2022.06.02
人気の「ソイプロテイン」の秘密に迫る!管理栄養士おすすめの活用法をご紹介
近年、幅広い層に“プロテインブーム”が拡大しています。さまざまなたんぱく質製品が店頭に並んでいるのを見かけることも多くなりました。これまでは、動物性のホエイプロテインが主流でしたが、最近は、植物性のソイプロテインが登場し人気が高まっています。
プロテインをとる主な目的には、健康維持や美容、筋肉増強などがありますが、ソイプロテインはホエイプロテインと比べてどう違うの?と疑問をもたれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、研究論文を参考にその疑問にお答えしていきたいと思います。
そもそもソイプロテインってなに?
ソイプロテインとは、大豆由来の植物性プロテインであり、牛乳由来のホエイプロテインと同様に、良質なたんぱく質が補給できる栄養補助食品です。主な特徴は、消化吸収のスピードが遅く満腹感が継続しやすいこと、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをする大豆イソフラボンが含まれていることがあります。乳製品が体に合わない方やベジタリアンの方も取り入れやすいプロテインです[1, 2]。
プロテインの必要性は?どれくらいとればいいの?
たんぱく質を効率よく吸収するために役立つプロテインですが、あくまでも不足したたんぱく質を補うためのものであり、ご自身に合ったとり方をすることが重要です。
厚生労働省は、たんぱく質の1日の摂取量として、男性は18~64歳で65g、65歳以上で60g、女性は18歳以上で50gを推奨しています。令和元年の国民健康・栄養調査では、日本人の平均摂取量は男女ともに推奨量以上であると報告されており、日本人はたんぱく質が不足していない傾向があるようです。しかし、これは日本人全体の平均の話なので、ご自身の食生活を振り返って不足していないか考えることが大切です。
みなさんは、1日にどれくらいのたんぱく質をとれていますか?
以下の食品に含まれるたんぱく質量を参考にしてみてください。
たんぱく質を食事から十分にとれている場合は、プロテインを飲む必要性は低いと言えます。ただし、運動習慣のある方は必要なたんぱく質の量が多くなるため、取り入れてみても良いでしょう[3-5]。
“筋力アップにソイプロテインは不向き”は本当?
健康維持や美容を目的に利用する方が多いソイプロテインですが、筋肉増強にも活用できるのでしょうか?
ソイプロテインとホエイプロテインの体への影響について、18〜65 歳の男女を対象に調査した複数の研究があります。これらをまとめたメタアナリシスの結果、ホエイプロテインの補給が除脂肪体重(体重から脂肪の重さを引いた体重で筋肉量の指標となる)を有意に増加させる一方、ソイプロテインでは有意な変化が見られませんでした。ただし、運動をした場合では、ソイプロテインの補給により除脂肪体重が有意に増加したということが明らかにされています。
つまり、ソイプロテインを筋肉増強に役立てたい場合は、運動を並行して行うと良いということが言えるでしょう[1]。
“ソイプロテインはダイエットにいい”は本当?
先ほどご紹介したメタアナリシスでは、体重と体脂肪への影響についても調査されています。その結果、ソイプロテイン、ホエイプロテインの補給は、いずれも体重と体脂肪の変化と関連しなかったそうです。
つまり、ソイプロテインを飲むだけで体重が減るわけではないと言えますが、ダイエットに活用する方法があります。おすすめしたいのは、食欲のない朝の補助食、たんぱく質が不足している食事の補充として取り入れることです。また、腹持ちが良いことから間食としても活用できます。小腹が空いたとき、つい甘いお菓子やスナック菓子を食べてしまうことはありませんか?そのようなときにソイプロテインに置き換えることで、糖質や脂質のとりすぎを防ぐことにも役立ちます。また、プロテインのとりすぎは肥満の原因になるため、飲む量には注意しましょう[1, 6]。
筋肉増強もダイエットも、基本の食事を大切に
ソイプロテインとホエイプロテインの違いや共通点についておわかりいただけましたか?理想の体づくりのために、いろいろな食品を上手に活用していけると良いですね。ソイプロテインやホエイプロテインは味も違いますので、ご自身の好みのものを活用してみてください。健康を保ち、最大限のパフォーマンスを引き出すために、まずは基本の食生活に目を向けることから始めてみましょう。
【参考文献】(全て2022年4月8日閲覧)※外部サイトに遷移します
[6]厚生労働省:e-ヘルスネット|間食のエネルギー(カロリー)
【プロフィール】管理栄養士 村上加織
「食の力で大切な人を健康にしたい!笑顔にしたい」という想いを実現すべく、管理栄養士の資格を取得。急性期病院に勤務し、給食管理や栄養指導を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。特定保健指導やコラム執筆などの活動を通して、食と健康に関する情報を科学的根拠に基づき発信している。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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