2023.03.06
体に優しい家計に安心な「米活」のおすすめ
食品の値上げが相続くなか、価格が安定しているのがお米です。特に小麦製品の値上げでパスタやパンなどの価格が上がっていることで、主食をお米に切り替えようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
“米活”という言葉はあまり耳にしていないかもしれませんが、食生活にお米を積極的に取り入れようとするものです。企業や自治体でも“米活”として、ごはんがすすむおかずレシピを公開し米粉製品のPRによって、米活の動きが広がっています。
今回は、改めてお米の魅力に注目し、美味しく食べるコツを管理栄養士が解説します。
お米って体に優しいの? ごはんの栄養を徹底解説
パンやパスタに比べて、なんとなく体に優しいイメージのあるお米。実際のところはどうなのでしょうか?
表 パン(6枚切り1切れ)vsごはん(1膳150g)の栄養価比較
※炭水化物:別表1の可食部100gあたりの食物繊維成分表プロスキー変法の値 日本食品標準成分表2020年版(八訂)炭水化物成分表 編 -利用可能炭水化物、糖アルコール、食物繊維及び有機酸- より作成
エネルギー(カロリー)を比べると、食パンの方が低いのは意外に思われたのではないでしょうか。ただし、バターやジャムを塗ると、ごはんとの差はほとんどなくなります。
ごはんがパンに比べてヘルシーなイメージが強いのは、とり過ぎに気をつけたい脂質や塩分が少ない特徴があるからです。パンはバターや油を入れることで、膨らみを良くしてやわらかい食感にしたり、舌触りをよくしています。また、パンは発酵や味わいのために塩が必要でどうしても塩分ゼロにすることはできません。一方でごはんは、米と水だけでできるため塩分が低く、血圧や脂質が気になる方でも安心して食べられる食材です。ただし、ごはんのお供の佃煮や漬物は塩辛いものが多いので、ごはん自体の塩分がゼロであっても一緒に食べるものや量に気をつけてくださいね。[1]
白米、玄米、雑穀米。それぞれの違いとおすすめポイント
お米と一言にいっても、白米や玄米、雑穀米など、バリエーションはさまざま。それぞれ味わいや栄養価が異なるため、目的やお好みに合わせて選ぶのも”米活”の楽しみの一つです。定番の白米以外にもお好みや目的に合ったごはんを選んでみてはいかがでしょうか。
ふっくら! 王道の”白米”
ごはんといえば”白米”というご家庭が多いのではないでしょうか。柔らかく炊けて食べやすいのが特長です。味にクセがないのでどんな料理にも合わせることができます。
また、さまざまな食材をトッピングして炊き込みごはんやピラフにすることで、メニューのバラエティーも広がりますね。白米は食物繊維が少ないので消化しやすく、小さなお子さんも安心して食べられます。 [1,2]
便秘対策やダイエット中の方におすすめ。食物繊維が豊富な“玄米”
健康に良さそうというイメージが強い玄米。玄米はもみ殻だけを取り除いたもので、米ぬかや胚芽を含んでいます。食感は白米よりも固めですが、よくかんで食べることで満足感が得られます。白米と比較してビタミンB1、B6や食物繊維が豊富に含まれています。白米よりも消化に時間がかかるので、胃腸が弱っているときは避けた方がよいでしょう。[1]
モチモチで食べ応えのある”雑穀米”
雑穀米は白米にひえやきび、あわなどの雑穀を混ぜて炊いたもの。いろいろな穀物を混ぜて雑穀ブレンドとして販売されていることが多いです。雑穀の種類によって栄養価は異なりますが、白米よりも食物繊維が多く含まれています。また、食感は雑穀によって異なりますが、白米よりもモチモチした食感になります。[1]
今さら聞けない! おいしいごはんの炊き方
毎日食べているごはんは、炊き方や保存方法を少し工夫するだけで、本来の美味しさをもっと引き出すことができます。ぜひ、おいしい炊き方をマスターして“米活”を楽しみましょう!
(1)生米は冷蔵保管がおすすめ
お米は乾燥しているので、温度に左右されないように思えますが、実は鮮度が命。酸化を防ぐため、冷蔵庫や野菜室の保存が望ましいのです。酸化すると味が落ちるため、冷蔵庫や野菜室に保管できない場合は直射日光が当たらない場所に保存を。[3]
(2)計量が大事!
