2022.07.25
お茶は脂質異常症を予防・改善できるの?〜オススメのお茶も紹介〜
当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
トクホ(特定保健用食品)には「コレステロールが高めの人に適する」「血中中性脂肪が気になる方に適する」お茶があります。これは主に、生活習慣病の1つである「脂質異常症」の予防を目的としたお茶です。
しかし、私たちが普段飲んでいるお茶では、脂質異常症を予防・改善することはできないのでしょうか?
そこで、今回は私たちが日常的に飲むお茶には、脂質異常症の予防・改善効果があるのか解説いたします。効果のあるお茶をランキング形式で発表しますので、ぜひ最後までご覧ください。
脂質異常症について
脂質異常症とは、血液中に含まれる脂質の値が基準値から外れる症状のことです。
脂質異常症になると、動脈硬化のリスクが高まります。そして、動脈硬化が進行すると血管が詰まりやすくなるため、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性があります。
そこで、脂質異常症を予防・改善して、動脈硬化を防ぐ必要があるのです。
改善するにはどうしたら良いのか
脂質異常症を改善するには、血液中の脂質の値を基準値内に収める必要があります。
血液中の脂質は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)、善玉コレステロール(HDLコレステロール)、中性脂肪(トリグリセライド)の3種類に分類できます。
LDLコレステロール値の改善には、食事から飽和脂肪酸(※)やコレステロールを摂り過ぎないようにするとよいです。
(※)飽和脂肪酸とは、肉の脂身やバター、生クリーム、チョコレートの原料であるカカオの油脂などのこと
また、HDLコレステロール値やトリグリセライド値の改善には肥満を解消し、適度な運動が有効とされています。
お茶に脂質異常症の改善効果はあるのか
結論から申し上げますと、お茶には脂質異常症の改善効果が期待できます。
日本の代表的なお茶である緑茶にはカテキンが含まれる、ということは広く知られている事実です。
そしてポリフェノールの一種であるカテキンには
・食事に含まれるLDLコレステロールの吸収を抑え、排出を促す
・エネルギー消費を高める
働きがあるといわれています。
つまり、カテキンを摂取するとLDLコレステロールの吸収が抑えられて、血中LDLコレステロール値が改善されるのです。
またエネルギー消費を高め肥満を解消することで、HDLコレステロール値とトリグリセライド値の改善にもつながるといえるでしょう。
効果的なタイミング
脂質異常症の改善に効果的なお茶を飲むタイミングは、食事中です。
緑茶などに含まれるカテキンは、料理中のコレステロールの吸収を抑え排出を促す働きがあります。つまり、食事中にカテキンを含むお茶を飲むと、脂質異常症の予防・改善効果をアップできる可能性があるのです。
オススメのお茶ランキング
それでは、脂質異常症の予防・改善効果が期待できるお茶を3つ紹介いたします。
3位 抹茶
まず3位は、抹茶です。
抹茶は一定期間日の光に当てずに育てた茶葉を、乾燥させて茶臼で引いたものです。抹茶にはカテキンが含まれるので、脂質異常症の予防・改善効果が期待できるといえるでしょう。
ただし、抹茶や道具が家にないという方も多いのでは。実は100円ショップでも、抹茶の粉と抹茶道具を揃えられるので、ぜひお試しください。
2位 ジャスミン茶
次に2位は、ジャスミン茶です。
実はジャスミン茶は、緑茶にジャスミンの花の香りを移したものです。つまり、ジャスミン茶は緑茶と同じく、カテキンが含まれるので脂質異常症の予防・改善効果を期待できます。
好き嫌いの分かれる独特の香りはありますが、今まで飲んだことのない方もこの機会に試してみてはいかがでしょうか?
