2024.04.14
【医師監修】抗糖化とは~老化の原因「糖化」のメカニズムや対策を徹底解説~
当記事は、産婦人科医師 大村美穂先生にご監修いただきました。 ※外部サイトに遷移します
執筆はライター 白石香代子(管理栄養士) が担当しました。 ※外部サイトに遷移します
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最近、健康情報の中でよく耳にする糖化。糖化によってできた物質は、私たちの肌や血管にダメージを与えて、しわやシミ・動脈硬化の原因になるのです。
いつまでも若々しくありたい方は、糖化を抑える「抗糖化」を意識することがオススメですよ。
そこで今回は、糖化のメカニズムや抗糖化につながる対策法について、わかりやすくまとめました。
日常生活での注意点までご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
抗糖化ってどういうことを言うの?
抗糖化とは「糖化を防ぐこと」を表します。具体的には糖化が原因で発症する動脈硬化や白内障などのリスクを減らし、また糖化が進行して起こる糖尿病を防ぐことを言います。
【老化の原因】糖化のメカニズムについて
糖化は別名で「体のコゲ」と言われ、体の中の余った糖分がタンパク質とくっついて、体の細胞を劣化させる現象をいいます。
この現象によって作られるのがAGE(終末糖化産物)で、糖化が起こる=AGEが増えるという図式になります。
では具体的に「糖化する」ことで、体の中ではどんなことが起こるのでしょうか。
まず、このAGEがAGEの受容体(結合することで働くたんぱく質)にくっつくと、もともと私たちの体を作っているたんぱく質を攻撃し始め、細胞に炎症が起こります。
炎症が起こった細胞は当然ダメージを受けていますから、細胞の機能の低下、劣化につながります。
どのような症状が現れるのか
「メカニズムは分かったけれど、どんな症状が出てくるのだろう」と思いますよね。それでは簡単に症状をご紹介していきます。
たるみやシワ
AGE(終末糖化産物)が増えると、コラーゲンの繊維(※)を変形させます。
(※)コラーゲン繊維はたんぱく質で作らています。私たちの体型や肌の弾力や機能を維持する大切な繊維です。
これにより正常な構造が壊されて弾力性を失い、たるみやシワが起こる可能性があるのです。
動脈硬化などの血管系の病気
コラーゲンは血管の壁を作る成分でもありますので、AGEが血管に影響すると血管の弾力性が失われ、もろくなり動脈硬化が起こりやすくなります。
白内障
白内障は眼球の水晶体が濁り、視力低下が起こる病気です。水晶体を構成しているタンパク質にAGEが蓄積されると、水晶体が濁る原因となると考えられています。
これら以外にも、さまざまな臓器で糖化により影響がでてくるおそれがあります。
参考記事:糖尿病と白内障の関係〜原因と治療のポイントを徹底解説〜 ※外部サイトに遷移します
抗糖化に役立つ食品~飲み物や食べ物を紹介~
「どんな飲み物や食べ物が糖化を防いでくれるのだろう」という疑問を解決するために、抗糖化に役立つ身近な食品を紹介していきます。
お茶やコーヒーがオススメ
普段よく口にするお茶やコーヒーも、実はAGEを抑制する効果が期待できるのです。
例えば、身近な例で行くと、お茶の中でも緑茶、中国茶、ウーロン茶、そしてコーヒーには、糖化促進の原因となる酸化を抑制する作用(抗酸化)があるといわれています。またハーブのカモミールティーにも抗酸化作用があるので、飲んでみると良いですね。
あわせてコーヒーについて補足しますと、インスタント系には様々な成分が入ってるのでAGEが含まれる傾向にあります。
しかし、どれほどこれらのコーヒーを飲むとAGEが糖化の作用を促すのかは分かっていません。ですので、1日1杯など適度に飲む分であれば、AGEの心配はしなくてもよいでしょう。
野菜やハーブに注目
糖化を防ぐ作用が強い、野菜やハーブがいくつかあります。スーパーなどでも手に入りやすいものもあるので生活に取り入れやすいですね。
例えば春の食材のフキノトウや、夏の新しょうがなど季節の食材は糖化を抑制する作用が強いです。
また、サニーレタスやモロヘイヤなども抗糖化の効果があるのと、旬を問わず、いつでも買うことができる食品ですので、普段の食事に取り入れてみてくださいね。
参考記事:モロヘイヤの栄養と効果はすごい~食べ方や保存法についても徹底解説~ ※外部サイトに遷移します
サプリにはどういった成分が入ってるとよいか
「日々忙しくて食事でなかなか調整が出来ないから、サプリメントで効率的に抗糖化できたらいいな」
そのように思う方もいらっしゃると思いますが、サプリメントはあくまで食品で万能薬ではありません。なのでまずは食事や生活での工夫が大事です。
