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2019.05.28

快眠に導くタイムマネジメントと寝具選びのポイント


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睡眠をしっかりとらないと、日中に睡魔に襲われたり、やる気が出なかったり、仕事の効率が落ちたり…と、さまざまな悪影響があります。それを回避する方法が、睡眠の質を上げて「快眠」を得ることです。快眠を得られれば日中のパフォーマンスも上がり、時間にゆとりもでき、ゆったり眠りにつける…という好循環が生み出せます。

充実した毎日を送るための、快眠を得る方法をご紹介します。

目次

-快眠とは?
-快眠が身体にもたらすうれしい効果
-快眠が得られない理由
-快眠を得るためのタイムマネジメント術
-快眠に導く寝室づくりと寝具の選び方

快眠とは?

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快眠とは、一般的に「朝に気持ちよく起床でき、疲労の回復を感じ、昼間に眠くなることがない状態」のことを指します。つまり、本人が主観的に「熟睡できた」と感じる睡眠のことです。

実は、睡眠時間を長くとったからといって、必ずしも快眠できるとは限りません。時間だけでなく質も重要です。たとえ短時間であっても、熟睡感を得ることができれば、快眠と捉えることができます。そのためには、眠る前の行動や寝室環境を整え、入眠の準備をしてから眠りにつくことが重要です。

快眠が身体にもたらすうれしい効果

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心地よい睡眠は、「ぐっすり眠れた」という満足感以外にも、身体にさまざまなメリットをもたらしてくれます。快眠が生む代表的なメリットをみていきましょう。

仕事効率がアップする

十分に睡眠をとると脳が活性化し、日中の活動でハイパフォーマンスが発揮できます。頭がスッキリとした状態で仕事に取りかかれるため、計算ミスなどのケアレスミスが起きにくくなるメリットもあります。

風邪をひきづらくなる(免疫力がアップする)

体力回復に大きく貢献してくれるのが、睡眠です。快眠によってしっかり休息をとると免疫力がアップし、風邪をひきづらくなるほか、高血圧や糖尿病、がんの予防になるという研究データもあります。

記憶力がアップする

睡眠には脳を休め、記憶を整理してくれる効果があります。快眠によってワーキングメモリー(一時的に情報を保持しながら作業するための記憶領域)が正常に働き、記憶力の向上やクリエイティブな発想が生まれやすくなります。

第一印象がよくなる(表情が豊かになる)

脳から顔面筋への指令がスムーズになるため、表情が豊かになり、第一印象で自然と好印象を与えやすくなります。

肥満リスクが下がる

快眠によってホルモンバランスが整うと、食欲が安定するため、肥満のリスクを低下させることができます。食欲を抑制する作用のあるホルモン「レプチン」と、食欲を旺盛にする作用のあるホルモン「グレリン」がバランスよく分泌され、食欲の抑制につながります。

また、睡眠によって、新陳代謝をアップさせ、脂肪を燃焼させる効果がある「成長ホルモン」が正常に分泌されるようになるため、カロリーが自然と消費されやすい身体になります。

快眠が得られない理由

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私たちの心身は、日々、さまざまなストレスや刺激にさらされており、それらが快眠を阻害している場合もあります。そこで、快眠を妨げる原因をみていきましょう。

原因1 体内時計の乱れ

人間には、1日のリズムを刻む「体内時計」という機能が備わっています。さまざまな刺激によってこの時計が乱れると、「朝起きて、昼に活動して、夜眠る」という生体リズムが乱れ、睡眠に大きな影響が出てしまいます。

人間の体内時計の周期は、実は地球の自転の周期である「24時間」よりも少し長く、個人差はありますが、およそ「24時間~25時間」ほどです。

本来、人間は朝の日差しや食事、運動などの刺激に影響されながら、自身の体内時計を地球のリズムにうまく合わせて生きています。しかし、暴飲暴食や夜に浴びる強い光などの過度な刺激を受けると、体内時計にズレが生じます。

また、運動不足などで身体への刺激が不足しても、同様にズレが生じてしまいます。その結果、本来なら眠れるはずの時間帯に眠気が訪れず、「眠りたいのに眠れない…」というストレスを抱えてしまいます。

