2023.03.29
「疲れたときに甘いもの」の習慣が招く数々の不調|糖質依存は身体を老化させる元凶のひとつ
甘いものを食べると一瞬元気になったように感じるが……(写真:ソライロ/PIXTA)
ダイエットのために、砂糖は控えて人工甘味料を使った飲料や食品に変えている、という人も多いかもしれません。ただ、自身も27キロのダイエットに成功した習慣化コンサルタントの立花岳志さんは、人工甘味料には痩せる効果はないと説きます。立花さんの著書『やってみたらわかった! 40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣』より一部抜粋・編集のうえ、健康を維持するための「甘いもの」との付き合い方について解説します。
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無意識に陥ってしまう糖質中毒
日々の食事・栄養の改善の最初のステップとして取り組んでほしいのが、「糖質中毒」からの脱却です。それに加えて、カフェインの過剰摂取を改善することです。
砂糖が入った甘いコーヒー、紅茶類、コーラやエナジードリンクを飲むことを毎日の習慣としている人は、これらをやめることから始めましょう。カフェインも糖質も依存性があり、毎日たくさん飲んでいると、もっと飲みたくなる性質があります。
そして依存性がある飲み物を売れば定期的に買ってもらえるため、飲料メーカーはカフェインや砂糖が入った飲み物を積極的に作ることをやめません。買う側からすると、「飲むと美味しくて気分が良くなるから」と思っているわけですが、実は砂糖とカフェインに依存していて、「飲まずにはいられない」身体になっているのです。
アルコールにも同じことが言えるのですが、アルコールは朝や仕事中に飲む人はいないので、まずはカフェインと砂糖を減らすことにフォーカスします。
カフェインが入っていなくても要注意なのが甘い飲み物です。身体に良さそうな野菜ジュースにもたっぷり砂糖が入っています。しかも野菜に含まれているビタミンやミネラルは加工の段階で失われてしまっており、結局は普通のジュースを飲んでいるのと変わりません。同様に、身体に良さそうなスポーツドリンクにも、大量の砂糖が含まれています。
人工甘味料を使った「シュガーレス」「シュガーフリー」の飲み物も要注意です。人工甘味料を使った飲み物を飲むと、脳は甘味を感知して「糖質が入ってくる」と誤った認識をします。しかし実際には糖質は身体に入ってこないため、身体が糖質を求めて欲求不満状態に陥り、さらに甘いものを求めるようになってしまうのです。
いずれにしても、毎日甘いものを飲まずにはいられないのは、あなたの体質や思考ではなく、糖質中毒が招いている依存症状だと捉えてください。
甘いジュースやカフェイン入りドリンクの代わりに何を飲むと良いかというと、ずばり水です。コンビニでペットボトル入りのお茶を買う習慣がある人は、それを水に変えることから始めましょう。コーラやエナジードリンクなどの刺激が欲しい人は炭酸水に置き換えます。
炭酸水に置き換える場合の注意点は、フレーバー入りのものではなく、プレーンの炭酸水を選ぶこと。ミネラルウォーターもフレーバー入りのものが出ていますが、味つけに砂糖が使われているのでプレーンを選ばないと意味がありません。
私は仕事中、いつも水か白湯を飲んでいます。食事のときは炭酸水を飲みます。外出時に打ち合わせやノマド仕事でカフェに入るときは、カフェインレスコーヒーを置いているお店、例えばスターバックスなどを選んで入るようにしています。スターバックスが近くにない場合は、紅茶を頼みティーバッグを別にしてもらうようにお願いして、ティーバッグは入れずに白湯として飲みます。長い時間出かけるときは、自宅で水を水筒に入れて持ち歩くようにしています。
実践してみるとわかるのですが、街中でカフェインも砂糖もアルコールも入っていない飲み物を探すのはかなり大変です。であれば自宅の浄水ポットでろ過した水を水筒に入れて持ち歩くほうが効率的ですし、コスパも圧倒的に良くなります。糖質依存からの離脱は数日でできるそうなので、ちょっと我慢をしてみませんか。
「甘いものを食べると疲れがとれる」はウソ
あなたは会議などで疲れたときに甘いものが欲しくなったことはありませんか? また、ハイキングやトレッキングなどで長い距離を歩いたあとに、チョコレートやおまんじゅうなどがいつもより美味しく感じたことがありませんか?
疲れているけど、もうひと頑張りが必要なときに、甘いものを摂るという人は多いでしょう。しかし、たまにならまだしも、疲れたときに甘いものに手を伸ばすことが習慣になっているのは、身体にも心にも良くありません。
なぜなら、甘いものを食べると一瞬元気になったように感じますが、そのあとで「もっと疲れる」状態になってしまうからです。これこそまさに「糖質中毒」、糖質への依存です。
空腹のときにお菓子やエナジードリンクなどの糖質の塊を身体に入れると、一気に血糖値が上がります。一気に血糖値が上がると、脳が快楽ホルモンのひとつであるドーパミンを分泌するので、私たちは幸せと快感を得ます。そのため「美味しい!」「気分がスッキリする」ような気がします。
一方で大量の糖質が一気に身体に入ると、インスリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げようとします。インスリンが出ないと血液中に糖が流れ込んでしまい、血管や臓器を傷つけてしまうからです。インスリンが分泌されて血糖値が急降下すると、低血糖状態になります。
低血糖状態になったとき、我々は強い倦怠感や耐え難い眠気、めまい、情緒不安定、イライラ、心の落ち込みなど、身体と心に影響を受けます。すると「もう一度良い気分になりたい」という気持ちになり、また糖質を求めるようになります。
つまり、疲れたときに甘いものを食べる習慣は、体調とメンタルを不安定にする要因となるのです。長い目で見れば糖尿病のリスクを高めることにもなります。
「疲れたら運動」に習慣を切り替える
これは甘いものだけではなく、ごはんやうどん、ラーメンなど糖質中心の食品を大量に食べたときにも同じことがいえます。ランチでたっぷりごはんやラーメンなどを食べたあとの午後の会議が眠くて仕方がないというのは、血糖値の急上昇のあとの急降下による低血糖状態が招いているのです。
会議やデスクワークでの疲れは肉体が消耗している疲れではなく、身体を動かさないことにより血流が悪くなって身体が不活性になるため起こる疲労です。会議で疲れたときには、軽い運動をして身体をほぐすほうがよっぽど疲れがとれます。
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おなかが空いて何か間食するとしたら、コンビニで買えるものでは、ゆで卵、サラダチキン、チーズ、素焼きのナッツなど高たんぱくで低糖質なものがオススメです。
私自身も知識がなかった会社員時代は会議のあとに「脳がシュガーを欲している」などと冗談っぽく言いながら、甘いものをパクパク食べていました。しかし今では自宅に甘いものは一切買い置きしなくなりました。
本の原稿を書くなど執筆は座り仕事です。50分ほど続けて執筆をしたら、立ち上がって2~3分歩いて身体をほぐすようにしています。また、午前と午後の間に筋トレとランニングの時間を設定しており、その時間にしっかり運動をするようにしています。この習慣により夕方まで消耗することなく仕事ができ、夜もぐっすり眠れて翌朝に疲れが残ることはありません。
糖質依存は身体を老化させる元凶のひとつです。「疲れたら甘いもの」ではなく「疲れたら運動」に習慣を切り替えましょう。疲れたときに甘いものを食べても、根本的に疲れがとれて回復することはないのです。
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提供元:「疲れたときに甘いもの」の習慣が招く数々の不調|東洋経済オンライン