美味しいごはんを炊くために大切なのは計量です。お米用の計量カップを使う方が多いと思いますが、料理用の計量カップと大きさが異なることを知っていますか? お米用の計量カップ1杯は180ml(無洗米用カップは170ml)、料理用の計量カップ1杯は200mlです。炊飯器で炊く場合は、お米用の計量カップでの水分量ですので、料理用の計量カップで計るとお米が多くなってしまい、炊き上がりが固くなるので注意してください。
お米1合は180mlで重量にすると150gです。お米をすくったら、トントン打ち付けるよりも、箸などですりきるように表面を平らにし、ぴったり一杯を計りましょう。
(2)お米は“研ぐ”から優しく洗うへ
お米は、精米技術の発達ですでにきれいな状態です。以前は、お米のぬかを落とすために、米同士をすり合わせて研いでいましたが、今は優しく混ぜるように洗うのが基本です。
水を張ったボールにざるを重ねてお米を入れ、1回目の水を手早く捨てます。水を取り替えるのは2〜3回でOK、水の濁りが薄くなる程度が目安です。
(3)浸水でふっくらおいしく
急いでいるとお米を浸水せずに炊きたくなることもありますよね。でも、ふっくらおいしいごはんのためには浸水が大切です。お米を計った計量カップで、分量は「米:水=1:1」。夏場は30分、冬場は1時間が目安で、玄米の場合はやや長めの浸水がおすすめ。
気温が高い季節は浸水時間が長いと痛みやすくなるので、冷蔵庫に入れておくとよいでしょう。仕事をしていると夜、帰ってきてから浸水してごはんを炊くのはちょっと大変と思うことも。そんなときは朝、浸水したお米を冷蔵庫に入れておき、帰宅後に炊くとスムーズです。
忙しい方必見! フライパンでごはんを炊く方法
炊飯器でごはんを炊くご家庭が多いと思いますが、実はフライパンや鍋でも手軽に炊飯ができるのをご存知でしょうか。
特におすすめしたいのが”フライパン炊飯”です。炊飯器の早炊きモードで炊飯するよりも、短時間で炊くことができます。少し深めのフライパンを使えば、吹きこぼれで失敗する心配もありません。
<たった30分で!フライパンでごはんを炊く方法>
1.30分〜1時間ほど浸水した米をフライパンに入れて蓋をし、中火にかけて加熱する。(フライパンの熱伝導にもよって多少変わりますが、7〜8分で沸騰します)
※水加減は1合あたり200mlを目安にご自身の好みで調整してください。お米を研いだらすぐに水を切って、1合あたり200mlの水を加えてください。
2.沸騰したら弱火にして10分加熱する。
3.火を止めて5分蒸らす。
フライパン炊飯は、洗い物が少ないのも魅力の一つです。炊飯器は細かいパーツがあり、洗うのが面倒に感じる方もいらっしゃるのでは?“フライパン炊飯”の場合、洗い物はフライパンと蓋のみ。忙しい方にこそ、ぜひ一度試してみていただきたいです。
米が家計を救う?! 家計に優しい“米活”
食材の高騰が話題になるなか、価格が安定している“お米”。
家計に優しいだけでなく、塩分や脂質が少ないので体にも優しい食材といえます。
おいしいお米の炊き方をマスターして、毎日の“米活”に役立てくださいね。
【参考文献】(すべて2023年1月15日閲覧)※外部サイトに遷移します
[2]厚生労働省:e-ヘルスネット, 食物繊維の必要性と健康
[3]農林水産省:食文化, お米のおいしさがアップする炊き方と保存法
【プロフィール】管理栄養士 中村りえ
大手食品メーカーで商品開発、健保組合でセミナーの企画や広報に携わり、独立。レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。家族のアレルギーをきっかけに米粉に出会い、おいしさに魅了される。日本人の米離れの深刻さを学んだこともあり、米食の素晴らしさを伝えて日本の米文化を守りたいと考えて米粉料理家へ。
著書「米粉のおやつとおかず」(宝島社)が好評発売中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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