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2022.11.02

「1日3食の量は均等」が最適なのは痩せやすいから|統計で朝食のエネルギー比率は夕食の半分程度


肥満を防ぐには食べる時間帯を考慮する必要がある(写真:Luce/PIXTA)

肥満を防ぐには食べる時間帯を考慮する必要がある(写真:Luce/PIXTA)

「努力しても痩せない」のであれば、体内時計と食の関係を知らずにダイエットしていたからかもしれません。2017年、体内時計のメカニズムに対する研究がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。すべての細胞に時間遺伝子があり、その影響がどんどん解明されています。食事も、いつ、食べると体にいいのか、時間によって効果が変わります。本稿では、『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい(柴田重信著)』より一部抜粋・編集のうえ、時間栄養学の観点からより効果的に肥満を防ぐ方法をご紹介します。

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一日3食はバランスがいい

一日に食べる量は同じでも、栄養がエネルギーとなって燃やされるか、脂肪としてたくわえられるかは、食事の回数や量の配分によって違ってきます。時間栄養学の立場で、まず食事の回数を考えてみましょう。

一日1食の場合、長い絶食時間のあと、一日分の食事をとることになります。1回の食事時間以外は、ずっと絶食しているということなので、かなりつらい断食になります。

そのうえ、絶食時間があまりにも長いと、絶食中は血糖値が下がりますが、その後、食事をとると反動で血糖値が高くなることも注意しなければなりません。過剰に多くなった血液中のブドウ糖は肝臓に取り込みきれず、脂肪となって体内にため込まれます。

それだけでなく、血糖値スパイクといって急上昇した血糖値を下げるためインスリンがたくさん出て、今度は急降下することが起きます。これが糖尿病をはじめとする糖代謝異常のみならず血管障害を引き起こしたりするのです。また、1回の食事では必要な栄養をすべてとるのが難しく、体の不調を招きがちになります。

一日2食の場合はどうでしょう? まず朝食は必ずとりたいものです。朝、体内時計をリセットするためには朝食は欠かすことができません。朝・夕の2食か、朝・昼の2食かという選択になりますが、やはり2食では必要な栄養をとるのが難しく、エネルギー不足になりそうです。昼食を抜いた場合、空腹時間が長くなることも夕食後に血糖値を上げる要因になってしまいます。

その点、一日3食は、血糖値の上昇を防ぐという意味で、いちばん優れています。朝食をとると、昼食後や夕食後の血糖値の上昇を防ぐことが知られています。食事の回数を3回にすると、朝食から夕食のあいだに長い絶食時間をつくらないですむので、血糖が安定するのです。

ただし、夕食に食べすぎてしまうと、余った血糖は脂肪としてたくわえられるので、夕食の食べすぎは避けなければならないのは言うまでもないことです。

食が細く、一度に食べられる量が少ない人は間食で補うとよいと思いますが、一般に食事の回数が多くなると、一日の摂取エネルギーも多くなりがちです。朝から寝る直前までだらだらと食べ続けてしまう可能性も高く、プチ断食と反対になり、そのこと自体が肥満に結びつきます。

ヒトは、実際に食べた量よりも、少ない量を認識する傾向があります。「そんなに食べていないのに、なぜかやせない」という人は、食べている量をすべて認識できていないかもしれません。お菓子やフルーツ、甘味料の入ったスポーツ飲料……など認識していない摂取エネルギーが、食事の回数が多くなるほど増えていきます。

やはり食べる時刻を決めて、規則正しく食べるほうが、食べる量を把握できるうえ、ダイエットを継続しやすく、効果も出やすいと言えるでしょう。

朝・昼・夕の食事の量は均等がベスト

次は、食事の量の比率について考えます。

あわただしい朝はどうしても軽めの食事ですませ、比較的ゆっくりと時間がとれる夜に、たくさん食べてしまうという人は多いでしょう。統計でも、各食のエネルギー比率は朝食24%、昼食32%、夕食44%の割合となり、朝食は夕食の半分程度であることがわかりました(「令和元年 国民健康・栄養調査」厚生労働省)。特に、高度肥満者や肥満者は朝食の割合が低く、夕食の割合が高いという結果も出ています。

