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2018.12.17

「自炊力」が食生活改善にここまで重要なワケ|自炊できなくても自分を責めてはいけない


自炊力もこれから問われ続けるスキルとなります(写真:Ushico / PIXTA)

自炊力もこれから問われ続けるスキルとなります(写真:Ushico / PIXTA)

面倒くさい? 時間がない? 料理が嫌い? いつまでも「誰かがご飯を作ってくれる」わけじゃない今の時代。フードライターの白央篤司氏の著書『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』を基に経済的で健康的でおいしくて楽しい生活のためのスキルの一部を紹介します。

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生きていくうえでとても大事なスキル

「料理力より、自炊力を」前々から、こう思っていました。私の思う「自炊力」とは、

・自分で買い物に行って、その場で献立を決められる

・食材の質と値段のバランスを考えつつ買い物ができる

・その時に買ったもの、家にすでにあるものを取り混ぜつつ、数日分の献立を作り回していける

・なおかつ栄養バランスを考えられる

といった能力の総合力です。生きていくうえで、とても大事なスキルです。

こういうことを考えるようになったのはまず社会に出て、生活習慣病にかかる先輩方を少なからず見てきたということがあります。高血圧や糖尿病になり、食事が制限されてしまう。働き盛りで食べる楽しみ、飲む楽しみが制限されてしまうつらさは、想像に難くありません。将来そういう状況になって、病気のことを考えた料理を作ってくれる人もなく、自炊も苦手だとしたらどうなるか?

さらに現代はパートナーに頼りきるような時代でもないですよね。生活習慣病に限らず、加齢と病気はセットのようなもの。どんなに心がけていても何かしらにガタはくる。そのとき「何をどう食べたらいいか、何を補給し、減らすべきなのか」を考え、情報を適切に取捨選択しつつ、食事を自分で賄えるスキルは男女問わず必要ではないでしょうか。

また2つ目には経済的な理由もあります。その時々で安い食材を調理・保存でき、うまく使い回せる食生活を送れたら、こんなにいいことはありません。

そして特別おいしくとまではいかずとも、自分なりに満足のいく味つけができるスキルを保持できれば、人生を通じて自分のQOL(Quality of Life:生活の質)をかなり上げられるはずです。

私は30歳でフリーランスのライターになったこともあり、健康と経済性のことを強く意識して食生活を送るようになりました。

簡単にいえばその日の特売品をうまく使い回して、なるべく無駄を出さずに、なるたけおいしく食費を切り詰めたい、ということです。ともかくも料理は場数、できる限り料理をするようになりました。そして、焦りもありました。年を取るとだんだんと学ぶことも億劫になっていくに違いない、早く自炊力を身に付けておかなくては、という焦燥感です。

テレビでたまに、料理教室に通う中高年の姿が報じられることがあります。この手の番組はよく「何かを始めるのに遅いなんてことはひとつもない!」といった、きれいな言葉でまとめられています。これが私は、ずっと疑問でした。

何かを学ぶというのは「やる気・経済力・時間」の3つがそろって初めて成立するもの。中高年以降にこの3つがそろう人は相当少ないと思うのです。

現在の20代、30代は貯蓄意識がとても高いと聞きます。「将来、病気になったときの出費が心配」と懸念する人が多いのだとか。保険に対する関心も高いようです。そういう人たちにこそ、「自炊力の取得」を訴えたい。経済的に料理をしつつ、栄養のことも考えられ、余った食材を次の料理に使い回せるスキルの取得を。

しかし仕事やほかの家事、育児などで余裕がなく、料理にかける時間と手間はなるべく少なくしたい、という人が多いのも現代の潮流。

「自炊が大事なんてわかっている。けれどそれをやる気力がないのだ」という声も、これまでたくさん聞いてきました。

世の中には、これから料理を覚えようという人のための本はいくらでもありますね。簡単料理、時短料理(調理時間が数分しかかからない料理)のレシピ本も山ほどあります。ですがこれらは「料理を始めよう」という決意と準備が整った人のためのもの。

「料理をするのは今のところ難しいけれど、そりゃ食生活は少しでもより良いものに変えたい、変えていきたい」と願う人にこそ、「こんなことでもOKなのか」というヒント集が必要だと私は思っていました。

さらにいえば「料理ひとつもできず、恥ずかしい、情けない」と自分を責めている人も少なからずいます。その自責の念によってさらに自炊から遠ざかってしまうという悪循環。拙著『自炊力 料理以前の食生活改善スキル』は、そんな人たちへの応援歌のつもりで書きました。

面倒くさいことは誰しもあるもの

料理において何を面倒くさいと思うか?

