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2023.03.13

【管理栄養士が解説】話題の“8時間ダイエット”の真相とは?


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今、注目されている“8時間ダイエット”をご存じですか?

本やテレビ、インターネットなどでは、次から次へと目新しいダイエット方法が紹介され、話題になっています。その中でも魅力的なキャッチフレーズを耳にすると、実践してみたくなるのではないでしょうか。

今回は、“8時間ダイエット”の減量効果や安全性について、最新の研究をもとに解説をしていきます。

話題の“8時間ダイエット”って?

8時間ダイエットは”ファスティング”の一種であり、”16:8間欠的ファスティング”または”オートファジーダイエット”とも呼ばれています。

“ファスティング”は直訳すると”断食”ですが、”8時間ダイエット”は長時間食べ物を全くとらない断食とは違い、一日のうち8時間であれば何を食べても良いというシンプルなダイエット方法です。

たとえば、朝食を午前8時にとった場合、午後4時までに一日の食事を済ませ、残りの16時間は何も食べない時間にします。16時間の間に口にして良いものは基本的に水かお茶だけですが、我慢できない場合はヨーグルトとナッツは食べても良いとされています。

“8時間ダイエット”は、食事制限がつらいと感じている方や、ライフスタイルに合わせて食べる時間を決めたいと考えている方から特に人気があるようです。

気になる減量効果や健康への影響は?

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食事時間の制限による身体への影響についての調査をまとめた研究によると、 “8時間ダイエット”は、BMI 25未満の人とBMI 25〜30の肥満の人に対して体重・体脂肪量の減少効果があった一方、BMI30以上の肥満の人に対する体重・体脂肪量の減少効果は十分ではなかったことが報告されています。ただしこの研究は、最長でも約3カ月間実施した場合の短期的な結果を示しており、長期的に実施した場合の体重・体脂肪量減少に対する効果は明らかになっていません[1]。

※BMI(Body Mass Index:ボディマス指数):体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出した値

では、健康への影響についてはどうでしょうか?
約3カ月間の”8時間ダイエット”を実施した人の生活の質(身体的・精神的な健康状態)を調査した研究では、体重の変化に関わらず、”8時間ダイエット”を行うことにより生活の質が僅かに改善されることが示唆されています。しかし、この研究においても、長期的な影響は明らかになっていません[2]。

“8時間ダイエット”を始めてからなんとなく体調が良いと感じる方でも、長期的な健康に配慮し、慎重に行う必要がありそうです。

“好きなものをいくら食べてもいい”の落とし穴

“8時間ダイエット”を実践した人の中には、8時間の間であれば何を食べても良いという甘いルールをうのみにし、つい暴飲暴食をしてしまった結果、体重が増えてしまったという人もいるようです。

体重の増減は、基本的に摂取エネルギー(カロリー)と消費エネルギー(カロリー)からなる“エネルギー収支バランス”により左右されます。
よって、食事からとったカロリーが日常生活における活動や運動などにより消費されなければ、体脂肪として蓄積され体重増加につながるのです。

肥満患者を対象に行われた研究では、1日にとるカロリーを制限すると体重・体脂肪量の減少がみられましたが、さらに食事時間を制限(午前8時~午後4時)しても、体重・体脂肪量にほとんど変化はなく、食事時間の制限はカロリー制限以上の体重・体脂肪量の減少効果があるとはいえないことが示唆されています[3, 4]。

つまり、時間を守っているからといって暴飲暴食をしてしまうと、なかなか減量につながらない可能性があるのです。

“8時間ダイエット”に成功するためには?

“8時間ダイエット”は、お伝えした注意点を踏まえ、安全な方法で行うことが大切です。食事時間が1日のうちの8時間以内であっても暴飲暴食はせず、バランスの良い食生活を送ることを心がけましょう。ごはん・パン・麺などの主食と野菜・海藻・きのこなどの副菜、魚・肉・卵・大豆・大豆製品などの主菜がそろった食卓を意識すると、栄養バランスが整いやすくなります。糖質や脂質の多いケーキやスナック菓子などの間食、お酒の飲み過ぎに気をつけましょう。

また、食事をとらない16時間の間には、十分に水分補給をすることが大切です。飲み物は、水、お茶、無糖の炭酸水を選ぶようにしましょう[5]。

医療機関を受診している方は、ダイエットを行う場合、担当の医師や管理栄養士の指示に従ってください。

健康的で継続できる食習慣を身に付けましょう

“好きなものを好きなだけ食べてやせる”というような甘いキャッチフレーズのダイエットは、興味が湧き、すぐにでも実践したくなりますよね。しかし、この魔法のような言葉に振り回されず、本当に自分にとって必要なダイエットなのかを冷静に考えることがとても大切です。

極端なダイエットはストレスをためやすく、食物繊維の不足による便秘、栄養バランスの乱れによる貧血、月経異常などのリスクもあります。

ダイエットに成功するには、減量後の体重を維持できるかが重要です。目先の減量だけにとらわれず、ストレスなく長期的に取り組むことができる食習慣を心がけましょう[6]。

【参考文献】(すべて2023年1月18日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1]Lili L, et al. : Metabolic Efficacy of Time-Restricted Eating in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. JCEM, 107, 12, 3428–3441

[2]Ainslee C, et al. : Time-Restricted Eating Improves Quality of Life Measures in Overweight Humans. Nutrients, 2021, 13(5), 1430

[3]厚生労働省:e-ヘルスネット/身体活動とエネルギー代謝

[4]Deying L, et al. : Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. N Engl J Med, 2022, 386, 1495-1504

[5]厚生労働省:eエルスネット/食事バランスガイド(基本編)

[6]厚生労働省:eエルスネット/ダイエット

【プロフィール】管理栄養士 村上加織

「食の力で大切な人を健康にしたい!笑顔にしたい」という想いを実現すべく、管理栄養士の資格を取得。急性期病院に勤務し、給食管理や栄養指導を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。特定保健指導やコラム執筆などの活動を通して、食と健康に関する情報を科学的根拠に基づき発信している。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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