2023.01.25
脂質異常症になったら卵は控えるべき?~コレステロールとの関係も解説~
当記事を監修した専門家:管理栄養士 松原知香 、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
昔から「卵にはコレステロールがたくさん含まれるから、コレステロール値が高い人は食べてはいけない」と思われています。
しかし、「食べてはいけない」という考え方はもう古いのです。
脂質異常症のようにコレステロール値が高い方でも、正しい知識を身につければ卵も食べられますよ。
そこで今回は、脂質異常症と卵、そしてコレステロールについて解説します。
「どのくらい食べてもいいの?」
「鶏卵だけではなく魚卵もいいの?」
などの疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
卵を食べると脂質異常症は悪化するのか
結論から言えば、卵を食べたからといって必ずしもコレステロール値が上がり、脂質異常症が悪化するわけではありません。
たしかに、私たち日本人のコレステロール摂取源はほとんど卵であるといわれており、そのせいでコレステロールの話題になるたび、卵は悪者扱いされてきました。
しかしさまざまな研究結果より、コレステロールの摂取量とコレステロール値の上昇率が必ずしも一致しないことから、2015年には日本におけるコレステロール摂取量の上限が撤廃されました。
ただし、これはあくまでも血中コレステロール値に異常がない方にあてはまることです。
脂質異常症のように、コレステロール値の異常が見られる場合には重症化を防ぐために引き続き摂取量の制限が必要となります。
「卵を食べすぎるとよくない」ってホント?
脂質異常症の重症化を予防する観点からみると、卵を2個3個と食べすぎてしまうのはよくないといえるでしょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」によると、脂質異常症などのLDLコレステロール値が高い方は、食事からのコレステロール摂取量を200mg/日以下に留めるのが望ましいとされています。
鶏卵1個(約60g)に含まれるコレステロールは230mgなので、脂質異常症の方が1日1個の卵を食べると目標の200mgをオーバーしてしまうのです。
1日何個まで食べていいのか
脂質異常症の場合、卵の摂取量は1/2個(約30g)程度に留めるとよいです。
先ほど鶏卵1個のコレステロールは230mg、脂質異常症のコレステロール摂取は200mg以下が望ましいと申し上げましたが、それなら1個弱食べてもよいのではと感じるかもしれません。
しかし、コレステロールを含む食材は他にもあります。
「バランスのよい食事」を目指しさまざまな食材を食べるために、卵以外の食材に含まれるコレステロール量を考慮し、卵の量は1日1/2個までとしましょう。
魚卵はどうか
ここまで鶏卵についてお伝えしてきましたが、いくらなどの魚卵もコレステロールは高めです。
そこで、鶏卵100gといくら(鮭の卵)100gに含まれるコレステロール量を比較してみました。
鶏卵よりもいくらのほうがコレステロールが多いという結果でした。
注目したいのは、脂質異常症の重症化予防目安であるコレステロール200mgに相当する食材量です。
いくらは42g、寿司にすると4巻分であり、回転すしで2皿以上食べたら上限とするコレステロール量をオーバーしてしまいます。
寿司でいくらを食べる際は、2皿以下までと決めておくとよいですよ。
卵は栄養バランスが抜群
コレステロールにばかり焦点があてられる卵ですが、実は栄養バランスがよいといわれています。
理由は、必須アミノ酸の配合バランスがよいからです。
必須アミノ酸は体内で作り出せないため、食べものから摂る必要があり私たちの体を作るうえで重要な役割を担っています。卵には、この9つの必須アミノ酸がバランスよく含まれているため、栄養バランスがよいといわれているのです。
ただし、便通改善が期待できる食物繊維やコラーゲン合成に必要なビタミンCは少ないため、卵を食べる時にはこれら不足している栄養を補うよう心がけましょう。
参考記事:ゆで卵の栄養はすごい!~体に良い理由を徹底解説~ ※外部サイトに遷移します
脂質異常症は食事で改善できる
ここまで、脂質異常症と卵、コレステロールについてお伝えしてきましたが、脂質異常症は食事内容を見直すことで、数値的な改善が期待できるのです。
そのためには、コレステロール以外にご覧のようなポイントに注意する必要があります。
とくに、(1)の飽和脂肪酸は肉の脂質に多く含まれているため、肉を食べるときは脂身の少ない部位を選ぶようにするとよいです。
卵以外に気を付けるべき食材はあるの?
食品中のコレステロールの点でいうと、脂質異常症の方が卵以外に気を付けるべき食材はレバーなどの臓物(ぞうもつ)があります。
また、脂質異常症の人が食べてよいかという疑問に度々あがるのがアボカドとヨーグルトです。
結論からいうと、アボカドもヨーグルトも脂質異常症の方が食べてもよい食材です。
ただし、アボカドは脂質が高いことから量に気を付ける必要があります。また、ヨーグルトは砂糖や甘味料を使っていない無糖タイプで、かつ低脂肪や無脂肪といったヨーグルトを選ぶと、糖質と脂質の量を抑えつつ食べられますよ。
一見控えたほうがよさそうな食材でも、量や種類を工夫すれば食べられる場合もあるので、気になる食材があればかかりつけ医や栄養指導担当の管理栄養士に相談するとよいでしょう。
まとめ
「食べるとコレステロール値が上がる」と思われがちな卵ですが、血中コレステロールの高い脂質異常症の方でも量に気を付ければ食べられる、ということがわかりましたね。
脂質異常症の重症化予防の観点から、コレステロール摂取量は200mg/日以内が望ましいとされています。これを踏まえバランスよく食事を作る場合、卵は1日1/2個程度とするとよいでしょう。オススメの食べ方は、油を使わず作れるゆで卵ですよ。
また、魚卵や脂質異常症の方が気になるアボカド・ヨーグルトなども工夫次第で食べられますので、ご安心ください。
それでは今回お伝えしたことが、健康的な日々を過ごすためのヒントになれば幸いです。
【参考文献】※外部サイトに遷移します
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020
監修:編集長 宮田 亘造
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
執筆者:管理栄養士 松原知香
宮城学院女子大学食品栄養学科卒業。幼少期、入院中に絶食を経験し食べて健康に過ごす大切さを感じて管理栄養士を目指す。卒業後は食品メーカーにて介護食の営業に従事。病院や老人ホームの管理栄養士をはじめ医師、看護師、薬剤師への商品紹介や研修会を通して、業務上での悩み解決や患者様・利用者様のQOL(生活の質)向上に尽力。情報にあふれた現代で「誤った情報に惑わされずに、日々の食事を楽しめる人を増やしたい」という思いからH2株式会社に入社。
記事提供:H2株式会社
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提供元:脂質異常症になったら卵は控えるべき?~コレステロールとの関係も解説~|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】