2020.04.28
脳のために。からだを動かしていますか?
---- 病気というわけでもないのに、なんだか頭が働かなかったり、仕事のパフォーマンスが上がらなかったりする日、ありますよね。そんなとき、ふと、「私の脳、大丈夫かな...」と不安になることも。もの忘れが多くなった親世代を見ても、将来への心配は尽きません。「人生100年」と言われる時代に、脳をいつまでも健康に保つには、どうしたらよいのでしょうか。認知症予防を専門とする精神科医の広川慶裕先生にうかがいました。
10年後、20年後が変わる! 脳の劣化をくい止める方法
「認知症」と聞いても、「まだまだ自分には関係のないこと」と思う方がほとんどでしょう。しかし、認知機能は40代から徐々に低下し始め、50代になると急激に落ちるということが言われています。そして、認知症は生活習慣病の終着駅だと私は考えています。からだの環境が悪くなるから、脳も劣化するしかない。つまり、20代、30代のうちからからだを整えておけば、10年後、20年後の脳の状態は将来の認知症になるリスクを大きく減らすことにつながるのです。
さらに、女性には更年期があります。女性ホルモンの減少により、からだにさまざまな不調が起こりやすくなるわけですが、実は、女性ホルモンというのは、記憶力をよくする働きもあるんです。そういう意味では、男性に比べて女性の方が認知症を発症しやすいし、話は少しそれますが、更年期にホルモン療法をすることは、10年20年先の脳の老化をやわらげるための、ひとつの強力な方法でもあるわけです。
記憶力に関係するホルモンは、女性ホルモン以外にもあります。最近話題になったのが、骨をつくるときに分泌される「オステオカルシン」というホルモン。若返りのホルモンと呼ばれていて、記憶力アップにも効果があります。さらに筋肉をつくるときに出るホルモンにも、記憶や若返りに効果があります。
「オステオカルシン」 ※外部サイトに遷移します
「かかと落とし」で 脳が働く環境を整備!
そこで、特に30代〜40代の女性に対して、声を大にして言いたいのが、「からだを動かしましょう」ということ。私は産業医として、多くの働く女性を見ていますが、皆さん、本当によく仕事をしています。働きすぎではないかと心配になるほどです。ランチの前後でもいいですから、意識してからだを動かしていただきたいと思います。
私が患者さんにおすすめしているのが、「開脚スクワット」と「かかと落とし」です。開脚スクワットは、肩幅くらいに足を開いて行います。股関節まわりもやわらかくなります。「かかと落とし」は、つま先立ちしてかかとをできるだけ高く上げ、そこからドスン、と、かかとを床に落とします。効果的なのは、飛び上がってドスン、とかかとで着地すること。頭頂に震動を感じるくらいの衝撃を与えるのがいいですね。骨全体に加重することで、「オステオカルシン」が分泌され、脳が若返ります。骨粗そう症の予防にもなります。1日10回を3セットくらいやるといいでしょう。
「開脚スクワット」と「かかと落とし」を一度にできるのが、相撲の「四股をふむ」ことです。力士が四股をふむときは、かかとをドーンと落としますが、あれは骨を強くしているんですね。とても理に適った動きです。
あとは歩くこと。階段では、上るのが辛いなら、下りるだけでもいい。大切なのは続けることです。日常生活の中でできることを習慣化して、脳が十分に活動するための環境をつくってあげてください。
----女性ホルモンが記憶力に関係しているとは! 脳が健康でいられる環境を整えるために、まずはからだを動かすことから始めてみましょう。次回は、脳の活動に必要なエネルギーについて教えていただきます。
広川慶裕
精神科医。認知症予防医として認知症やうつ病、統合失調症などの精神疾患治療に携わる。メンタル産業医でもあり、働く人のメンタルヘルスにも関わっている。認知症予防専門クリニック「ひろかわクリニック(宇治駅前MCIクリニック)」、「脳とこころの健康相談室(品川駅前MCI相談室)」院長。著書に『認知症の危険度がわかる自己診断テスト』『もの忘れ・認知症が心配になったら読む本』『認知症は予防できる!』『「認トレ®」で防ぐ認知症―完全4週間メソッド』などがある。
先生/広川慶裕(認知症予防医・ひろかわクリニック院長)
取材・文/剣持亜弥
イラスト/吉岡ゆうこ
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提供元:脳のために。からだを動かしていますか?|ワコール ボディブック