2022.10.03
フルーツジュースは果物の代わりになる?気になる2型糖尿病のリスクについて
みなさんは果物を食べる習慣がありますか?日本では果物を1日200g食べることが推奨されていますが、1人あたりの平均摂取量は96.4gと大幅に少ない現状があります。
果物を食べない理由として「価格が高い」「処理が面倒」と考える方は多いようです。なかには、安価で手軽に取り入れられるフルーツジュースを果物の代わりにしている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは本当に果物の代用になっているのでしょうか?今回は、果物とフルーツジュースが2型糖尿病に与える影響について、研究結果に基づき解説します[1, 2]。
そもそもなぜ、果物を食べることが大切なの?
果物を食べることは健康に良さそうというイメージがありますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
「高血圧治療ガイドライン2019」では、高血圧の予防・改善のための食習慣として、野菜だけでなく果物も積極的に取り入れることが推奨されています。高血圧を予防・改善することは、脳心血管病や腎臓病のリスク、および死亡率を下げることにもつながるため、食習慣を改善する取り組みはとても重要とされているのです。また、果物と野菜以外に、豆類・全粒穀物などの植物性食品、魚介類、低脂肪食品の摂取も推奨されています。健康的な食事をするためには、どの食材をどのような組み合わせで食べるかを意識することが大切なので、果物だけでなくほかの食材も組み合わせて食べることを心がけましょう[3]。
※糖尿病やカリウム制限が必要な腎障害をお持ちの方は、摂取量について必ず医師の指示に従ってください。
果物は2型糖尿病の予防にも役立つって本当?
果物を食べることは健康にメリットがあるとはいえ、2型糖尿病のリスクを上げるのではと疑問を抱いた方はいませんか?
さまざまな食材と2型糖尿病の関連についてまとめた研究によると、1日に果物を200~300g摂取すると2型糖尿病の発症のリスクが10%減少したことが報告されています。
ただし、これ以上の摂取量と予防の関連は明らかになっていません。適量の果物を食べて2型糖尿病の予防に役立てましょう[4]。
果汁100%?砂糖入り?フルーツジュースと2型糖尿病の関係
フルーツジュースには、果汁100%のものと砂糖が加えられた果汁入り飲料があり、2型糖尿病へ与える影響がそれぞれ異なることがわかっています。
フルーツジュースと2型糖尿病の関連についてまとめた研究によると、果汁100%ジュースは2型糖尿病の発症のリスクとは関連していないことが報告されています。つまり、2型糖尿病の発症に対し、予防にもリスクにもならないということです。
一方、砂糖が加えられた果汁入り飲料は、飲む量が多いほど2型糖尿病の発症のリスクが高まることが報告されています。
いずれのフルーツジュースも2型糖尿病の予防にはならないという結果となりました。よって、フルーツジュースは嗜好品と捉え、生の果物とは区別しておくことが大切です。
2型糖尿病をはじめとした生活習慣病予防を意識する場合、飲み物は水かお茶などの糖類が入っていないものをおすすめしますが、どうしても甘い飲料が飲みたいときは、砂糖入り飲料ではなく果汁100%ジュースを選び、飲みすぎには注意しましょう [5]。
果物を上手に取り入れる2つのポイント
健康的な食生活を送るために、生の果物を1日200g食べることを目標にしましょう。
ここでは、果物を無理なく取り入れるためのコツをお伝えしたいと思います。
(1)果物200gの目安をイメージする
【生の果物200gの例】
・桃 2個
・みかん 2個
・りんご 1個
・梨 1個
・ぶどう 1房
・柿 2個
・キウイフルーツ 2個
・バナナ 2本
みなさんが普段食べている量と比べてどれくらいの差がありましたか?1種類では多く見えますが、数種類を組み合わせたり、1日に数回に分けて食べたり工夫できると良いですね。果物を食べる習慣がない方は上記の半分の量を目標にしてみるのも良いでしょう[1]。
(2)間食として食べると一石二鳥
普段食べているポテトチップスやケーキなどの間食を果物に替えることで、余分なカロリーや脂質・糖質を抑えることができ、果物1日200gの目標に無理なく近づけることができます。間食が我慢できないという方にもおすすめの方法です。スーパーやコンビニのカットフルーツや冷凍フルーツは、忙しい方でも手軽に取り入れられるので、ぜひ活用してみてくださいね。
※糖尿病やカリウム制限が必要な腎障害をお持ちの方は、摂取量について必ず医師の指示に従ってください。
新鮮な果物を取り入れて、彩りある食習慣に
果物に秘められたパワーについてご紹介しました。フルーツジュースだけでなく、缶詰やドライフルーツなどの砂糖を加えて加工した果物も嗜好品として捉え、生の果物とは区別して食べ過ぎないように気を付けましょう。新鮮な旬の果物は栄養価も高く、日々の食事に彩りを与えてくれます。ご自身の好きな果物を積極的に食生活に取り入れてみませんか?
【参考文献】(全て2022年7月30日閲覧)※外部サイトに遷移します
[3] 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編:高血圧治療ガイドライン2019
【プロフィール】管理栄養士 村上加織
「食の力で大切な人を健康にしたい!笑顔にしたい」という想いを実現すべく、管理栄養士の資格を取得。急性期病院に勤務し、給食管理や栄養指導を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。特定保健指導やコラム執筆などの活動を通して、食と健康に関する情報を科学的根拠に基づき発信している。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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