2024.06.10
歯磨きだけじゃない!日常的に意識したい虫歯予防の基礎知識
歯の違和感や痛みを感じ歯医者に行ったら、すでに虫歯になっていたなんてことはありませんか?
一度虫歯になると、通院する時間や費用がかかるだけではなく、最悪の場合歯を抜かなければならないケースもあります。歯は元には戻らない組織であるため、可能な限り虫歯予防を日頃から行いたいものです。
この記事では、虫歯の原因から歯磨き以外の日常でできる予防方法を詳しく解説します。
虫歯は一生で一度はかかる病気?!
「今まで全く虫歯になったことがないから虫歯予防はしなくても大丈夫!」と思っている方もいると思います。しかし、虫歯は25~64歳でほぼ100%に近い有病率が続いている状況であることを知っていますか[1]?
年齢を重ねるほど虫歯や歯周病で歯を失う傾向が高くなります。失うリスクが高いのは、治療を重ねた歯以外に“未処置の虫歯”もその可能性があります。そのため、今まで虫歯に悩まされなかったという方も、将来の自分のために虫歯予防をすることはとても大切です[1,2]。
では、虫歯はどのような原因で発症するのでしょうか。
虫歯の原因は“甘い物×回数”がキーワード
虫歯がどのように作り出されるか見ていきましょう。
まず、口の中の細菌が食べ物や飲み物に含まれる糖分を摂取・分解して酸を作り出します。この酸によって歯が溶かされ、虫歯の一歩手前の状態である“脱灰”が生じます。しかし、唾液の働きによって脱灰が生じても歯を修復(再石灰化)したり、さらには細菌が作り出した酸を緩衝し中和することで歯を守ることが可能です。
ところが、そんな中でも虫歯ができてしまうのは、甘い食べ物や飲み物を“頻繁”に食べることが原因のひとつとなります。そうすることで、唾液の働きである酸の緩衝や再石灰化が間に合わずに、脱灰した部分がやがて崩壊し、虫歯となってしまいます[3]。
虫歯になってしまった歯は治療が必須です。そうなる前にどのような予防方法があるのか、ご紹介します。
日常でできる虫歯予防のポイント3つ
虫歯予防といえば“歯磨き”ですが、歯磨きだけしていれば虫歯を予防できるというわけではありません[3]。
ここでは、歯磨きに加えて日常でできる虫歯予防のポイントを3つご紹介します。
1、お菓子やジュースの量と回数を減らす
甘いお菓子や飲み物は虫歯の原因のひとつですが、加えて注意したいのが“回数”です。
その理由として、食事との時間をあけずにお菓子を食べたのに比べ、食事とは別に間食としてお菓子を食べたときのほうが、虫歯が増加していることが明らかになっています。そのためお菓子を食べる量だけではなく、食べる回数も減らすことが虫歯予防として効果的です。また、砂糖など甘いものの摂り過ぎは肥満にもつながることから、生活習慣病予防の対策にもなるため、虫歯予防をすることで一石二鳥になりますね[4]。
予防方法として、砂糖を多く含むクッキーやチョコレート、ケーキなどのお菓子を、干し芋や甘栗、果物に置き換えてみましょう。さらに、食べるタイミングは食事の間ではなく、食後のデザートとして食べるのがおすすめです。他にも、砂糖以外のキシリトールなど甘味料が使用されているガムやグミなどを間食にするのも良い方法です[4]。
さらに、砂糖が含まれたコーヒーや紅茶、スポーツドリンク、清涼飲料水などの飲み物をだらだらと長時間かけて飲むことも注意しましょう。できるだけ甘い飲み物は控え、水や無糖のお茶(麦茶やストレートティー)、ブラックコーヒー、炭酸水などに置き換えるのがおすすめです。
2、減酒・禁酒で唾液を保つ
アルコールには利尿作用や食事量・水分量の不足により脱水が生じます。脱水が起ることで、虫歯を防ぐために重要な唾液の分泌が低下してしまいます。お酒を頻繁に飲む人はより虫歯になりやすいため注意しましょう。そして、アルコールは脱水だけにとどまらず、糖尿病や肝硬変などの疾患リスクを高め、その病状からも唾液の分泌が低下してしまいます。そのため、虫歯予防のために今よりも“減酒もしくは禁酒”がおすすめです[5]。
3、よく噛んでストレスを緩和する
緊張しているときやストレスがあると交感神経が働き、ネバネバとした唾液を分泌させます。ネバネバとした唾液は、脱灰した歯の表面を修復しづらくなり、虫歯のリスクを高めるため、ストレスの緩和がとても重要です。
緊張感が強いときや口が乾燥したときは、キシリトール入りのガムをゆっくり噛むことで唾液腺が刺激され、サラサラとした唾液の分泌を促します。さらに顎や顔の筋肉を使って噛むことでもストレスを緩和し、リラックスさせることができるため、日常の食事もゆっくりよく噛むことを意識するようにしましょう[6]。
歯みがきと食事を正して虫歯を予防しよう
虫歯はほとんどの人が一度は経験する病気です。歯を失うことになる前に、まずは砂糖の多いお菓子やジュースなどを減らすよう心がけましょう。そして、唾液を十分に分泌させるためにお酒を減らし、よく噛んで食事をとることも意識して取り組んでみてくださいね。
【参考文献】(すべて2024年4月17日閲覧)※外部サイトに遷移します
[3]厚生労働省, e-ヘルスネット, むし歯の特徴・原因・進行
[4] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 甘味(砂糖)の適正摂取方法
[6] 厚生労働省, こころの耳, 身体のストレス反応から考える職場のメンタルヘルス対策:No.2ストレスと口の健康
【プロフィール】管理栄養士 石川桃子
歯の健康は全身の健康に関わること広めたい、そして心身のトラブルを薬に頼らず、毎日の食事から予防・改善したいという方を一人でも多くサポートをしたいという想いから、現在歯科医院で専属管理栄養士として栄養指導を中心に活動中。そのほかにコラム執筆・監修、食育講演、セミナー講師など幅広く活動している。
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記事提供:株式会社Wellmira
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「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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