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2022.07.11

【ポジティブ・エイジング養生訓】50代からの養生は「こまめ+先手必勝」


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肩がこる、疲れがとれない、食欲がない・・・とお悩みのみなさん!いつまでも明るく元気な「健康現役人」を目指すには、日頃からの“養生”が肝心です。漢方と、西洋医学を駆使する木村容子先生が、現代の養生訓を指南します。

老化への2つの流れ

そもそも加齢に伴う老化を漢方でどのようにとらえているか、というと、私は、2つの流れがあると解釈しています。

まず1つは、「陽から陰」への流れ。古代の中国では、万物を「陽」と「陰」の2つに分けて、さまざまな現象をとらえてきました。この陰陽論は医学にも用いられ、漢方では、新陳代謝が活発に行われている状態を「陽」。一方、カラダ全体またはカラダの一部の新陳代謝が低下した状態を「陰」と考えています。

老化をこの陰陽論にあてはめると、若い頃のカラダが熱を発することができる「陽」の状態から、加齢によって、冷えて寒さに弱くなる「陰」の状態に向かうと言えます。

もう1つは、「実から虚」への流れです。一般的に、「実」は「体質が筋肉質でがっちり、積極的で疲れにくい、胃腸が丈夫」な状態を指し、他方、「痩せ型や水太り、消極的で疲れやすい、胃腸が弱い」状態を「虚」と言います。

これは、加齢によって、体質が「実」傾向から、体力がなくなり風邪をひきやすくなるなどの「虚」の状態に移行することを、老化ととらえる流れです。

特に女性の場合は、古くから「女性は虚になることで非常に冷えて、その冷えがカラダの中に積もり、気が滞り、いろいろな病気が起きる」(『金匱要略』より)として、「虚」と「陰」の状態が一緒になって、病気になりやすくなると言われています。

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逆に男性は、女性に比べると病気に敏感ではないので、とかく無理をしがちです。そのため、バタッと急に倒れる危険性も高いのです。

「こまめな養生」とは

一般的には、20代後半から30代前半にかけて「陽」と「実」のピークを迎え、老化の2つの流れが齢を経るごとに進んでいきます。特に50代以降は「陰」と「虚」に向かう過程なので、この年代に見合ったカラダとココロの養生が必要になります。
 ポイントは、こまめに、早め早めにケアする「こまめ+先手必勝養生」です。

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「虚」の状態とは、車に例えると、ガソリンがいつも少ない状態と言えます。外見上はガソリン満タンの「実」の車も、「虚」の車も同じように走っていても、「虚」の方は、まめに給油しないと車は動かなくなってしまいます。

これは人間にも当てはまりますので、こまめにエネルギー補給しないとすぐに底をついしまいますから、まずは「こまめな養生」が必要になります。

「先手必勝の養生」とは

さらに、50代以降は、老化の波の下降線がはっきりしている以上、現状を維持するだけでも、老化の波をなだらかにすることになります。例えば、免疫力が弱ってきている中で、風邪をひかないで暮らし続けるだけでも、実はプラスの効果があるのです。

別の言い方をすると、いったん風邪をひいてしまうと、こじれやすく、治りにくく、命取りになりかねない年代なので、風邪をひかないようにケアするだけでも、カラダへのダメージは軽減できるのです。

そこで、「こまめ」に加えて、「早め早め」にケアをすることが大事になります。例えば、風邪をひかないためには、日ごろから規則正しい生活を送るとともに、「風邪をひきそうだな」と察知したら、そのままにせずに、その段階で早めに寝床につき、いつもより十分な睡眠をとるようにしたり、胃腸にやさしい食事を意識的にとるなどして、本格的に風邪にかかってしまうことを防ぐのです。

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「こまめなケア」に加え、こうした「先手必勝ケア」を心がけることで、「陰」や「虚」へと向かう老化の波は、だいぶなだらかになっていくことでしょう。

著者:木村容子(東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長)

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お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁入省(国家公務員I種)。イギリス・オックスフォード大学大学院に留学中、漢方に出会う。帰国後、退職して東海大学医学部に学士入学。2002年から東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。現在、同研究所所長。日本東洋医学会認定 漢方専門医、指導医。内科学会認定医。日本東洋医学会理事。人生100年時代に向けて、漢方治療を通じて各自に合わせた“ポジティブ・エイジング”を推進。

著書:『太りやすく、痩せにくくなったら読む本 医師が教えるほんとうのダイエット』(大和書房)
『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)
『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
『漢方の知恵でポジティブ・エイジング』(NHK出版生活人新書) 
他多数。

記事提供:介護・福祉の応援サイト「けあサポ」

「けあサポ」は、福祉の出版社である中央法規出版が運営する、介護・福祉でがんばっているみんなのための、応援サイトです。福祉の資格を取りたい方、福祉の現場で活躍する方に役立つ情報を毎日お届けしています。

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提供元:【ポジティブ・エイジング養生訓】50代からの養生は「こまめ+先手必勝」|けあサポ

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