2024.04.21
血圧が上がる原因は塩分?運動不足?~高血圧を防ぐ具体策もご紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。 ※外部サイトに遷移します
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昔から「塩辛いものは血圧を上げる」といわれていますが、血圧を上げる原因は塩分だけとは限りません。
運動不足に肥満、さらにはストレスや加齢も血圧を上げる原因になりうるのです。
そこで今回は、血圧を上げる原因や対策法をわかりやすく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
血圧が上がるメカニズムと原因
血圧とは、「血液を体全体に送り出す力」のことです。そして血圧が上がる際は、以下のような現象が私たちの体で起きています。
・心臓から送り出される血液量が増加する(心拍出量の増加)
・血管が狭くなる(末梢血管抵抗の増加)
この2つに影響を与えると、血圧が上がるのです。
そして、私たちの生活の中に潜む血圧を上げる原因として考えられるのは、おもに6つあります。
では、それぞれの原因がどのように血圧を上げるのか、わかりやすく解説しましょう。
塩分の摂り過ぎ
塩の主成分であるナトリウムは、摂り過ぎると血液量の増加につながるため、心臓から送り出される血液量も増加し、血圧を上げてしまいます。
現在「日本人の食事摂取基準2020」では、食塩の目安量を1日あたり成人男性7.5g未満、女性6.5g未満としています。
しかし、現状の平均摂取量は男性10.9g、女性9.3g(※)と目標を大幅に超えているのです。
※「令和元年国民健康・栄養調査の概要」より
私たち日本人は、1日に摂取している塩分のじつに約7割を調味料から摂っています。
塩だけではなく味噌や醤油など、知らず知らずのうちに塩分を摂り過ぎてしまっているのかもしれません。
肥満
肥満の方は脂肪細胞が肥大している状態で、その脂肪細胞から分泌されるさまざまな物質により、自律神経が乱れたり、ホルモンの働きを妨げてしまったりすることで血圧の上昇につながるのです。
自律神経は、血圧の調整など体の調節機能を担っています。肥満の方は、標準体型の方と比べて脂肪細胞が大きく、分泌される物質による影響が大きいのです。
運動不足
さきほど、肥満は血圧を上げるとお伝えしましたが、運動不足は肥満につながる要因の1つです。
運動不足により消費カロリーが減少し、さらに食べ過ぎて摂取カロリーが増加すると肥満につながってしまいます。
ストレス
私たちが日々さまざまな形で感じているストレスは、交感神経を刺激して血圧を上昇させる原因の1つです。交感神経が刺激されると、血圧が上がる時にみられる心拍出量の増加と、末梢血管抵抗の増加が起こります。
なおストレスの種類は、以下の4つに分類できます。
一般的にストレスといわれているのは心理社会的ストレッサーのことをさしますが、他にも体に負担がかかるものはすべて「ストレス」として認識されるのです。
参考記事:ストレスで起こる体や心の異変~生活習慣病への影響も解説~ ※外部サイトに遷移します
冬に血圧が高くなるのはなぜ?
寒さ・暑さなどの気温変化も、物理的ストレッサーというストレスの1つです。とくに、温かい場所から急に寒い場所へうつると、血管が収縮して血管内が狭くなるので血圧が高くなります。
冬場には、浴室と脱衣室の温度差から「ヒートショック(※)」を起こす方も少なくありません。
血管に負荷をかけないためにも、気温の変化をなるべく小さくする工夫が必要です。
(※)ヒートショックとは、急激な温度変化により体がダメージを受けること。おもに心臓への負担が大きいとされている。
加齢
年齢を重ねると血管が硬くなりやすいため、血圧も上がりやすくなるのです。日本では、高齢者の2人に1人が高血圧であるといわれています。
加齢は誰しも避けられないため、とくに高血圧の方の割合が高くなる65歳以上にあたる方は、日頃から血圧の測定を習慣化するとよいでしょう。
喫煙
たばこに含まれるニコチンには血圧を上昇させる作用があるため、喫煙習慣のある方は血圧が高くなります。
参考記事:喫煙の影響をわかりやすく解説!~デメリットを理解してたばこをやめよう~ ※外部サイトに遷移します
急に血圧が高くなると出る症状
血圧の高い状態では、とくに自覚症状はみられません。ただし、血圧がかなり高い状態の場合には頭痛やめまい、動悸などの症状があらわれます。
なお、血圧が高いまま放置し続けると「高血圧」になってしまいます。
高血圧の診断基準は、成人の場合収縮期血圧(上の血圧)140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)90mmHg以上です。
ちなみに、成人の血圧基準値は収縮期血圧120~130mmHg、拡張期血圧60~89mmHgとされています。
高血圧は病気のリスクを上げる
高血圧はさまざまな病気の引き金となります。代表的なものは、以下の3つです。
・脳血管疾患(脳出血、脳卒中など)
・心血管疾患(心不全、心筋梗塞など)
・腎疾患(腎不全など)
