2022.07.04
【ポジティブ・エイジング養生訓】50歳を過ぎたら「おかず」から食べる
肩がこる、疲れがとれない、食欲がない・・・とお悩みのみなさん!いつまでも明るく元気な「健康現役人」を目指すには、日頃からの“養生”が肝心です。漢方と、西洋医学を駆使する木村容子先生が、現代の養生訓を指南します。
栄養失調気味なのに、太る
加齢でカラダの各機能が衰えてきている50歳以降は、毎日の食事の食べ方についても、年代とともに変えていく必要があります。
最も気を付けなくてはいけないのは、「あまり食欲がないから、さっぱりとした食事を…」と、残った冷ごはんのお茶漬けだけですませたり、具を入れない素うどんを食べる――といった、炭水化物をメイン(だけ)として摂取して、お腹がいっぱいになってしまうケースです。
この年代は、「脾気」(消化吸収機能に関わるエネルギー)が弱ってきているので、ただでさえ食が細くなり、消化の働きも衰えてきています。
そんな時に、「主食」を先に食べてお腹がいっぱいになってしまっては、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルといった栄養素がとれません。さらに、カラダの代謝が落ちてきているので、熱を産み出す炭水化物をとりすぎると、エネルギーに変わらなかった「余分なモノ」が、カラダに溜まりやすくなります。
その結果、「栄養失調気味なのに、太っている」ということになりがちです。
「会席のコース料理」を意識する
そこで、中高年にとっての理想的な食事として、「会席のコース料理」をおすすめしたいと思います。
会席のコースにもいろいろありますが、先付にはじまり、お椀、向付(お造り)、焼き物、八寸、炊き合わせ、酢の物とつづき、しめくくりにご飯や麺類が出てきて、最後はフルーツというのが一般的な流れです。
野菜などの食物繊維、お刺身やメインディッシュでタンパク質を食べた後に、炭水化物の締めとなります。いろいろとおかずを食べた後なので、おのずと、ご飯などの量は少なめとなります。
毎日の食卓で、これだけの種類の料理を用意するのは大変だと思うので、たまの外食のときには「会席のコース料理」にトライするとして、日常の食生活においては、食べる順番として、この「会席のコース料理」を参考にしてはどうでしょうか。
主菜→副菜→汁→主食
たとえば、ある日の食卓に「鮭の塩焼き」(主菜)、「野菜の煮物」(副菜)、「ご飯」(主食)、「味噌汁」が並んでいた場合、どのような順番で箸をつけるといいでしょうか?
もう読者の方々はわかっていらっしゃると思いますが、まずは主菜と副菜に箸をつけて、合間に汁を飲み、主食はなるべく最後に食べる――という順番を意識してみてください。
なお、ご飯については、健康を気にしている方は、白米よりも玄米を嗜好されていることも多いようですが、玄米自体はやや消化しにくいので、「胃腸が弱っているな」と感じた時には、玄米を柔らかく煮炊きにしたり、おかゆにするといいでしょう。
また、食後のフルーツについては、カラダの潤いを補うのにおすすめですが、カラダを冷やさないように、なるべく常温で食べましょう。
著者:木村容子(東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長)
お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁入省(国家公務員I種)。イギリス・オックスフォード大学大学院に留学中、漢方に出会う。帰国後、退職して東海大学医学部に学士入学。2002年から東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。現在、同研究所所長。日本東洋医学会認定 漢方専門医、指導医。内科学会認定医。日本東洋医学会理事。人生100年時代に向けて、漢方治療を通じて各自に合わせた“ポジティブ・エイジング”を推進。
著書:『太りやすく、痩せにくくなったら読む本 医師が教えるほんとうのダイエット』(大和書房)
『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)
『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
『漢方の知恵でポジティブ・エイジング』(NHK出版生活人新書)
他多数。
記事提供:介護・福祉の応援サイト「けあサポ」
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提供元:【ポジティブ・エイジング養生訓】50歳を過ぎたら「おかず」から食べる|けあサポ