2024.01.01
糖尿病とおせち料理の付き合い方~食べ方のポイントを解説~
当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 森下りの(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
新年のお祝いであるお正月の食べ物といえば、おせち料理ですよね。
おせち料理は縁起をかついだ日本の伝統料理です。ただしおせち料理は味の濃いものや甘いものが多く、糖尿病の方は食べてもよいのか悩むかもしれません。
そこで、今回は糖尿病の方がおせち料理を食べる際のポイントについて、わかりやすくお伝えします。
糖尿病の方はおせち料理を食べられるの?
もちろん糖尿病の方でもおせち料理を食べられます。ただし、食べる量や順番に注意するポイントがあるので、しっかりと押さえておきましょう。
ちなみにおせち料理はまだ冷蔵庫がない時代、糖分や塩分の多い味付けで保存性を高めていました。その名残りで、現代のおせち料理も濃い味付けが主流です。
味の濃い食事は、調味料を多く使う分カロリーや糖質が増えるほか、食べすぎる原因になります。さらに塩分の摂りすぎは高血圧症を引き起こす可能性があります。糖尿病の方は高血圧症になりやすいので、予防のためにも減塩が大切なのです。
そのため糖尿病の方が食べるおせちを準備する際は、以下の点を心がけるとよいでしょう。
さらに、食べる量や順番に気を付ければ、糖尿病の方でもおせち料理を食べられます。なお市販でオススメのおせちは、後ほど紹介いたしますね。
おせちを食べる際のポイント
それでは、糖尿病の方がおせち料理を食べる際のポイントを解説いたします。
(1)量
まずは食事の量です。糖尿病の方に限らず、人には1日に摂るべき適切なエネルギー量があり、体格と活動量で決まります。
糖尿病の方は、 性別・年齢・血糖コントロール・合併症の有無によって必要なエネルギー量が違うので、担当医に指示を仰いでください。
(2)順番
次におせち料理を食べる順番です。 血糖値を急上昇させにくい食べ方は、食物繊維の多い食材を最初に食べる方法です。
食物繊維が豊富なごぼうなどの野菜が入った煮物を、最初に食べるとよいでしょう。大根と人参が色鮮やかな紅白なますもオススメです。
参考記事:血糖値を上げない食べ方について管理栄養士が解説~順番や糖質量も~ ※外部サイトに遷移します
(3)バランスよく
バランスのよい食事とは、主食・主菜・副菜のそろったものをいいます。
お正月料理は普段の食事と比べてわかりにくいですが、
上記のようにわけられます。
餅は1~2個、主菜と副菜にあたるおかずはそれぞれ小鉢1つ分程度の量を意識して食べましょう。
なお、おせち料理は砂糖を使用したものが多く、栗きんとんや黒豆はとくに糖質が高いです。栗きんとんや黒豆はおかずでなく、間食のようなものと考えて食べてくださいね。
(4)時間を決める
ダラダラ食べないためにも3食のリズムは守り、食べる時間を決めましょう。とくに、お正月は夜更かしや朝寝坊、普段会えない人との集まりなど、生活リズムが乱れがちです。
対策法としてはテーブルやコタツの上など、見えるところに食べ物を置きっぱなしにしないようにするとよいですね。
また、夜遅くに食事をすると食後に血糖値が急上昇しやすく、翌朝まで高血糖状態が続くこともあります。夜更かししながら小腹が空いたからといって、ついつい食事や間食を摂らないよう気を付けてください。
もし口さみしいと感じた時は、温かいお茶や無糖の炭酸水を飲むとよいですよ。お正月用に普段は買わないようなちょっといいお茶や瓶入りの炭酸水を用意しておくと、非日常感が味わえるのでオススメです。
注意して食べたいおせち料理3選
ほとんどのおせち料理には、保存性を上げるために砂糖が多く使われているので、糖尿病の方は注意したいです。その中でもとくに砂糖の使用量が多いおせち料理を3つ紹介します。
(1)栗きんとん
栗きんとんは裏ごししたさつまいもに砂糖を加えてなめらかに練り上げた、芋あんのようなものです。栗の甘露煮も栗をシロップで似たものなので、おかずではなく間食の1つと考えましょう。
1日あたり、小鉢1/2皿分が目安量です。
(2)黒豆煮
黒豆煮の材料である豆は良質なたんぱく質を含む黒大豆ですが、甘煮にする際にかなりの量の砂糖を加えます。栗きんとん同様に間食として食べるとよいですね。
1日あたり、小鉢1皿分が目安量です。
