食品を選択しないように配慮することも大切です[11, 12]。
(5)よく噛んで食べる
速食い(早食い)は、肥満と密接な関係があると言われています。速食いをするとよく噛まずに食べるため満腹感が得られず、食べ過ぎてしまうことが原因と考えられます。ゆっくりよく噛んで食べることで脳の満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを抑えることができます。そのため、食事の時間をきちんと確保して1口30回以上は噛む習慣を身につけることをおすすめします[13]。
“効果がある”を鵜呑みにしすぎず、食生活を送りましょう!
メディアで効果があると言われている食品でも、十分な根拠がないまま広がってしまっている情報が多いので、鵜呑みにしすぎないように気をつけていきたいですね。そのため、内臓脂肪を減らすためには、今回ご紹介した5つのポイントを見直してみることをおすすめします。食事の基本を知ったうえで、健やかな食生活を送れるように活かしていただければと思います。
【参考文献】(すべて2021年11月2日閲覧)※外部サイトに遷移します
[1]厚生労働省:e-ヘルスネット|メタボリックシンドロームとは?(2019年)
[6]厚生労働省:e-ヘルスネット|メタボリックシンドローム改善のための基本戦略(2019年)
[8]厚生労働省:e-ヘルスネット|間食のエネルギー(カロリー)(2019年)
[10]厚生労働省:e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康(2021年)
[11]厚生労働省:e-ヘルスネット|アルコールとメタボリックシンドローム
[13]厚生労働省:e-ヘルスネット|速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」
【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
短大を卒業後、精神科病院で調理、給食管理などの栄養士業務を経験し、管理栄養士の資格を取得。精神科病院や地方の総合病院で栄養管理などの管理栄養士業務を経験するが、働き方に悩み、管理栄養士の仕事から離れる。人間関係などに悩み食べることに苦しんでいる方を救ったことをきっかけに、フリーで活動を始める。現在は、ライターを中心に活動中。
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