2018.12.21
【特集/女力を支える骨盤】 生活上のクセにご用心
----特集「首〜デコルテに美は宿る」で、首のこりやしわは、「姿勢の悪さと日常生活の動作の多くが、左右・前後のどちらかに体重がかかっていることが主な原因」という話をしました。骨盤の位置がズレる原因もどうやら同じようです。日常生活のちょっとしたクセが骨盤にどんな影響を与えているのか、バランスを整えるためのボディワークも行っている中村格子先生に伺いました。
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骨盤は上半身を支え、姿勢を 安定させるからだの土台
骨盤はひとつの骨ではなく、仙骨、その下にある尾骨、仙骨と尾骨を中心に左右一対にある寛骨(腸骨、坐骨、恥骨から構成)のこと。上半身と下半身のつなぎ目であり、上半身を支える土台です。胴体部分の骨はほぼ左右対象ですが、骨盤から下にある脚は2本に分かれているため、つなぎ目部分の骨盤に高さが違う、ねじれるといった左右差が出やすいのです。からだのつくりから見ても、左右差は多少あるのが普通ですが、片方の脚に体重をかけて立つ、脚を組むときはいつも同じ脚が上にくる......など、なにげない日常のクセが加わることで、左右差がさらに広がるのです。
左右差もさることながら、多く見られるのは骨盤が前傾、もしくは後傾しているパターン。骨盤を構成する骨のひとつ、仙骨が前に傾くと反り腰になり、後ろに傾くと猫背になるのですが、前傾している人は股関節周りの筋肉と腹筋が抜けやすくなるため、おなかがポコっと出たり、腰痛になりやすい。後傾している人は、腸腰筋が縮みやすくなるため歩幅が狭くなるなど、歩く姿や佇まいに"老け感"が出たり、O脚になったり、お尻が下がってきます。骨盤の左右差や前後傾は、日常生活のクセによる部分が大きいのですが、骨盤を安定させる役割を担っている腹横筋や多裂筋、骨盤底筋群などの筋力が、加齢によって低下することも一因です。女性は男性に比べ、上半身の体重を受け止めている仙腸関節(仙骨と腸骨・坐骨・恥骨の重なっている面)がもともと柔らかいので、周囲の筋肉が衰えてくると上半身の体重が仙腸関節にダイレクトに伝わり、痛みが出てくることもあります。
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スカートがくるくる回る人も 左右差を疑って
骨盤の前後傾は、猫背か反り腰かといった見た目の特徴でおおよその判断ができますが、ウォシュレットの洗浄ボタンでもその特徴が出ます。骨盤が後傾している人は、「お尻」ボタンより「ビデ」ボタンのほうがお尻に当たりやすく、使いやすいようです。時間が経つとスカートのウエスト部分が左右どちらかにくるっと回り、ファスナーの位置がズレてしまう人は、左右差があると思っていいでしょう。足を組む、バッグを肩にかける、立つ(座る)といった動作をするとき、無意識に左右どちらか一方に体重をかけている人がほとんど。仙腸関節や股関節に痛みがある人は専門家に診察してもらう必要がありますが、まずは日常生活の動作を意識して、自分のクセをチェックしてみてください。
----骨盤のズレは、姿勢の悪さや体型の崩れなど見た目の印象が悪くなるだけでなく、仙腸関節痛が出てくることもあるため、ニュートラルな状態に戻さなければなりませんが、「骨盤矯正などで一時的に立ち姿を整えても、左右均等に使えるようになるかというと、それは疑問ですね」と中村先生。日々の生活で自分のクセを意識したり、ストレッチを行うことのほうが効果的。ということで、次回は習慣にしたいストレッチをご紹介します。
中村格子
Dr.KAKUKOスポーツクリニック 院長。整形外科医、医学博士、スポーツドクター。ベストセラー『実はスゴイ!おとなのラジオ体操』(講談社)をはじめ、『体のコリがすべて消える 究極のストレッチ』(日経BP社)など著書多数。
執筆/中村格子 (Dr.KAKUKO スポーツクリニック 院長)
取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ
※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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提供元:【特集/女力を支える骨盤】 生活上のクセにご用心|ワコール ボディブック