これらは、高血圧を放置することで発症のリスクが上がります。
さきほども触れたように、血圧が高くても自覚症状はあらわれないため、知らず知らずのうちに高血圧になっている可能性があるのです。
血圧が上がる原因に心当たりのある方は定期的に血圧を測り、血圧の高い状態が続いているようなら医療機関を受診するとよいですよ。
参考記事:高血圧とは~症状や生活習慣での改善ポイントなど分かりやすく解説~ ※外部サイトに遷移します
血圧を下げる5つの解決策
血圧が高めの方も、すでに高血圧になっている方も、日々の生活の中で血圧を下げるポイントをおさえておくと、高血圧からくる病気のリスクを軽減できます。
ここからは、今日からできる血圧を下げる解決策として5つご紹介します。
(1)ナトリウムを摂り過ぎない・体にためない
血圧上昇の原因となるナトリウムの摂取量を抑えるためにも、塩分は控えめにします。
塩分を控えるコツは、以下の3つです。
とくに1日の塩分量のうち、調味料から摂る塩分は多い一方で把握しにくいため、意識的に工夫する必要があります。
刺身の醤油や揚げ物のソース類などは、「かける」のではなく「つける」ようにすると減塩につながりますよ。
また、野菜や果物に多く含まれるカリウムには、体の余分なナトリウムを尿と一緒に排出して、血圧を下げる働きがあります。
カリウムは水に溶ける性質があるので、一番のオススメは生のまま食べるサラダです。温かい状態で食べるなら蒸す・スープに入れると無駄なくとれます。
参考記事:糖尿病でも塩分制限は必要?~塩分の摂取目安量や控える方法も解説~ ※外部サイトに遷移します
(2)運動習慣をつける
適度な運動は、血圧を下げる効果が期待できます。
最新の研究では、軽いジョギングなどで脳へ振動が加わると、血圧を上昇させる物質が発生しにくくなり、血圧が低下すると明らかになりました。
肥満予防だけではなく、運動そのものが血圧低下の効果をもたらすとされています。
参考記事:【1日2分】血圧を下げるのに役立つストレッチを紹介〜やり方や効果を解説〜 ※外部サイトに遷移します
(3)減量する
肥満の方は、約4~5kgほどの減量を行うと血圧が低下するという研究結果があります。
また減量のためには、食事量の調節と運動を習慣化させることが一番の近道です。減量のために行うことが、結果として血圧を下げることにつながるのです。
参考記事:効果的なダイエット方法とは〜続けられる食事・ルールなどカンタン解説〜 ※外部サイトに遷移します
(4)ストレスをためない
ストレスの中でも、心理社会的ストレッサーに対しては、趣味などで発散するほかに「セルフモニタリング」がオススメです。
セルフモニタリングは、以下の4項目について行動や考えたことを書き出し、整理する方法です。
※セルフモニタリングについて詳しく知りたい方はこちら ※外部サイトに遷移します
また、寒さなどの物理的ストレッサーは原因となるものを取り除くことがポイントです。寒くなりやすい部屋に暖房器具を入れるなど、温度変化が少ないように工夫するとよいです。
(5)禁煙する
たばこを吸う習慣のある方は、禁煙することが何よりも重要です。本数を減らしたり、低ニコチンたばこなど種類を変えても効果はありません。
じつは、禁煙するとわずか20分ほどで血圧に変化が生じます。それほど、たばこが血圧に与える影響は大きいのです。
そして、禁煙の期間が長くなるほど、喫煙によるさまざまな病気のリスクは低下してきます。
禁煙方法は市販の禁煙補助薬もありますが、禁煙外来を行っている病院では、医師と相談しながら禁煙を進められますよ。一人では頑張れないかも・・・と不安な方は、受診してみるとよいでしょう。
参考記事:喫煙の影響をわかりやすく解説!~デメリットを理解してたばこをやめよう~ ※外部サイトに遷移します
まとめ
血圧が上がる原因としては、
・塩分の摂り過ぎ
・肥満
・運動不足
・ストレス
・加齢
・喫煙
などがあります。また、血圧が上がったまま高い状態を放置してしまうと、高血圧につながります。高血圧はさまざまな病気のリスクを上げるため、血圧が必要以上に上がらない生活習慣を心がけましょう。
一方、血圧を下げる方法としては
以上の5つを意識するとよいですよ。
それでは、当記事でご紹介したポイントをおさえて、血圧を意識したよい生活習慣がつけられることを願っています。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
執筆者:管理栄養士 松原知香
宮城学院女子大学食品栄養学科卒業。卒業後、食品メーカーにて医師や管理栄養士などに向けた流動食・介護食の営業に従事。退職後は管理栄養士ライターとして活動。その中で、医療や栄養に関する情報は正確であるほど難しく、理解しづらい内容で発信されている現状を目の当たりにする。「いつまでも健康でありたい全ての方へ、根拠ある情報をわかりやすく届けたい」という思いから、シンクヘルス株式会社に入社。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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