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2022.04.07

“静かなる殺し屋”高血圧を予防・改善するための食事の4つのポイント


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高血圧は、生活習慣病にかかるリスクを高めてしまうことから、普段から注意をしたい症状の一つです。また、サイレントキラー(静かなる殺し屋)と呼ばれる恐ろしい特徴があるため、自覚症状がなくても気にしておきたい症状でもあります。

高血圧の原因には、乱れた食生活、運動不足、喫煙、ストレスなどさまざまなものがありますが、今回は食生活に注目し、知っておくべき4つの注意点について解説していきます [1] 。

放置するとどうなる?高血圧の危険な特徴

日本人では、脳卒中や心不全をはじめとした脳心血管病による死亡者数は、年間約10万人にも及び、その最大の原因が高血圧といわれています。

健康診断で高血圧を指摘されたにも関わらず、特に気にしていないという方はいませんか?高血圧を放置すると脳心血管病のリスクが高まるだけでなく、脳卒中を発症して後遺症が残った場合、介護が必要となる可能性もあります。

さらに、高血圧はサイレントキラー(静かなる殺し屋)と呼ばれるように“自覚症状がない”ことも大きな特徴です。気が付かないうちに高血圧の状態が長期間続き、突然、脳卒中や心筋梗塞を発症し命を落とすというケースも珍しくありません。知らず知らずのうちに放置してしまっている方が多いので、改めてご自身の血圧に意識を向けてみましょう [1] 。

高血圧を予防・改善する!食事の4つの注意点

高血圧の大きな要因の一つである食習慣。特に意識を向けていただきたい食事改善のポイントを4つお伝えします。

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(1)ストレスなく上手に減塩を続けよう

食塩摂取量が減ると血圧が下がるということが多くの研究で明らかになっており、減塩はとても重要な取り組みだといえます。

WHO(世界保健機関)は減塩目標として1日5g未満を推奨しており、高血圧の予防、改善のためにはこれを達成することが理想的とされています。一方、日本人の食塩の平均摂取量は男性10.9g、女性9.3g(令和元年国民健康・栄養調査より)とはるかに多い現状があります。この現状を考慮し、厚生労働省は減塩目標を男性7.5g未満、女性6.5g未満(20歳以上)と定めています [2,3] 。

ストレスなく上手に減塩を続けるためには、まずは薄味に慣れることを心がけましょう。こしょう・七味・しょうがなどの香辛料や香味野菜、かんきつ類の酸味を活用すると、食塩の使用量を抑えることができます。しょうゆ、ソースは“かけずにつける”こともおすすめです。また、麺のスープは全部残せば2~3g減塩することができるため、スープを飲む習慣のある方はぜひ試してみてください。食塩は加工食品からもとることが多いため、コンビニやスーパーでは栄養成分表示を確認し、できるだけ塩分が少ないものを選ぶことも大切です。

減塩は習慣にすることで無理なく続けることができます。すべて薄味にしなくてはいけないと負担に感じるよりも、1日のなかで調整できればOKと考えることも継続のコツになります[4] 。

(2)カリウムを含む食品を積極的にとろう

カリウムは、高血圧の要因となるナトリウムを体から排出する働きがあるため、積極的にとりたいミネラルです。野菜や芋類、果物に多く含まれますが、水に溶け出しやすく、加工過程における洗浄や精製により減少してしまいます。そのため、新鮮な野菜や果物を生のまま食べることや、溶け出したカリウムも摂ることができる汁物にして食べることをおすすめします。

ただし、肥満や糖尿病などが原因でエネルギー制限が必要な方においては、果物の摂取は1日80kcal程度にすることが推奨されているため食べる量には注意が必要です。また、カリウム制限が必要な腎障害をおもちの方は、野菜・果物の積極的な摂取は推奨されていませんので、ご自身の体調に合った食事量に調整しましょう [1,3] 。

(3)腹八分目を心がけよう

食べ過ぎは血圧上昇の要因となる肥満につながるため、普段から腹八分目を意識することが大切です。また、お菓子などの間食はなるべく控え、飲み物にも意識を向けてみましょう。炭酸飲料やコーヒー飲料などカロリーの高い飲み物を選ぶ習慣がある方は、なるべく水かお茶に替えることをおすすめします。

肥満者の高血圧発症率は非肥満者より2~3倍高く、減量することで血圧が下がると言われています。肥満の場合、4~5kgまたは3%の減量で血圧が下がることが期待されているため、減量の目安にするとよいでしょう。ただし、極端な食事制限にはリスクが伴うため、無理のない範囲で行ってください[1, 5, 6] 。

(4)お酒はほどほどに

お酒の飲みすぎは血圧上昇の要因になるため、節度ある飲酒を心がけましょう。適度な飲酒の1日の目安量は、男性でエタノール20~30mL以内とされており、ビールは中瓶1本、日本酒は1合、チューハイ(7%)は350mL缶1本、焼酎は半合、ウィスキーはダブル1杯、ワインは2杯に相当します。女性はアルコールの分解能力が男性よりも低いため、この半分の量が推奨されています。

また、糖質の多いお酒や、お酒が進み食事量が増えてしまうことが、肥満の原因となるため気をつけましょう。おつまみはできるだけあっさりとしたものを選び、塩分にも注意したいですね。おすすめのおつまみは、枝豆や冷奴など食材の味を楽しめるものや、塩分が入っていない素焼きのナッツ類です。いつものおつまみにぜひ取り入れてみてください [1] 。

まとめ:食事を見直し、無理なく高血圧の予防につながる習慣を身につけましょう

食習慣のみならず、さまざまな習慣を改善することが高血圧予防にはとても重要です。しかし、取り組んでいることがストレスになっては逆効果。ストレスは高血圧の原因となるため、無理なく継続することが大切です。無理なく実行できそうなことを見つけて、早速チャレンジしてみましょう。

【参考文献】(全て2022年3月8日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1] 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編: 高血圧治療ガイドライン2019

[2] 厚生労働省: 国民健康・栄養調査(令和元年)

[3]厚生労働省: 日本人の食事摂取基準(2020年版)

[4] 厚生労働省: e-ヘルスネット|高血圧

[5] 厚生労働省: e-ヘルスネット|調理方法によるエネルギーの違い

[6]厚生労働省: e-ヘルスネット|間食のエネルギー(カロリー)

【プロフィール】管理栄養士 村上加織

「食の力で大切な人を健康にしたい!笑顔にしたい」という想いを実現すべく、管理栄養士の資格を取得。急性期病院に勤務し、給食管理や栄養指導を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。特定保健指導やコラム執筆などの活動を通して、食と健康に関する情報を科学的根拠に基づき発信している。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。

【合わせて読みたい】

【特集】意外と知らない☆高血圧との付き合い方

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