原因2 自律神経のバランスが崩れている

自律神経とは、身体の休息モードと活動モードを切り替える身体機能のこと。ストレスなどの外部刺激によってこの自律神経が乱れると、休みたいときに興奮状態が続いたり、やる気を出さなければならないときに、その気になれなかったりといった症状が現れます。

夜は「興奮して眠れない」状態が続きやすく、眠れないストレスによってさらに不眠になるという悪循環に陥る場合もあります。

原因3 睡眠時間が合っていない

最適な睡眠時間には、個人差があります。一般的に、人にとって快適な睡眠時間はおよそ「6時間半から8時間」といわれていますが、それより多く眠らないとすっきり起きられないロングスリーパーもいれば、より少ない睡眠時間でも支障が出ないショートスリーパーも存在します。つまり、自分に最適な睡眠時間を知ることが大切です。

「眠ってもあまり疲れがとれない」と感じるのであれば、例えば30分だけ睡眠時間を増やしたり減らしたりして、自分に合った睡眠時間を探してみるのも一つの手です。1週間ごとに少しずつ睡眠の量を変えてみて、翌朝の爽快さをチェックすることで、自分にとって最適な睡眠時間を探ることができます。

なお、上記の原因の他、むずむず脚症候群(就寝中に脚がむずむずして起きてしまう病気)や睡眠時無呼吸症候群(就寝中に呼吸が止まってしまう病気)などの睡眠障害によって、眠りが妨げられてしまうこともあります。

快眠を得るためのタイムマネジメント術

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体内時計の乱れや、自律神経の乱れといった「快眠を妨げる要素」を遠ざけ、快眠を得るためのタイムマネジメント術をご紹介します。

就寝する3時間前には家に帰る

仕事の状況やライフスタイルによっては難しいかもしれませんが、できるだけ「就寝する3時間前」には帰宅することを心がけましょう。就寝時刻までの間に、体内時計に関係するホルモン「メラトニン」の分泌を、スムーズに行える身体にシフトさせる余裕が生まれます。

メラトニンは睡眠に欠かせないホルモンですが、心身が興奮状態にあると分泌が抑制されます。そのため、遅くまで仕事をしていたり、終電に乗るために走ったりするなどの行為は、メラトニンの分泌を抑制してしまう可能性があります。

まずは、早めの帰宅を心がけ、就寝3時間前にはメラトニンがしっかりと分泌されるように備え、リラックスした状態で睡眠に臨むようにしましょう。

ちなみに、帰宅後は強い明かりに当たらないように配慮する必要があります。
強い光には体内時計を遅らせる作用があるため、就寝直前まで光を受け続けることは、入眠の妨げになります。就寝時刻が近づいたら、できるだけ室内の明かりを落としてください。

お酒と食事も就寝3時間前まで

快眠には、入眠時や睡眠中のリラックスが不可欠ですが、心身をリラックスさせるには、胃腸を落ち着かせておく必要があります。飲酒や食事は、胃を活性化させてしまう元凶となるため、就寝3時間前までに済ませるようにしましょう。

どうしてもお腹が減ってしまうという人は、就寝前までに消化しきれる量だけにとどめ、消化がよいものを選んでください。

眠る前の食べ過ぎは、翌朝の胃もたれや便秘などの原因になります。また、胃や腸の調子が悪ければ朝食を抜いてしまうことが増え、結果的に体内時計の乱れにつながってしまうことがあります。

カフェインが入ったものは就寝6時間前までに

カフェインには覚醒作用があり、眠気を遠ざける効果があります。寝つきの悪さに悩んでいる人は、就寝6時間前になったらカフェインの摂取を控えるようにしましょう。ちなみにカフェインが含まれている代表的な食品は、コーヒーやお茶、栄養ドリンク、チョコレート、眠気覚ましのガムなど。摂取時間とともに、過剰な摂取にも注意してください。

入浴は就寝の約1時間前に

眠気は、身体の内部の温度(深部体温)が下がるときに発生します。深部体温を下げるには、いったん深部体温を上げることが必要。その際に有効な手段となるのが、「入浴」です。