1位 緑茶
最後に1位は、緑茶です。
緑茶にはカテキンが含まれるので、脂質異常症の予防・改善効果を期待できます。
さらに、緑茶は私たち日本人にとって飲みなれた味です。食生活に取り入れやすい緑茶を飲みながら、脂質異常症を改善していきましょう。
他に脂質異常症の予防・改善効果は期待できるお茶はあるのか
カテキンの入っているお茶以外でも脂質異常症の予防・改善効果を期待されているお茶はあります。
ウーロン茶
ウーロン茶には特有のポリフェノールである「ウーロン茶重合ポリフェノール」が含まれ、腸管からの脂肪吸収を抑制することが報告されているそうです。
特定保健用食品にはウーロン茶重合ポリフェノールを強化したお茶があり、血中中性脂肪が気になる方を対象にしています。
また過去のデータですが、ウーロン茶でコレステロール値やトリグリセライド値の改善がみられた、という実験結果がありました。
ウーロン茶には脂質異常症の予防・改善効果が期待できそうですね。
ルイボスティー
ルイボスティーは南アフリカにおいて広く飲まれているハーブティーで、抗酸化作用(※)が強い点が特徴です。
(※)私たちの体において増えすぎると悪影響のある活性酸素の働きを抑える作用のこと
また、ルイボスティーを飲んだ人のLDLコレステロール値およびトリグリセライド値が減少した、という研究結果もあります。
まだ研究段階ですが、ルイボスティーは脂質異常症の予防・改善効果が期待されているお茶です。
杜仲茶
杜仲の樹皮は中国で古くから生薬として使われており、薬効としては降圧、利尿、鎮静作用があります。
一方で杜仲の葉は乾燥加工され、最近では日本でも健康茶として飲まれるようになりました。
杜仲の葉の効能は、血圧降下作用、抗肥満作用、抗酸化活性が挙げられます。
このうち、抗肥満作用によって脂質異常症の方の肥満が解消されれば、HDLコレステロール値とトリグリセライド値を改善できる可能性があります。そこで、脂質異常症の予防・改善効果がやや期待できるのです。
プーアール茶
プーアール茶は中国茶の1つで、茶葉の温度と湿度を調整し、菌の活動を活性化し発酵させたお茶です。プーアール茶は体を温める作用があり、血行不良や冷え性を改善したい人に好まれています。
また、プーアール茶はテアデノールが含まれます。テアデノールは抗肥満作用が期待されている成分で、プーアール茶のような発酵させたお茶にしか入っていないポリフェノールです。
今後の研究結果次第では、プーアール茶の脂質異常症の予防・改善効果がより高まる可能性もありますね。
健康効果の期待されるお茶
私たちの普段よく飲む、ほうじ茶・麦茶・そば茶は脂質異常症の予防・改善効果が期待できません。しかし、他の健康効果やメリットがあります。
ほうじ茶
ほうじ茶は緑茶の茶葉を炒ったものです。つまり、緑茶と原料は一緒なのです。ただし、茶葉を炒るとカテキンが揮発して減ってしまうので、脂質異常症の改善効果はあまり期待できません。
ほうじ茶のメリットは緑茶と比べて苦みが少ないことや、緑茶にはない香ばしさを楽しめることです。
麦茶
麦茶の原料は大麦やはだか麦で、殻のまま香ばしく炒って作ります。
そして麦茶にはポリフェノールが少量含まれます。ポリフェノールは活性酸素(※)を無害な物質に変える抗酸化作用をもつので、動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立ちます。
(※)活性酸素は私たちの体の免疫機能において重要な役割を持ちますが、増えすぎると生活習慣病を引き起こす要因となります。
そば茶
そば茶には、ポリフェノールの一種であるルチンが含まれます。ルチンには毛細血管を強くする働きがあるので、血流を良くし脳卒中などの予防に役立つでしょう。
参考記事:そばの栄養と効能効果~健康に良い理由を分かりやすくお伝えします~ ※外部サイトに遷移します
まとめ
以上、脂質異常症の予防・改善効果を期待できるのは、緑茶などに含まれるカテキンだと分かりました。
ただし、脂質異常症の予防・改善において大切なのは、日々の生活習慣の修正です。生活習慣を改善しつつ、サポートとしてお茶を取り入れると効果が期待できるといえるでしょう。
それでは当記事を参考に、脂質異常症の予防・改善のために役立てていただければ幸いです。
【参考文献】※外部サイトに遷移します
厚生労働省e-ヘルスネット
「健康食品」の安全性・有効性情報
健康長寿ネット
サントリー「肥満研究」
ウーロン茶重合ポリフェノールの血中トリグリセリド上昇抑制作用メカニズム
伊藤園
全国麦茶工業協同組合
J-STAGE
動脈硬化危険因子の低減に寄与する機能性食品成分とリポ蛋白の質的評価に関する研究
コレステロール負荷うさぎの血清脂質レベルに及ぼすウーロン茶の影響
発酵茶の生理活性物質teadenols A, Bとカテキン類の含量比較
NIH
ルイボス(Aspalathuslinearis)が心血管疾患のリスクのある成人の酸化ストレスと生化学的パラメーターに及ぼす影響
日本調理科学会誌
監修:編集長 宮田 亘造 H2株式会社 シニアマネージャー
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
執筆者:管理栄養士・調理師 前間弘美
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。
記事提供:H2株式会社
【あわせて読みたい】
ケトン体とは?仕組みからダイエットへの活用までわかりやすく解説
キムチの栄養と効能~健康に良い成分や食べ過ぎの注意点まで徹底解説~
提供元:お茶は脂質異常症を予防・改善できるの?〜オススメのお茶も紹介〜|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】