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2019.06.07

中途覚醒で夜中に目が覚めるときの対策とは?|眠りの質改善法


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睡眠中に、意図せず目が覚めてしまう「中途覚醒」。夜中に何度も起きてしまい、寝た気がしない、という経験がある方も多いかもしれません。

今回は、朝までぐっすり眠るための対処法や、中途覚醒の予防法を紹介します。

目次

-中途覚醒とは
-中途覚醒の原因
-中途覚醒の対処法
-中途覚醒の予防法

中途覚醒とは

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中途覚醒は、眠っている間に途中で目が覚めて、そのあと寝つけなくなってしまう症状のこと。一晩に2回以上目が覚め、そのあと寝つけなくなることが週3回、3ヵ月以上続く場合には、「睡眠障害」の一つである「不眠症」の可能性が高まります。

中途覚醒は、覚醒と睡眠のバランスが崩れてしまうことで起こります。また、加齢によって、その頻度が増えていきます。生活リズムや精神状態も影響するので、中途覚醒が起こる要因はさまざまです。

中途覚醒が起こりやすい人

高齢者

睡眠中は、脳が覚醒状態で身体は休んでいる「レム睡眠」と、脳と身体の両方が休む「ノンレム睡眠」を繰り返すサイクルがあります。加齢に伴い睡眠の状態も変化しますが、60歳以上の高齢者は、このサイクルが不安定になるため、中途覚醒が起こりやすくなります。

交代勤務、生活リズムが不規則な人

交代勤務の不規則な労働時間に合わせた生活リズムは、自然の明暗リズム(太陽の動きのリズム)とのずれが生じます。人間の睡眠・覚醒リズムは明暗リズムと深く結びついているため、勤務時間に合わせて睡眠・覚醒リズムを無理に変えようとすることで体内時計が狂い、中途覚醒が起こりやすくなります。

真面目なビジネスマン

中途覚醒は、忙しい人や、責任感が強い人にも起こりやすい傾向があります。特に30~40代の働き盛りの生真面目なサラリーマンは、帰宅後も仕事のことを気にして緊張状態が続きがち。その結果、眠りが浅くなり、中途覚醒が起こりやすくなります。

中途覚醒の原因

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中途覚醒のメカニズム

中途覚醒を引き起こす原因はさまざまですが、レム睡眠時に起こりやすい傾向があります。レム睡眠時は身体が休んでいて、脳は覚醒しているので、眠りが浅く、外的要因によって目が覚めてしまいやすい状態です。

病気が原因の場合

中途覚醒は、生活習慣だけではなく、病気が原因で起こる可能性もあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に気道が閉塞する病気。10秒以上の呼吸停止が、1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上発生すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。睡眠中に呼吸が制限されることで、脳に酸素が行きわたらなくなり、その結果、眠りが浅くなるために中途覚醒が起きます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患は、「慢性気管支炎」や「肺気腫」などの呼吸器系の病気の総称です。たばこの煙に含まれる有害物質などが原因で、肺が炎症を起こし、呼吸がしづらくなります。高齢者に多いのが特徴で、加齢による睡眠の質の低下に加え、睡眠中に呼吸の異常(睡眠呼吸障害)を感じ、夜中に目が覚めてしまうことがあります。

皮膚疾患

じんましんやアトピー性皮膚炎などに代表される皮膚の疾患のかゆみなどが原因で眠れなくなり、掻いているうちに覚醒してしまいます。

むずむず脚症候群

ムズムズと虫が這うような感覚や、痛がゆいなどの不快感があり、脚を動かさずにいられない状態になる病気です。じっとしていると症状がひどくなるため、なかなか寝つけなかったり、睡眠中の不快感で目が覚めたります。

周期性四肢運動障害

脚の関節が反り返ったり、膝がぴくっと上がったりする症状が1時間あたり15回以上起こり、中途覚醒や熟眠障害の原因になると考えられています。本人には自覚症状がない場合が多いため、入院して検査する必要があります。

※「熟眠障害」は、ぐっすり眠ったという感覚が得られない症状を表すために使用しています。

うつ病

不眠や食欲不振などを含めた特定の症状が、2週間以上にわたりほぼ毎日続く病気。感情や意思をつかさどる、脳内の神経伝達物質の分泌に異常が生じることが原因だと考えられています。睡眠の質が低下するため、中途覚醒が起こりやすくなります。

中途覚醒の対処法

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中途覚醒が続くと、睡眠の質が低下し、身体や脳の疲れが取れなくなります。夜中に目が覚めることが気になって眠れなくなったり、目が覚めた後に再び眠れなくなったりする場合は、以下の方法を試してみましょう。

