2021.06.23
アンケート企画：あなたの悩みに専門家が答えます（7）もち麦ダイエットに効果はありますか？
私たちは、インターネットなどの多種多様なメディアからさまざまな健康情報を入手することができますが、それって確かな情報でしょうか？専門家に聞いてみたいお悩み、ありませんか？
本企画では、リンククロスシル編集部が、アンケートで募集した健康に関するお悩みについて、専門家に聞いてみました。
第7回目は、30歳代男性よりもち麦ダイエットについて質問をいただき、管理栄養士・一ノ木菜摘さんに回答していただきました。
Q. もち麦ダイエットを試みているのですが、効果はありますか？
ここ数年メディアで何度も取り上げられ、注目を集めている“もち麦ダイエット”。もち麦をご飯に混ぜて炊くだけ、スープなどに加えるだけでダイエット効果があると紹介され、その手軽さやモチモチした食感も後押しになり、人気を博しているようです。コンビニやスーパーなどでも、もち麦が含まれた商品が販売されているのを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は、ご質問いただいた”もち麦ダイエット”の効果やそのメリットについて解説してきます。
もち麦ダイエットの特徴
“もち麦”は大麦の一種であり、大麦のなかでも、粘り気が強い、もち性の大麦を“もち麦”と呼びます。大麦は食物繊維が豊富な作物で、近年、食物繊維の一つであるβ-グルカンの健康機能が認められるようになりました。もち麦には、このβ-グルカンが多く含まれています。
ダイエットの基本は、食事でとる摂取エネルギーを消費エネルギーよりも少なくすることです。もち麦は、白米に比べると食物繊維が多くカロリーが低いため、白米をもち麦に置き換えるもち麦ダイエットでは、置き換えた分、摂取エネルギーを抑えることができます。
また、食物繊維には、腸内環境を整えて便秘を予防する、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して体の外に排出するなど、肥満の予防・改善をサポートしてくれる働きがあります [1-5]。
もち麦ダイエットの減量効果
では、もち麦ダイエットは、実際に効果があると言えるのでしょうか。もち麦のダイエット効果を検証した研究論文を探してみたところ、通常のもち麦を対象に実施された質が高い研究は、現状見当たりませんでした。そこで大麦のダイエット効果を検証した研究を探すと、通常の大麦ではなくβ-グルカンを強化した大麦を対象に日本国内で実施された研究がいくつか見つかりました。
標準体重（BMI22〜25）の日本人の成人女性21人を対象に行われた臨床研究では、β-グルカンが強化された大麦をとると、昼食と夕食の摂取カロリーを減らすことができるという結果が出ています。このほか、内臓脂肪型肥満の日本人の成人男女100名で行われた臨床研究では、内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上ある内臓脂肪型肥満の人に、β-グルカンが強化された大麦を摂取させた場合、ダイエットに有効であることを示唆する結果が報告されています。
なお、大麦に関するダイエット効果に関して調査された研究は数が少なく、まだ十分な科学的根拠が得られていません。そのため、効果の有無についてはっきりと結論をお伝えできませんが、上記のようにダイエット効果がある可能性が見出されていますので、今後の研究に注目していきたいですね [6-7]。
もち麦のさまざまな健康効果
もち麦および大麦のダイエット効果については、はっきりとした結果をお伝えできませんでしたが、もち麦には、ほかにも健康によいと期待されている効果があります。現在、国で認められている健康効果として以下が挙げられており、機能性表示食品として販売されている商品もあるので、もち麦を取り入れる際に、参考にしてくださいね。
流行りのダイエット法を取り入れる前に！
今回の“もち麦ダイエット”をはじめ、流行りの置き換えダイエットは、簡単に減量できそうと思われがちですが、食事の基本となる栄養バランスを意識しないと健康に悪影響を与えてしまうこともあります。健康的にダイエットを行うには、バランスの良い食事と適度な運動を心がけることが大切です。無理なく続けられる、自分に合った食生活を送っていただけばと思います。
【参考文献】（すべて2021年5月30日閲覧）
［1］農林水産省『消費者の相談｜最近、大麦の中にもち麦があると知りました。もち麦はどのような特性がありますか。』 ※外部サイトに遷移します
［2］厚生労働省『e-ヘルスネット｜ダイエット』 ※外部サイトに遷移します
［3］文部科学省『食品標準成分表2020年版（八訂）』 ※外部サイトに遷移します
［4］厚生労働省『e-ヘルスネット｜食物繊維の必要性と健康』 ※外部サイトに遷移します
［5］厚生労働省『e-ヘルスネット｜食物繊維』 ※外部サイトに遷移します
【回答者プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
短大を卒業後、精神科病院で調理、給食管理などの栄養士業務を経験し、管理栄養士の資格を取得。精神科病院や地方の総合病院で栄養管理などの管理栄養士業務を経験するが、働き方に悩み、管理栄養士の仕事から離れる。その後、人間関係などに悩み食べることに苦しんでいる方を救ったことをきっかけに、摂食障害やダイエットに悩む方に向けてメンタルや食事の両面でサポートする活動をしている。
公式ブログ「幸せ食ライフ｜管理栄養士 一ノ木菜摘ブログ」 ※外部サイトに遷移します
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