これも人によりけりですね。たとえばこの私なら正直、家で揚げものをしようとはあまり思いません。それからひき肉をこねて作る料理がどうにも……面倒くさい。

揚げものは何度もトライしてきました。もちろん家での揚げたては格別のおいしさ。食べる瞬間はすごくうれしいし、達成感もひとしおです。

けれどやっぱり……揚げ鍋の片づけ、油の処理を思うと腰が引ける。うまいことカラッと揚がらないときの徒労感、失望感もハンパない。

そしてハンバーグやつくねなど、ひき肉をこね合わせる作業が必要なレシピも私にはどうにも煩わしく。どちらも食べるのは大好きなんですけどね。

人間、何度もやるほどに慣れてきて「最初は面倒だったけど、回数を重ねるうちそう思わなくなった」となるものと、「何度もやるうち、やっぱり私にはこういう作業は向かないとわかった」となるものとにハッキリ分かれるようです。

なのでわが家の場合、揚げものやハンバーグなどは基本「買う」か「外で食べる」ことがほとんど(ごくたまに、気が向いたときだけやります)。

面倒なことはやらない、避けるというのも自炊を嫌いにならないコツだと思うのです。料理においてどうにも負担に思えてしまうこと、なるべくならやりたくないことって、自炊を続けているとだんだんとわかってきます。

ハンバーグ、ちょっと待った!

さて、ちょっと余談ついでですが……料理し始めって、どうにも小難しい料理からトライしてしまう人が多いように感じています。その代表格はハンバーグ。ポピュラーな料理ですが、ビギナーがいきなりトライするにはいささかハードルが高いと思うのですよ。

タマネギをみじん切りにして涙を流し、ひき肉をこねてもほどよく練れたかどうかわかりにくい。さらには焼いたとて中まで火が通ったかもわかりにくい。完成したはいいけれど、付け合わせのないハンバーグはうら寂しい。ソースを別に作るのはさらに面倒。終わってみればたくさんの洗いもの……。

これで料理、懲りちゃったという人もいるのではないでしょうか。日本全国に「1、2度使われて、以来ずっと戸棚で眠りっぱなしのナツメグパウダーの瓶」がいったい何本あることか。またハンバーグのためにパン粉を買ったはいいけれど、以降ずっと使っていないという人も多そうな。

私のおすすめ、豚しゃぶサラダ

初めのうちは、「切る・加熱・和える」の3工程でできるような料理が個人的にはおすすめです。たとえば豚しゃぶサラダのような料理。野菜を切って、肉をゆでて、ポン酢かドレッシングで和えれば完成です。

肉は、「しゃぶしゃぶ用肉」を買ってくれば切らずに済みます。レタスとキュウリとプチトマトなんかを洗って、水気を切って、自分が食べやすい大きさに切る。味つけは私ならおろしポン酢にしたいところですが、ごまだれもいいですね。一緒に豆腐を切って、残りの野菜をのせてポン酢などをかければ2品が完成です。

ミョウガを刻んだり、おろしショウガを添えたりしてもいいですね。ドレッシングやポン酢、または焼き肉のたれなど、それ1本で味つけがビシッと決まるものを活用すると、失敗知らずで楽ですよ。カイワレなどのスプラウトを足してもいいし、慣れてきたらブナシメジを肉と一緒にゆがいて足してもいい。

豚しゃぶサラダのいちばんのポイントは加熱です。ぐらぐらと沸騰しているところに入れると肉が硬くなっておいしくない。沸騰したら少量の水を入れて、それから肉を入れてください。肉のピンクのところがなくなれば引き上げて、軽く冷ましたらキッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。このひと手間で味も薄まらず、おいしくいただけます。

さて、突然ですがここからは私の自炊日記。日頃こんなふうに調理し、買い物をして、食材の使い回しをしているという一例となればと思い、手前みそながら記させていただきます。まだまだトライ&エラーの多い毎日ですが、何かの参考になれば幸いです。

○月△日 実は手軽な肉そぼろでお弁当を

わが家は2人暮らし、ツレは会社員で私がフリーランスのライター。私が炊事、あちらが掃除担当、という家事分担。平日の朝はいつも弁当作りから始まります。

ある日の月曜日はそぼろ弁当にしました。うちは基本、「昨日特売だったもの」がその日のおかずに。昨日のスーパーでの特売は合いびきミンチ、ピーマン、ナス。そして見切り品でレンコンがありました。

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肉そぼろって、覚えてしまえば割に手軽な一品。鶏ひき肉、豚ひき肉、合いびき、牛ひき肉、どれでやってもそれぞれのおいしさがありますね。ひき肉をショウガのみじん切りと軽く炒めて、酒、みりん、しょうゆで味つけ。チューブのおろしショウガ、めんつゆで味付けすればさらに手軽ですよ。

楽したいときはめんつゆ、私は積極的に使用しています。味が決まりやすいのがうれしいところ。

煎り卵は塩など加えず、私は溶き卵をそのまま炒るだけ。ひき肉やほかのおかずの塩気で食べてもらいます。こうすることでほんのちょっと減塩。

レンコンは薄切りにしてきんぴらに。ピーマンとジャコ(小魚の干したの)のごま油炒めは週末の作りおきでした。ピーマンとジャコをごま油と酒で炒めて塩コショウしただけですが、これがなかなかおいしい。

ジャコの代わりにツナでやってもいいですよ。レンコンも3日分ほどこの朝に作りおき。水曜ぐらいまでは持たせたいところです。

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提供元:「自炊力」が食生活改善にここまで重要なワケ|東洋経済オンライン

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