2024.04.09
かぶの栄養で健康をサポート~薬膳としての魅力もご紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。 ※外部サイトに遷移します
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スーパーでは小さいものから大きいものまで、さまざまなサイズのかぶを見かけますよね。実際かぶは全国に約80もの品種があり、春の七草で知られる「すずな」もかぶの一種です。
そんなかぶは皮も薄くアクも少ないため、根も皮も、葉も余すことなく食べられます。調理法によって異なる食感を楽しめるのも、かぶの魅力ではないでしょうか。
そこで今回は魅力満載のかぶについて、栄養と効能を詳しく解説していきます。
さらに、かぶの薬膳効果(※)についてもわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
(※)薬膳効果とは、食材の持つ性質や効能のこと。
かぶの栄養と効能
かぶは根と葉で含まれる栄養素が異なり、根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜(※)に分類されます。
(※)緑黄色野菜とは色の濃い野菜のことで、原則は可食部100gあたりのカロテン含有量が600μg以上のものとされる。それ以外の野菜は淡色野菜である。
まずは、かぶの根に含まれる栄養素について解説していきます。
消化吸収を助けるアミラーゼ
アミラーゼは、糖質の一種であるでんぷんの分解酵素です。
かぶを生食するとアミラーゼが効率的に摂取でき、胃もたれや胸やけの解消に役立ちます。
したがって食べすぎによる不快感を感じているときには、生のかぶを薄切りにしてサラダにしたり、酢の物にして食べるとよいでしょう。
健康・美肌維持にはビタミンC
ビタミンCは、ストレスや風邪に対する抵抗力を高めます。
またコラーゲンの生成に必要不可欠な栄養素ですから、美肌作りにも欠かせません。
参考までに、かぶの根(皮付き)は100gあたり19mgのビタミンCを含みます。
かぶには大中小とさまざまな大きさのものがあり、中サイズの根はおよそ200gです。
なお、ビタミンCは熱に弱く加熱調理による損失があります。
ビタミンCを効率よく摂取したい方は、かぶを生のまま食べるとよいですね。
腸内環境改善に欠かせない食物繊維
かぶの根には、水に溶けにくい不溶性食物繊維が含まれます。
不溶性食物繊維は体内で水分を吸収して便を増やし、スムーズな排便を促します。また便と一緒に腸内の有害物質も排出する働きがあるため、腸内環境の改善に役立つ栄養素です。
かぶの根(皮付き)100gあたりには、1.2gの不溶性食物繊維が含まれます。
食物繊維は私たちが不足しやすい栄養素の1つですので、かぶも活用しながら積極的に摂りましょう。
かぶの葉にも栄養がたっぷり
つぎに葉の栄養について見ていきます。
このようにかぶは葉の方が栄養豊富ですので、捨てることなくみそ汁の具や炒め物に活用しましょう。
さて、ここからは「β‐カロテン」と「カルシウム」について順に解説していきます。
目や皮膚の健康を保つβ‐カロテン
β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換され、目や皮膚の健康を保ったり、抵抗力を高めたりする働きがあります。
なお、ビタミンAの過剰症として頭痛などの健康障害が知られています。
しかし、β‐カロテンの摂取によるビタミンAの過剰症は起こらないと言われていますのでご安心ください。
ちなみにβ-カロテンは油脂との相性がよいので、かぶの葉を油炒めにするとβ‐カロテンを効率的に摂取できますよ。
筋収縮にも関与するカルシウム
カルシウムが骨や歯の構成に必要なことはご存知の方も多いと思いますが、実は筋収縮や神経興奮の抑制にも関与しています。
しかし、食物繊維と同様にカルシウムも私たちが不足しやすい栄養素です。
ちなみカルシウムの1日に摂取したい量は、30〜74歳の男性で750mg、同年代の女性で650mgです。
つまりかぶの葉100gに含まれるカルシウム量は、男性が1日に摂取したい量の1/3に値します。
