2025.02.10
低FODMAP食が鍵?過敏性腸症候群の症状を和らげる食事のコツ!
緊張するとお腹が痛い…外出先にトイレがないと不安…などの症状にお悩みではありませんか?その症状、もしかすると過敏性腸症候群が原因かもしれません。過敏性腸症候群は、命に関わる病気ではありませんが、生活の質に大きな影響を与える可能性があります。ここでは過敏性腸症候群の詳しい病状や、症状を少しでも改善する方法として、今話題の低FODMAP(フォドマップ)食について解説します。
過敏性腸症候群ってどんな病気?
目にみえる異常がないにも関わらず、下腹部の痛みや不快感、膨満感、ガス、下痢や便秘などが長期間繰り返し現れることが特徴です。成人人口の約10%が罹患しており、若い世代や、女性に多いといわれています。日本では40歳代以降、男女ともに有病率が減少する傾向が報告されています。ストレスを感じた時に消化器症状が悪化するため、日常生活に支障をきたすだけでなく、精神的な負担も大きくなりがちです[1,2]。
もしかして過敏性腸症候群?簡単チェックリスト
では、どのような症状があると過敏性腸症候群と診断されるのでしょうか?日本消化器病学会の「機能性消化管疾患の診療ガイドライン2020 - 過敏性腸症候群(IBS)」によると、以下の条件を満たす場合に過敏性腸症候群と診断されます。
◻︎症状が出始めてから6ヶ月以上経ち、直近3ヶ月間に週1回以上の腹痛があった。
◻︎以下の3つのうち、2つ以上に該当している。
・排便に関連する腹痛
・排便の頻度に関連する腹痛
・便の形状(硬さや柔らかさ)の変化に関連する腹痛
両方にチェックが入った方は、過敏性腸症候群の可能性があります[2]。
どうして起こるの?その原因とは?
正確な発症メカニズムはまだ明らかになっていませんが、いくつかの要因がリスクを高めると考えられています。例えば、感染性腸炎に罹患した人の約10%が過敏性腸症候群を発症することや、若い世代や女性に多いことが報告されています。さらに、遺伝的な影響、胃腸炎の重症度、うつ病や不安障害、急性胃腸炎の発症中またはその前に心理的問題を抱えている場合、幼少期に受けた虐待など重大なストレスもリスクを高める要因とされています。また、腸内細菌のバランスやストレス、セロトニンなどの神経伝達物質などが病態に関わっている可能性も指摘されています[2]。
改善のための食事の基本はこれ!
治療は、食事の見直しや心のケア、薬を組み合わせて行われることが一般的です。改善のための食事の基本は、間食や欠食を避け、規則正しい食事と十分な水分の摂取が推奨されます。脂質やカフェイン、香辛料、乳製品などの症状を引き起こしやすい食品を控えることも重要ですが、食品の制限は患者それぞれの状態に合わせた対応が必要です[2,3]。
症状改善の鍵!FODMAP(フォドマップ)食ってどんな食事?
複数の研究をまとめた2024年に報告された研究報告によると、低FODMAP食を摂取することで、過敏性腸症候群の症状が軽減されることが示されています。ではFODMAP食とはどんな食事なのでしょうか?FODMAPとは、糖質の一種である短鎖炭水化物(発酵性、オリゴ糖、二糖類、単糖類、糖アルコール)の頭文字をとった言葉です。これらの糖質は、小腸で消化・吸収されにくく、大腸まで届くと腸内細菌によって素早く発酵されます。その結果、ガスが発生し、腸内に膨満感を引き起こします。さらに、高い浸透圧性を持つため、腸内に水分を引き込んでしまい、下痢などの症状を誘発することがあります[2,3]。
選びたい低FODMAP食品と避けたい高FODMAP食品一覧
FODMAP は、果物、野菜、パン、シリアル、ナッツ、豆類、菓子類など、様々な食品に含まれています。FODMAPが多く含まれる食品を避け、少ない食品を選ぶことで、過敏性腸症候群の症状が改善される可能性があります。ここでは、FODMAPを提唱したモナッシュ大学が発表している食品リストをご紹介します[1]。
※MONASH University「FODMAPと過敏性腸症候群」より [1]
低FODMAP食は症状改善の可能性のひとつ!
過敏性腸症候群に似た症状の病気は数多くあります。自己診断せず、医療機関を受診しましょう。規則正しい生活や、適度な運動を心がけることも大切です。ストレスをためず、無理のない範囲でご自身に優しい時間をお過ごしください[1,2]。
【参考文献】(すべて2024年12月19日閲覧)※外部サイトへ遷移します。
[1] MONASH University, FODMAPと過敏性腸症候群
[2]日本消化器学会, 機能性消化管疾患の診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)
【プロフィール】管理栄養士/インナービューティープランナー 高井利香
腸から整える美容食の料理教室ricca.kitchenを主宰。
毎日の食事を見直し、体の内側からアトピーやニキビなどの肌トラブルを改善するプログラムを開講。レシピ開発や、コラム執筆・監修なども行なっている。
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記事提供:株式会社Wellmira ※外部サイトへ遷移します。