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2018.12.19

「大黒柱」として稼ぎ続ける男性たちの本音|働けない妻の背景にある、辞められない夫


共働きが普通になった今日、専業主婦を妻に持つ男性の考え方とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

共働きが普通になった今日、専業主婦を妻に持つ男性の考え方とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

私が社会人6年目で妊娠したころ、あるいは、育休から復帰し、仕事と育児の両立をしていたころ。周囲の男性同僚たちに「いいなぁ」「ずるい……」と感じたことは、多すぎて数えきれない。

妊娠・出産を経なくても自分の子どもを持てる、あるいは思う存分仕事をして、帰ったらかわいい子どもがきちんとケアを受けることができている。なんとうらやましいことか。そして学生時代からの男友達や同期の男性が専業主婦志向の女性と結婚していくのを見ると「ふーん」と、何か出し抜かれた感覚すら覚えていた。

だったら主夫と結婚すればという声もあるだろうが、大黒柱の気持ちとは、あるいは専業主夫の気持ちとはどのようなものだろうか。

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育児をしていると、私の場合は外で働いているほうが楽に思える(もちろん人により、向き不向きや好き嫌いもあるだろうし、大変さは子どもの性質や年齢にもよる)。とりわけ今、3歳の子の幼稚園が冬休み中で家で1日中見ているだけに、未就園児の子どもを抱える専業主婦の大変さは身に染みる。育休中やシンガポールに来てからしばらくは専業主婦状態になった経験から、専業主婦の置かれている状況は比較的身近に感じてきた。

その点、もっとも立場的に共感しづらいのが専業主婦の妻がいる男性たちだ。お会いすることはあっても、もっぱら仕事の話で完結してしまうことも多く、あまりこれまで家庭について深く話を聞いてみることもしてこなかった。

今回は、共働きではなく、専業主婦を妻に持つ男性側へのインタビューから男性側から見た「専業主婦前提社会」を見てみたい。

専業主婦の妻がいるアドバンテージ

マスコミ系勤務の寺田さん(40代半ば、仮名)の妻は専業主婦歴20年あまり。寺田さん曰く、

「妻はバイトは少しやっていた時期があるのですが、外で働くのが向いていないんです。働きたいと言い出したこともないし、心身に不調をきたしそうだから僕も働いてほしいとも思わない。一方、子どもが生まれたときには『天職』『このために生まれてきたのかも』というくらい、家事や育児は向いているみたいです」

3人の子を産み育て、寺田さんの転勤にも帯同し、妻として母として役割を果たしている。

3人の子と妻を養うことに対し、寺田さんは次のように話す。

「稼がなきゃ飢え死にだなと思うことはあるし、転職はしにくいかもしれないですね。一度、転職のお誘いを受けたことがあって、働き方を変えたくて検討もしたのですが、収入が落ちるので断念しました。ただ、もともと育った家庭が貧しくも楽しく、夫婦ともに贅沢をするタイプではないので、子どもは公立で慎ましく家族仲良く、楽しみは週末の家族そろってお母さんのごちそうみたいな生活をしています」

一方で、職場では管理職の立場。若い世代には「奥さんが専業主婦なんて、すごいっすね」と言われるというが、自分たち夫婦はたまたま向き不向きで分業をしているだけ。自分より上の世代の、専業主婦の妻がいることを前提にした働き方には疑問を感じるという。

「自分は妻と完全分業であることで、共働きの同僚に対してアドバンテージがあることは自覚しています。僕は仕事だけしていればいいので、楽だよな、と。子どものお迎えで早く帰りますという社員を不当に低く評価するオジサンもいて、そういう人たちは想像力がないし想像する気もないんだなと不快な気分になります。選択肢が限定されるような制度設計、慣行は少しずつでも変えていくべきだと思います」