入浴によって一時的に上昇した深部体温は、その後、急激に下降していきます。その深部体温が下がるタイミングで眠気が強くなり、スムーズに眠れるようになります。入浴は、体温低下のバイオリズムを考え、眠りたい時刻の1~2時間前までに済ませておくのがベストです。

その際、熱すぎるお湯は交感神経を刺激して覚醒作用が働いてしまうので、ぬるめ(38~40度)のお湯に浸かるようにしましょう。

快眠に導く寝室づくりと寝具の選び方

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快眠するには、リラックスして身体をあずけられる寝具と、寝室の環境づくりも重要な要素です。寝具選びのポイントと、寝室環境の整え方についてまとめました。

身体をリラックスさせる寝具の選び方

リラックスして眠るためには、「重すぎず、硬すぎず、寝返りが打ちやすく、適度な温度と湿度をキープできる寝具」が必要です。

自分に合った枕を選ぶ

枕を選ぶ際には、自分にとって安眠できる寝相をベースに考えます。たとえば、仰向けになって眠ることが多い人は、マットレスと後頭部のあいだを隙間なく埋めてくれる、ゆるやかなM字型の枕を。横向きになって眠ることが多い人は、寝返りを打っても頭が落ちない、大きめの枕を選びましょう。

夏と冬の掛け布団について

マットレスと掛け布団のあいだに存在する寝具環境のことを、「寝床内環境」と呼びます。心地よく眠るためには、この寝床内環境の温度を、体温より少し低い「33度」前後、湿度は50%前後にキープする必要があります。

そのため、掛け布団を選ぶ際は、夏冬ともに「寝返りを打ってもフィットしやすい、軽い掛け布団」を選ぶのが理想的。たとえば、夏布団の場合は湿度や熱を逃がしやすく、吸湿性のよい綿布団を、冬布団の場合は寝返りを打っても首まわりや肩が露出しにくい、軽い羽毛布団がおすすめです。

寝床内環境を快適な状態に維持する掛け布団を選ぶことで、快眠を得ることができます。

パジャマは、ゆったりとしたデザインのものを

パジャマは、吸湿性や通気性がよく、身体を締め付けないデザインのものがベスト。締め付けが弱いほど、リラックスした状態で眠りにつくことができます。

寝室環境の整え方

寝具とともに重要なのが、寝室環境の整備です。

室内の温度を適温にする

快適な睡眠のため、過ごしやすい室温にしましょう。夏は26度前後、冬は18度前後がおすすめです。特に冬は室温と寝床内環境との温度差が大きくなりやすいため、あらかじめエアコンなどで室内を暖めておきましょう。

寝床内環境と室温との温度差を減らすことで、布団から急に寒い室内に出たときに起こりやすい「ヒートショック(※)」を防ぐことができます。

※急激な温度変化により、血圧が大きく変動して起こる健康被害。脳卒中や心筋梗塞、失神などの原因となり、入浴中に発生すると溺死や急死につながる危険性も。

冬は寝具の温度も上げておく

冬は寝室だけでなく、「寝具」の温度にも配慮が必要です。寝具の冷たさが原因で無理な寝相になってしまわないよう、湯たんぽなどで寝具を温めておきましょう。

夏場は布団よりベッドがおすすめ

蒸れやすい夏は、寝具にも湿気がたまりやすい季節です。シーツのべたつきやムレによって眠りが浅くなることがあるため、できれば通気性のよいベッドでの就寝がおすすめです。もし、ベッドが置きにくい間取りの場合は、布団の下にスノコを敷くなど、通気性をアップさせる方法もあります。

寝室に余計なものを持ち込まない

寝室の中には、娯楽アイテムを持ちこまないようにしましょう。特に避けたいのが、メラトニンの分泌を抑制するブルーライトを発する「スマートフォン」です。
一度横になったら、できるだけ眠ることだけに集中しましょう。

<参照>
▼書籍
『ビジネスパーソンのための快眠読本』白川修一郎(ウェッジ)
『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』白濱 龍太郎 (アスコム)
『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』三島和夫、川端裕人(日経BP社)
『「いつも眠い〜」がなくなる快眠の3法則』菅原洋平(メディアファクトリー)

photo:Getty Images

※体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

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