しかしサプリメントで補助的に抗糖化することは可能です。ではどのような栄養成分が入っていると良いのでしょうか。
先ほど抗糖化に役立つ食べ物に「新しょうが」があるとお伝えしましたが、ショウガ科(※)の植物全般に糖化反応を抑制する作用があることが、近年の研究で分かってきました。
(※)ショウガ科に属する植物は、ショウガ以外にもミョウガやウコンなどがあります。
特にショウガ科でも、「黒ガリンガル」という植物の糖化反応抑制力は強いと言われており、サプリメントとしても開発・販売されています。
ですのでサプリを取り入れる場合は、成分に黒ガリンガルが入っているか否かを基準に判断するのが良いと思います。
糖化を防ぐ食事のポイント
抗糖化を意識した生活をするのであれば
といった、余分な糖質を摂り過ぎない習慣を心がけてみてください。
それでは、具体的な方法をご紹介しましょう。
食べる順番を変えてみよう
いわゆる「ベジファースト」と呼ばれる方法で、食物繊維の豊富な野菜類から順にたんぱく質、炭水化物と食べ進めます。食物繊維は糖の吸収スピードを緩やかにするため、血糖値の急上昇を防げますよ。
主食は茶色いものを選ぼう
主食である米やパン、とくに玄米ごはんや全粒粉を使ったパンのように茶色いものは、精製される前のものより食物繊維が豊富なので、血糖値の上昇が緩やかです。
主食は1日の食事の中でも一番の糖質供給源なので、少しでも血糖値の急上昇が防げるような工夫をするとよいですよ。
毎日ではなくてもいいので、日々の生活の中で、時折取り入れてみてはいかがでしょうか。
焦げはNG!調理法にも一工夫する
AGEは糖質が焦げたところに大量に発生します。そのため、こんがりきつね色に焼けた卵の入ったパンケーキや西京焼きの魚の焦げ部分には注意が必要です。
なお同じ食材でも、生→煮る→焼く→揚げるの順に、AGEの発生率は0→1.5倍→7倍→10倍と上昇します。そのため、調理法はできるだけ、ゆでたり蒸したりすることをお勧めします。
関連記事:肌の老化は糖化が原因?〜4つの対策を徹底解説〜 ※外部サイトに遷移します
糖化には化粧品も効果的か
一般的に、化粧品はコラーゲンのある真皮層まで届けるのは難しいと言われており、直接的な効果を出すのは期待し難いでしょう。
しかし、肌の表面のコンディションを整えることはお肌の老化を防ぐことにつながりますので、化粧品による肌対策は無駄なことではありません。
まとめ
以上、抗糖化についてのメカニズムや役立つ食品などについてご紹介しました。
糖化は余分な糖+タンパク質=AGE(終末糖化産物)が起きる現象のことを言います。糖化により肌への影響(シワ・たるみ)や動脈硬化などの症状のリスクも上がりますので、注意が必要です。
そして対策としては、緑茶やウーロン茶などのお茶や、旬の野菜など抗糖化の作用がある飲み物や食べ物を取り入れると良いでしょう。
それでは当記事を参考に、抗糖化を意識した食事や日々の生活ができるよう役立ててもらえると嬉しいです。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
久保明,「糖化」をふせいで老いない・病まない体になる!,PHP研究所
J-stage 糖化ストレスと抗糖化作用の評価 ※外部サイトに遷移します
J-GLOBAL 黒ガリンガルの糖化反応抑制作用とAGEs分解作用の乾燥方法による影響 八木雅之ら 2016年
J-GLOBAL ショウガ科植物の糖化反応抑制作用とAGEs架橋切断作用 八木雅之ら 2018年
監修:産婦人科医師 大村美穂先生
横浜市立大学医学部卒業後、日本赤十字社医療センター初期臨床研修(産婦人科プログラム) 、日本赤十字社医療センター 産婦人科医師として勤務。国家公務員共済組合連合会虎の門病院 産婦人科医師として勤務 後、都内産婦人科クリニックにて勤務。
執筆者:副編集長 白石香代子
山口県立大学家政学部栄養学科卒業後、人材業界を中心にセールスやコンサルタントとして交渉力・語彙力など幅広いコミュニケーションスキルを培う。その後、中国大連にて日系企業のフードアドバイザー、日本人学校の食育セミナー講師として活動。現在、シンクヘルス株式会社とクリニックでの栄養士業務、特定保健指導を兼任。その他、中国高齢者施設の栄養監修なども手掛けている。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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提供元:【医師監修】抗糖化とは~老化の原因「糖化」のメカニズムや対策を徹底解説~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】