(3)伊達巻
伊達巻の主な材料は、卵と魚のすり身です。家庭で作る場合は、魚のすり身をはんぺんで代用することも多いでしょう。そして砂糖を加えてきれいに焼き上げます。
伊達巻の見た目は卵焼きやだし巻きのようですが、糖質が多めなので1食あたり1切れが目安です。
洋風おせちなら大丈夫なのか
洋風おせちは和風おせちと比べて糖質量は少ないですが、ローストビーフや揚げ物などカロリーの高いものが入っているので注意が必要です。
多くの糖尿病の方は、糖質と一緒にカロリーにも気をつけなくてはなりません。カロリーの摂りすぎるは、糖尿病だけでなく動脈硬化を進行させる可能性があるからです。
洋風おせちを食べる場合は脂身の多い肉や揚げ物を避けて、サーモンなどの魚介類や蒸し物をメインに食べるとよいでしょう。また、野菜のマリネやサラダを組み合わせてよい食事バランスを心がけるとなお良いですよ。
お雑煮や間食にも気を付けよう
お正月はおせち料理以外に、お雑煮や間食を食べる機会が増えます。
糖尿病の方に食べてはいけないものはありませんが、食べすぎは厳禁です。お雑煮のお餅は1食1~2個、間食は糖質10g以下を意識して、いつも通りの食事に近づけるようにしましょう。
参考記事:糖尿病に間食&おやつはダメ?現役栄養士が徹底指導 ※外部サイトに遷移します
お酒は飲んでもいいの?
主治医の許可が出れば、糖尿病でもお酒を飲むことはできます。ただし、飲酒後は一時的に血糖値が上昇するほか、薬の効きを悪くする可能性があります。必ず適量を守りましょう。
ちなみに1日の適量は男性で、ビール500ml1本、日本酒の場合1合です。女性は男性の半分の量が適量といわれています。
参考記事:糖尿病と飲酒の関係~アルコールの影響や飲み過ぎないための秘訣を紹介~ ※外部サイトに遷移します
市販の糖質オフおせち料理もオススメ
くり返しになりますが、おせち料理は味の濃いものが多いです。薄味のおせち料理を手作りしてもいいですが、糖質オフや減塩の市販品もオススメですよ。手軽に取り入れられるので、ぜひお試しください。
紀文 糖質50%オフおせち詰め合わせセット
一般的なものと比べて糖質を50%オフにした、紅白かまぼこ・伊達巻・錦玉子のセットです。
減塩のかまぼこはよく見かけますが、このセットではめずらしい「糖質オフ」のかまぼこが食べられます。
参考:株式会社 紀文食品 ※外部サイトに遷移します
紀文 人気おせち詰め合わせ(9品)
甘さ控えめの伊達巻・栗きんとん・黒豆・田作り・昆布巻きが入ったセットです。あくまで甘さ控えめなので糖質オフではありませんが、一般的な商品より少し糖質が抑えてあると考えられます。
参考:株式会社 紀文食品 ※外部サイトに遷移します
まとめ
以上、糖尿病の方がおせち料理を食べる際のポイントについてお話しいたしました。
糖尿病の方は
に気を付けておせち料理を食べるとよいですね。
お正月は「ハレの日」といわれ、お祝いを楽しむ日です。「ケの日」である日常生活を健康に過ごせるよう当記事のポイントを押さえて、おせち料理を楽しみましょう。
【参考文献】※外部サイトに遷移します
国立国際医療研究センター(糖尿病情報センター)糖尿病の食事のはなし(実践編)
日本農芸化学会 化学と生物 食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える
監修:編集長 森下りの
名古屋大学医学部保健学科看護学専攻卒業。在学中はヘルスケア領域の知識や経験ををグローバルな視点で深めるために、リーズ大学(イギリス)への長期留学や、エリザベス病院(タンザニア )でのインターンシップなどを経験。卒業後は、看護師として疾患知識やコニュニケーション力を培う。医療業界のIT化遅れへの危機感や、疾病予防には個人の主体的な行動が不可欠と感じ、H2株式会社に入社し、マーケティングと広報を担当。 看護師、保健師、メンタル心理カウンセラーの資格を保有。
執筆者:管理栄養士・調理師 前間弘美
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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提供元:糖尿病とおせち料理の付き合い方~食べ方のポイントを解説~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】