より積極的に専業主婦を選択しているケースもある。「もともと妻は専業主婦志望で、それが前提で結婚したので」と話すのは、大手人材系社員の山本さん(30代後半、仮名)。「稼ぎ続けなきゃという意識はある」ものの、プレッシャーは「そこまで感じない」。ただし、「生命保険はちゃんと入りました」「自分が死んだらどうなるということのほうが気になりますね」と家族をおもんぱかる。

山本さんも海外勤務経験者だが、専業主婦なら問題なく転勤に帯同できるというわけでもない。山本さんは妻の2人目出産直前に中国転勤となり、何年になるかが見込めなかったこと、大気汚染の心配があったことから、単身赴任で出発した。

日本にいても多忙で家事育児にはなかなか関われなかった。妻はむしろ山本さんの単身赴任中は実家に戻ることができ、親のサポートを得ながら子育てができて喜んでいたという。途中、何度か帯同してこないかと持ち掛けたが、妻に断られ結局、単身赴任は3年半に及んだ。「さみしかったですよ。通信機器がなかったら顔も忘れられていたのでは」と山本さん。

妻と完全分業をすることによって場所も時間も「無限定」にがむしゃらに働くスタイルが成り立つ一方、そのようなスタイルが家族を離れさせることにもつながっている。

やむをえず専業主婦に

妻が専業主婦になる理由は、積極的なものばかりではない。広告系企業に勤める堀さん(30代前半、仮名)の妻は、非正規で事務として働いていたが、昨年の第1子出産で、育休が取れず専業主婦に。「入社したときから分かっていたことではあったものの、妻は育休が取れれば働き続けたい気持ちはあった」という。

再就職をするには保育園を確保しないといけないが、保育園を確保するには働いている実態がないと加点がつかないことも多い。2人目を考えるとタイミングも計りづらい。

堀さんは「職場で『共働きじゃないと家計が大変じゃない?』と言われることはあります。(自分1人の稼ぎで一家を養う)大黒柱プレッシャーは、ないといえばうそになる。でも、それよりも今の時代、専業主婦1人で子育てを抱えるのって、逆に大変なんだなと……。想像を軽く超えていました」と話す。何が大変なのか。

「平日は、お母さんが自分1人でコントロールできる時間がほぼゼロになってしまう。感覚的には育児に1人、家事に1人必要なぐらい子どもに手がかかります。都内で地縁のない土地に引っ越して住んでいるとコミュニティもなく、家事代行などの有料サービスなどは妻は心情的に使いづらいらしく、専業主婦の自分がなんでも抱えようとしてしまっているみたい」

堀さん自身は、掃除などは数日しなくてもいいとも思うが、「奥さんも専業主婦だからある程度家はしっかりしていたいという意識が強そう」という。

共働きのほうが専業主婦家庭よりラクだと言うつもりはない。共働きでも夫は独身時代から変わらず長時間労働で、妻が仕事と育児の両方を担っててんてこまいになっているという事例は、数多く取材してきた。また、共働きでイクメンになることを求められ、仕事と家庭の板挟みになる男性も多い。

とはいえ、とりわけ0~2歳児を抱えて家の中でずっと過ごす専業主婦のストレスはやはりとても大きい。

主婦1人きりの過酷な子育て

堀さんは次のように語る。

「妻も仕事をしていて保育園に預けられれば、少なくとも母親1人でコントロールできる時間は移動時間とかお昼とか、持てると思うんですよね。もちろん、共働きをしながらの育児で、子どもを十分見てあげられるかという問題はあるとは思うんですけど。『専業主婦』か『働くか』というより、リフレッシュする余裕を持ちながら子育てできる環境があったほうがいいだろうなと思います」

乳幼児を気軽に預けられる場所がなく、しかも子どもが2人以上になったり、子どもの特性などにより育てにくさが加わると、専業主婦の妻たちはこちらが心配になってしまうほど過酷な状況になる。

