2023.09.07
オリゴ糖のうれしい働き
糖質の最小単位である「糖質」が3個から10個くらいつながった糖質が「オリゴ糖」です。 一般的には、消化されにくくて腸まで届き、からだにうれしい何らかの機能性を発揮するものをオリゴ糖と呼ぶことが多いようです。
オリゴ糖は腸内細菌の餌となり、「短鎖脂肪酸」という酸性の成分が作られます。すると腸内は酸性に傾き、病原菌や有害物質を出すタイプの腸内細菌が住みにくくなります。
また、酸の刺激で腸の動きが良くなるので、お通じの改善作用が期待できます。短鎖脂肪酸ができると、腸管からのカルシウムなどのミネラルの吸収が促されることも分かってきました。
このような整腸作用を持つ難消化性の食品成分のことを「プレバイオティクス」と呼びます。なお、でんぷんに含まれる「難消化性でんぷん」も、プレバイオティクスの一種です。
オリゴ糖は甘味料として使われることもあります。消化吸収されにくいから、血糖値やインスリン分泌にもほとんど影響しません。
実はきちんとした定義がないオリゴ糖
オリゴ糖は単糖が3個から10個くらいつながった糖質、と紹介しましたが、この10個“くらい”というアバウトな表現がミソ。実は、何個までつながったものまでオリゴ糖と呼ぶかについては、明確な定義がありません。また、単糖が2個つながった二糖もオリゴ糖と見なすこともあります。
そもそも「オリゴ」というのは、ギリシャ語で「希少な」を意味する「oligos」を語源にしています。少量ではあるものの、さまざまな植物や食品に広く含まれます。例えばフラクトオリゴ糖は、小麦やライ麦、たまねぎ、アスパラガス、バナナ、はちみつなどにも含まれます。食品から抽出・分離したり、酵素反応によって作られたりもします。
参考: Juliet Gray著 安立 堯 日本語監修、炭水化物:栄養と健康、ILSI Europe、3-4、2004
村上 洋、生物工学会誌、89、8、486-490、2011
山下亀次郎、糖質の機能と代謝、文光堂、 43-45、2004
Hindgut Club Japan 編、消化管の栄養・生理と腸内細菌、アニマル・メディア社、79-86、2011
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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