2025.03.08
がんは予防が大切!今から始める5+1の対策
多くのがんは初期の段階では明らかな自覚症状がないため、気づくことが難しいと言われています。予防ができることならしたいと考える人も少なくないはず。そこで、がんの予防につながる具体的な生活習慣の改善を解説していきます[1]。
日本人の2人に1人ががんに罹っている
国立研究開発法人国立がん研究センターの「最新がん統計のまとめ」によると、2020年の時点で一生のうちにがんと診断される確率は男性、女性ともに、2人に1人と報告されています[2]。
がんは予防できる?
がんの原因は、男性43.4%、女性25.3%が生活習慣だと報告されています。そのため、がんは生活習慣を見直すことでリスクを減らすことができると言えるでしょう[3]。
日本人のためのがん予防法(5+1)
2022年、国立がん研究センターから科学的根拠に基づいた「日本人のためのがんの予防法(5+1)」が提言されています。今回はこの予防法について紹介します[3]。
1、禁煙する
喫煙している人がなりやすいがんとして、鼻腔・副鼻腔、口腔・咽頭、食道、肺、肝臓、胃、膵臓、子宮、膀胱があげられます。また、喫煙者の近くで受動喫煙している人も、肺がんになりやすいことが明らかになっているため注意が必要です。
禁煙をすることで10年後には、肺がんのリスクを約半分に下げられることが報告されています。しかし、喫煙は依存性が高いため禁煙は容易ではない方も多いでしょう。その場合は、禁煙外来などで専門家のアドバイスを受けながら取り組むのがおすすめです[3,4]。
2、節酒する
飲酒は、肝細胞がん、食道がん、大腸がんのリスクを高めることが示されています。体質的に女性の方が男性よりも飲酒の影響を受けやすく、より少量でもがんのリスクが高くなるため気を付けた方が良いでしょう。
飲酒量の目安は、1日あたり純エタノール量換算で23g程まで。純エタノール量換算で23gに相当する酒の種類と量は、それぞれ、日本酒1合、ビール大瓶633mL1本、焼酎は原液で1合の2/3、ウイスキーはダブル1杯、ワインはグラス2杯程度です[3,4]。
3、食生活について3つのポイントを見直す
がんのリスクを下げるために、今日からできる食生活を見直すポイントを3つご紹介します。
3-1、減塩する
塩分を多くとる人は胃がんのリスクが高いという結果が報告されています。減塩は、胃がんの予防のみならず、高血圧、循環器疾患のリスクの低下にもつながります。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日あたりの食塩の目標量を男性7.5g未満、女性は6.5g未満と定めています[4,5]。
3-2、野菜・果物を積極的にとる
野菜や果物の量が少ないことは、食道がん、胃がん、肺がんの原因になる可能性が示唆されています。野菜と果物をとることは、脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防にもつながるため、日々の食生活で意識をしてとると良いでしょう。健康づくりの指標である「健康日本21(第三次」では、成人1人1日当たりの野菜摂取目標量として350g以上を掲げています。しかし、日本人は平均的に目標の350gに比べて90gほど足りてないため、不足しないように意識を向けることが大切です[4,6,7]。
3-3、熱い飲み物や食べ物は冷ましてから
熱いものを食べることは、食道がんとの関連があることが明らかになっています。熱い食品を食べる時ときは、少し冷まし、口の中や食道の粘膜を傷つけないよう注意しましょう[3]。
4、身体を動かす
国立がん研究センターの研究報告によると、活動量が高い人ほど、男性で大腸がん、女性で乳がんのリスクが低下することが示されています。運動の目安について厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で、18歳から64歳の人には、歩行程度の運動を毎日60分以上、65歳以上の高齢者には強度を問わず身体の活動として毎日40分以上行うことを推奨しています[3,8]。
5、適正体重を維持する
がんの死亡リスクは、太りすぎでもやせすぎても高くなります。男性ではやせている人の方がリスクが高い傾向がありますが、喫煙していない場合には、やせていてもがんの死亡リスクは高くならないことが報告されています。女性ではBMI値30.0~39.9(肥満)でリスクが高く、特に閉経後の肥満が乳がんのリスクになると報告されています。
適正な体重の目安は、BMI値を、男性21~27、女性21~25。この範囲内に体重管理をするよう努めましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) [4,9]
+1、感染を防ぐ
もう1つ、自分の努力だけでは難しい部分もありますが、感染を防ぐことも予防のためにはおすすめです。ウイルス・細菌感染とがんの部位との関係は、それぞれ、B型・C型肝炎ウイルスは肝臓がん、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がん、ヒトパピローマウイルスは子宮頸がん、ヒトT細胞白血球ウイルスⅠ型は成人T細胞白血球・リンパ腫です。
感染は、女性のがんの原因として最も高いリスクです。ウイルス・細菌感染は検診によって見つけることができます。感染について心配なことは、医療機関やがん相談支援センターに相談しましょう[3]。
がん予防は生活習慣と感染が関連
がん予防の偏った情報に流されないように、正しいとされる情報を選ぶことも重要です。がんを予防するには、感染の存在に意識し、5つの生活習慣を参考にして、改善ができることから始めましょう。
【参考文献】(すべて2025年1月20日閲覧)※外部サイトへ遷移します。
[3] 国立研究開発法人国立がん研究センター:科学的根拠に基づくがん予防
[4] 国立研究開発法人国立がん研究センター: 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
[5] 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」 策定検討会報告書, 1-7ミネラル
[6] 厚生労働省:健康日本21(第三次), 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針
[8] 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
[9] 厚生労働省:生活習慣病予防のための健康情報サイト, e-ヘルスネット, BMI
【プロフィール】 管理栄養士・学術修士(医療・福祉マネジメント) なかがわ けいこ
乳幼児から高齢者まで各ライフステージの栄養指導を経験。現在も科学的根拠に基づいたアドバイスをモットーに、現実的で続けやすく、豊かな食生活が送れるようなプランを考え食事のサポートしている。また、生活習慣病や高齢者の健康の情報発信としてコラムの執筆活動も行っている。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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