なお、かぶの葉に含まれるカルシウムは、ビタミンDと一緒やクエン酸と一緒に摂ると吸収が促進されます。
効率的にカルシウムを摂りたい方は、ぜひビタミンDの豊富なきのこ類、クエン酸の豊富な柑橘類や梅干しと一緒にかぶの葉を食べてくださいね。
赤かぶの栄養はどうか
赤かぶの特筆すべき栄養素は「アントシアニン」です。
アントシアニンは赤の色素で、活性酸素の抑制効果が期待できます。
ちなみに活性酸素は私たちの体に常に存在し、免疫機能などに関わります。
一方で活性酸素が過剰になると、細胞にダメージを与えるので疾病の原因となるのです。
本来であれば活性酸素から体を守る能力は備わっていますが、食生活の乱れや喫煙、ストレスにより活性酸素が過剰となる場合もあります。
それゆえアントシアニンのような、活性酸素の抑制効果のある栄養素を含む食品(赤かぶなど)を日ごろから意識的に食べるとよいですね。
かぶに薬膳としての効果はあるのか
薬膳と聞くと特別な食材を連想されるかもしれませんが、私たちが普段食べているかぶにも薬膳の効果があります。
そこでここからは「薬膳とかぶ」についてご説明します。
そもそも薬膳って何?
薬膳とは、日々変化する体調に合わせた食材をバランスよく取り入れる食事方法です。
体調に合わせた食材を摂ることで、健やかな体を保ちやすくなります。
「薬膳」といった漢字から薬っぽい食事で、美味しくなさそうなイメージを持つ方もいらっしゃいますが、それは誤解です。
汗をたくさんかいたときに飲む水がいつもの何倍も美味しく感じるように、その時々の体調に合わせた食事は美味しさを感じやすいのです。
かぶの薬膳効果
かぶの持つ性質は「温熱性」といって、体を温める効果が期待できます。
寒いときにかぶなど温熱性の食材を食べると、体内の余分な寒さを緩和し体のバランスを整えてくれるのです。
なおこの性質は、温かい・冷たいといった調理方法によって変化することはありません。
つまり「胃もたれ解消のために生食したいけれど、生野菜は体を冷やしそうで心配」と感じていた方も、安心してかぶを生食できるのです。
かぶを食べすぎるとどうなるの?
かぶは全体の約93%が水分ですから、食べすぎるとお腹が緩くなる場合もあります。
またかぶの葉も食べすぎると不溶性食物繊維の過剰摂取で、便が硬くなり便秘につながることもあるでしょう。
ただし、かぶを1日1個食べる程度では問題ありません。
つまり健康に良いからと言ってかぶだけを食べ続けるなどの極端な食事を避ければ、かぶの食べすぎを気にする必要はありません。
まとめ
以上、かぶの栄養についてお伝えしました。
かぶはビタミンC、不溶性食物繊維、カルシウム、β‐カロテン(葉のみ)など私たちの健康を維持する上で、大切な栄養素を含みます。
ほかにも、かぶには以下のような特徴があります。
それでは当記事を参考に、ご自身の体に合わせた調理法でかぶを楽しんでいただけたら幸いです。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
独立行政法人農畜産業振興機構 四季の野菜の健康と栄養 ~冷え性予防が期待できるねぎと 血圧を下げる効果が期待できるかぶ~
公益社団法人東京都栄養士会 パフォーマンスが良くなるための 食事について
執筆者:管理栄養士 松原知香
宮城学院女子大学食品栄養学科卒業。卒業後、食品メーカーにて医師や管理栄養士などに向けた流動食・介護食の営業に従事。退職後は管理栄養士ライターとして活動。その中で、医療や栄養に関する情報は正確であるほど難しく、理解しづらい内容で発信されている現状を目の当たりにする。「いつまでも健康でありたい全ての方へ、根拠ある情報をわかりやすく届けたい」という思いから、シンクヘルス株式会社に入社。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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提供元:かぶの栄養で健康をサポート~薬膳としての魅力もご紹介~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】