刺激制御療法

刺激制御療法とは、「寝室=眠る場所、眠れる場所」というイメージを自分の中に植え付けて、熟睡できるように意識をコントロールする方法です。

寝床で横になっても寝つけない日が続くと、寝室に行くことさえ苦痛に感じてしまうようになります。そうならないために、以下を参考に寝室での過ごし方や生活習慣を見直しましょう。

<刺激制御療法のやり方>

(1)眠くなったときにだけ布団に入る。
(2)寝室を睡眠とセックス以外に使わない。読書やテレビの視聴は別の部屋を使う。
(3)本当に眠くなるまで寝室に入らない。
(4)夜中に目が覚めてしまったら、別の部屋へ行き、眠くなったら寝室に戻るようにする。
(5)どんなに眠れなくても、毎朝同じ時刻に起きるようにする。
  日中、昼寝は15~20分程度におさめる。

筋弛緩法

身体のさまざまな部分に力を入れてから一気に力を抜くという動作を繰り返し、力が抜けたとき(リラックスした状態)の感覚をつかんで、スムーズに入眠する方法です。人間はストレスを感じると心身の状態が安定せず、無意識に身体を緊張させてしまいます。

筋弛緩法は、15分程度の簡単な運動で緊張をほぐすことができるので、不眠に有効であるといわれています。

時計を見ない

起きるたびに時計を見たり、トイレに行った回数を数えたりすると、「また起きてしまった」と意識してしまい、再び眠りに入ることができなくなります。起きた回数や時刻は気にしないようにしましょう。

いったん布団から出る

眠れない状態で長時間布団の中で過ごすと、眠れない時間が続くことで焦りを感じ、余計に眠れなくなります。無理をして眠り直そうとせず、いったん心を落ち着かせて睡眠のスイッチが再び入るのを待ちましょう。

一度、布団から出て、ホットミルクを飲んだり、ゆったりとした音楽を聴くなどしてリラックスし、眠気がくるのを待ちましょう。

中途覚醒の予防法

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中途覚醒が起こらないようにするためには、生活習慣を変えることが大切です。悪い習慣をやめ、よい習慣を取り入れて、睡眠の質を良くしましょう。

寝酒を控える

アルコールには、眠りを浅くする作用があるため、寝酒は控えましょう。お酒を飲むと寝つきがよくなるようにも感じられますが、お酒を飲んだときの睡眠の質は決してよくありません。

さらに、アルコールには利尿作用があり、夜中に頻繁にトイレに行きたくなります。お酒を飲むときは、就寝3時間前までにして、アルコールが抜けてから眠るようにしましょう。

時計を隠す

夜中に目が覚めたときに「今、何時だろう」と、時計を確認することをやめましょう。その習慣は中途覚醒を意識づけてしまう要因になります。時計があると、起きてしまったときにどうしても気になってしまうので、あらかじめ隠しておきましょう。

寝室はもちろん、夜中に起きてトイレに行くとき、目に入る時計も含め、見えないように隠しておきましょう。

水分のとりすぎに気を付ける

トイレに行きたくなって何度も起きてしまうという人は、水分のとり方に気をつけましょう。

1日に摂取する水分量を午前と午後で調整するだけでも排尿量のバランスが変わり、トイレの回数を減らす効果が期待できます。午前中に積極的に水分をとり、午後から夜にかけては水分摂取量を控えめにしましょう。

湯船につかってから眠る

快眠のためには、身体の中心の「深部体温」をいったん上げてから下げることが重要です。深部体温がストンと下がるときに、自然な眠気を感じられるためです。

深部体温を上げるために効果的なのが、入浴です。眠る1~2時間前までに38℃~40℃のぬるめのお風呂に入って体温を上げると、そのあと深部体温が下がってスムーズに寝つくことができます。

静かな環境をつくる

クーラーの室外機や洗濯機のような連続音、車や電車が通過するときのような間欠音、ドアの開け閉めなど、睡眠に悪影響を及ぼす騒音をシャットアウトしましょう。

騒音の大きさによって睡眠への影響度は異なりますが、連続音に比べて間欠音や衝撃音の方が睡眠を妨害します。一般に、40デシベル(昼間の閑静な住宅街や図書館内などの騒音レベル)を超えると眠りにくくなり、覚醒度が上がります。窓に防音フィルムを貼ったり、遮音カーテンを付けたりするだけでかなり遮音できます。

就寝前の過ごし方を少し変えるだけでも睡眠の質は上がります。深く眠れるよう、よい習慣を身に付けましょう。

<参照>
『睡眠障害のなぞを解く』櫻井武(講談社)
『薬を手放し、再発を防ぐ認知行動療法で改善する 不眠症』岡島義、井上雄一(すばる舎)
『一瞬で眠りにつく方法』坪田聡(宝島社)

photo:Getty Images

※体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

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