法曹関係で働く須藤さん(30代半ば、仮名)の妻は、第1子から第2子と続けて4年近くに及ぶ育休中だ。夫の付き添いで海外から戻ったたばかりで保育園に入れることが難しかったうえ、第1子にやや発達の遅れが見られたため、幼稚園の延長保育の利用を断られた。手間がかかる分、かわいさもあり、「家で見てあげる」ことがいちばんと判断、妻はこのまま専業主婦になる可能性が高いという。

「自分の仕事がそこまでで忙しくないときは午後8時くらいに家に帰って、子どもと一緒に寝て、朝3時に起きて仕事して、下の子が起きたら自分が下の子に朝ご飯をあげるなどして、妻の負担を減らそうとしていたのですが、案件が立て込んでいるときは難しい。ここ2週間は、9時出勤午前3時退社が続いていて、そうもいかず……」

午前3時まで働いていることについて「仕事の進め方には自己決定権があるのでそう負担には感じない」と話す須藤さんだが、「上の子が特性として非常に手がかかり、下の子もイヤイヤ期で夜泣きも激しい。子育ては自分のペースでできることはほとんどないので精神的には妻のほうがつらそうだなと思います」。

ここまで登場してくれた夫たちは「自分で時間や状況をコントロールできること」「自己決定できること」が、しんどいと感じるかどうかのカギだと理解している。しかし、妻のほうがつらそうだと思うのであれば、なんとかもう少し早く帰れないのか。

須藤さんは「妻は平日については諦めているみたいですね。その分休日は私が事務所に子どもを連れていって、子どもが昼寝している間に作業するとか。妻には自由な時間を持ってもらおうとしています」。

妻からずっと「もう少し帰ってきてほしい」と言われているという堀さんの退社時間は子どもが生まれる前は23~24時だった。最近、長時間労働是正の動きもあり少し早くなったとは言うが、「(子どもの夕飯や風呂を手伝える)19時台に家にいられるかというとやはり厳しいです。何曜日は19時に、とか決められるといいんでしょうけど、なかなか……」と歯切れが悪い。平日は帰宅後に夕飯を食べ、皿洗いをしたり洗濯ものを畳むなどの家事はしているというが、「こちらも疲れていると、奥さんにやってほしいなーと思ってしまうこともある」と語る。

長時間働いた後に家事ものしかかってくることに対する正直な感想ではあるが、ここでもかすかに残る違和感。それは、専業主婦だからつらそう、と言いつつ、そのつらい時間を目いっぱい引き延ばしてしまっている夫の働き方は、妻が専業主婦だからこそ成り立つものに見えるからだ。

妻が働き始めようにも、夫の転勤に合わせたために、保育園が確保できず、共働きに戻れない。そして、寺田さんのように働き方を改善しようと転職を検討しても、妻が専業主婦だからこそ、転職できない。男性たちこそ、専業主婦前提社会のループにはまっていないか。

夫婦に負荷のかからない子育て環境を作るべき

預け先がない乳幼児のいる家庭では、妻が専業主婦だから長時間家を空けても大丈夫、ではなく、妻が専業主婦だからこそ夫たちは早く帰って妻の負担を軽減したり自由時間を確保したりしてあげてほしい。

大黒柱プレッシャーについて聞くと、「それほどでもない、むしろ自分が死んだときのほうが心配」と語る夫たち。妻のワンオペ育児がしんどいことを認識はしているが、産後うつや育児ノイローゼで自殺につながることだってあるとまでの危機感はあるだろうか。

寺田さんは「子どもにかかるお金も親の負担が大きすぎる。シングル親家庭とか、究極子どもだけでも生きていけるような制度設計が必要だと思う」とも語った。

堀さんの言うように「専業主婦」か「働くか」というより「リフレッシュする余裕を持ちながら子育てできる環境」、そして妻が専業主婦であれ共働きであれ、男性もまともな働き方ができる社会を作っていく必要がある。

次回は主夫になった男性の視点から専業主婦前提社会を考える。

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専業主婦を産み続ける日本の「無限ループ」

提供元:「大黒柱」として稼ぎ続ける男性たちの本音|東洋経済オンライン

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