時間栄養学の考え方では、朝食は体内時計をリセットすることと、一日の活動エネルギーをとる必要があることから、ご飯やパンなどの糖質と、魚や肉、大豆などからタンパク質をしっかりとる必要があります。一方、夕食は、朝食ほどエネルギーをとる必要はありません。夜はほとんどエネルギーとして使われることがないからです。

外国の研究で、高度肥満(BMI35以上)の女性を対象に減量プログラムが行われました。朝食、昼食、夕食の摂取エネルギーを700kcal、500kcal、200kcalにしたグループと、200kcal、500kcal、700kcalにしたグループに分けて比較したところ、朝食にウエイトを置いたグループのほうが明らかに体重が減少し、内臓脂肪がたまりやすいお腹まわり(腹囲)の減少がみられました。

肥満の疫学調査でも、夕食の高カロリー摂取が肥満のリスクになることが知られています。エネルギー消費が高い朝食を軽めにし、エネルギー消費が低い夕食をたくさん食べてしまう現代人に多い食べ方は、最も太りやすい食べ方なのです。

時間栄養学的なポイントをおさえ、肥満を予防し改善しようとするならば、夕食の比重を少し軽くして、その分を朝食にまわすこと。各食の比率をなるべく均等にするだけでも、効果があるでしょう。

夕食の糖質の半分を朝食べれば一挙両得

量の比率だけでなく、栄養の比率も考えたいものです。健康サポート&ダイエットアプリ「あすけん」(株式会社asken)の利用者の中から約1万人の調査をしたことがあります。朝食と夕食のタンパク質、脂質、炭水化物のバランスを解析すると、夕食の炭水化物の割合が低いほど減量効果が出やすいことがわかりました。

炭水化物は、糖質と食物繊維から構成されていますが、この糖質は朝食でとればインスリンを出し、体内時計をリセットするのに役立ちます。一方、夕食の糖質は使われない余剰のエネルギーになりやすいので、少量でかまいません。

これまで夕食でご飯やパン、めん類など主食をしっかり食べていた人は、その量を半分に減らして、朝食にまわすと、体内時計がリズムよく動き、しかも、体重も減らしやすいということが言えます。

プチ断食を挫折してしまうとしたら、夜の食欲にあるかもしれません。がんばってダイエットを続けてきたのに、夕食後、無性にお腹がすいて冷蔵庫をのぞき込んだり、コンビニにお菓子やカップラーメンを買いに走ったり。そんな経験はだれにでもあると思います。

こうした行動は、意志の弱さとは関係ありません。夜遅い食事が習慣化すると、レプチンという食欲を抑えるホルモンの働きが弱まるため、無性に食べたくなるのです。

夜のドカ食いは、言うまでもなく、摂取エネルギーがオーバーになるので避けたいことですが、それだけではありません。夜の食事は体内時計を遅らせて、外界とのずれを大きくしてしまうのです。

食事は、朝の時間帯にとると、体内時計を前に進めてリセットし、夜の時間帯にとると体内時計を遅らせてしまいます。同じ食事なのに、時間帯によってまったく逆の方向に作用する不思議な性質をもっています。

マウスの実験でも、ヒトの朝食に相当する時間にたくさん食べた場合は体内時計が進み、ヒトの夕食に相当する時間にドカ食いした場合は体内時計が遅れることがわかりました。

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『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい 』(講談社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

さらに、朝食の前に16時間の絶食時間を、夕食の前に8時間の絶食時間を設け、一日の食事の量は変えず、朝食と夕食の配分をいろいろなパターンに変えて、体内時計の状態を調べました。

すると、朝たくさん食べた場合や朝食と夕食で均等に食べた場合は、朝食後に体内時計がリセットされましたが、夕食の量を増やすと、朝食の前に16時間という長い絶食時間をとったとしても、体内時計は遅れてしまったのです。

一般に行われているプチ断食では、絶食時間を守りさえすれば自由に好きなだけ食べていいことになっていますが、時間栄養学的にみると、どんなに長い絶食時間を守っても、「夜のドカ食い」はすべてを台なしにするということを覚えておいてください。

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提供元:「1日3食の量は均等」が最適なのは痩せやすいから|東洋経済オンライン

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