2023.05.09
自覚症状がなくても怖い!コレステロールのトリセツ!今すぐできる食生活改善
健康診断でコレステロール値が高いと指摘されたことはありませんか?コレステロール値が高くても、目立った症状がないからと放置していることはないでしょうか。
その場合、“脂質異常症”である可能性が高く、心筋梗塞、脳梗塞などといった命に関わる病気の恐れがあります。コレステロール値を指摘されたら、1日でも早く毎日の食生活を見直しましょう。
この記事では、コレステロールの基礎知識や、今すぐに実践できるコレステロール値の改善方法をお伝えします。
コレステロールって何?
コレステロール=悪者と見られがちですが、コレステロールは人の体内に存在する脂質のひとつで、細胞膜やホルモン、腸での消化や吸収を助ける胆汁酸の材料となるなど、体には必要な物質です。
コレステロールには悪玉とよばれる“LDLコレステロール”と、善玉とよばれる“HDLコレステロール”があります。LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割があり、増えすぎるとさまざまな病気に繋がる血栓を作る原因となります。HDLコレステロールには増えすぎたコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きがあります。そのためHDLの値は低い場合に問題となります[1]。
今回は、多くの方が気になっているLDLコレステロールに着目してお伝えしていきます。
LDLコレステロールが上がる理由は?
LDLコレステロールが上がる原因として飽和脂肪酸のとりすぎや、食事からのコレステロールのとりすぎがあげられます。飽和脂肪酸は脂身の多い肉やラードや牛脂、バターや生クリームなどの乳製品に含まれています。また、鶏卵や魚卵といった卵類には多くのコレステロールが含まれています。その他にも、過度な飲酒や喫煙もLDLコレステロール値を上げる原因となります[2,3]。
LDLコレステロール値の異常を放っておくのは危険!
LDLコレステロールは140mg/dl以上で高LDLコレステロール血症、120mg/dl〜139mg/dlは境界域高LDLコレステロール血症といい、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を検討します。
LDLコレステロールが血液中の内膜に沈着するとプラークとよばれる塊ができ、これが破れると血小板ができ血栓となります。この血栓が原因となり、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こします[4]。
LDLコレステロールを増やしにくい食事のポイント
(1)食べ過ぎない
食べ過ぎにより糖や脂質を多く摂取すると、体重が増えると同時に、LDLコレステロール値も上がります。過度なエネルギー摂取を控えることで減量ができ、LDLコレステロール値を改善することができます。 よって、今肥満の方は減量することが最優先課題となり、今肥満でない方も適切な体重管理が大切です[2,3,4]。
(2)たんぱく質は、魚や豆類からも
肉類の脂身やハムやベーコンの加工肉には、LDLコレステロール値を上げる原因となる飽和脂肪酸が多く含まれます。食生活がお肉に偏りがちな方はなるべく食べる頻度を減らし、お魚や豆類などに置き換えることを意識しましょう[3,4,5]。
(3)乳製品は低脂肪や無脂肪のものを
牛乳やバター、ヨーグルトなどの乳製品が、毎日の食事で欠かさないという人もいるのではないでしょうか。実は、お肉だけでなく乳製品にも飽和脂肪酸が含まれているため、とり過ぎには気をつけましょう。商品を選ぶ際に、通常の製品から低脂肪や無脂肪の製品に置き換えるのもいいでしょう[3,4,5]。
(4)コレステロールの摂取量を控える
鶏卵や魚卵などの卵類、レバーやモツなどの内臓類にはコレステロールが多く含まれています。頻繁に食べる方、すでにコレステロール値に問題のある方は、1回の量を見直しましょう[3,4,5]。
(5)野菜類・海藻類・きのこ類を積極的に食べよう
食物繊維が豊富に含まれている野菜類、海藻類、きのこ類は消化時間が長いため、食べ過ぎ防止や排便の促進作用が期待できます。その他にもコレステロールの吸収抑制や、消化・吸収を助ける胆汁酸の材料となるため、積極的に取りたい食品類です[4]。
(6)アルコールは適量に
過度な飲酒は動脈硬化症を進めてしまうため、1回の飲酒量を減らし、休肝日を作るようにしましょう[4]。
生活習慣を見直してコレステロール値をコントロール
今回ご紹介した食事の改善のほかに、喫煙されている方の場合は禁煙をすること、運動習慣がない方は歩行などの有酸素運動をすることで、動脈硬化性疾患の予防に効果が期待できます[4]。
手遅れになる前に、日頃から意識をして食生活の改善や運動に取り組みましょう。まずは小さな目標を立て、毎日継続することが大切です。未来のリスクを回避するために、今日からできることを始めましょう。
【参考文献】(すべて2023年3月12日閲覧)※外部サイトに遷移します
[3] 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版),脂質異常症
[4] 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
【プロフィール】管理栄養士 橋本牧子
結婚・出産を機に食事の大切さを改めて感じ、食事や栄養について学ぶべく、子育てをしながら大学で学び直し管理栄養士免許を取得。さらに食の学びを深めるべく、専門フードスペシャリスト、フードコーディネーター、かんぶつマエストロの資格を取得。主に離乳食講座の講師・乳幼児健康診査での栄養相談や、シニア向けの栄養相談・健康教育、その他にレシピ作成や料理動画の撮影等にも携わる。現在はコラム執筆に活動の場を移して活動中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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