2022.06.27
【ポジティブ・エイジング養生訓】凝り解消は胃腸強化から
肩がこる、疲れがとれない、食欲がない・・・とお悩みのみなさん!いつまでも明るく元気な「健康現役人」を目指すには、日頃からの“養生”が肝心です。漢方と、西洋医学を駆使する木村容子先生が、現代の養生訓を指南します。
肩凝りを放っておかない
年齢を重ねると、血液の流れが悪くなったり(お血)、筋肉の衰えによって「凝り」を感じやすくなります。特に最近は、パソコンを利用する中高年も多く、首や肩、背中、腕などが凝るといった症状を訴える方が多いです。
ただ、例えば「肩が凝るから」というだけの理由では、なかなか病院には行きにくいものです。
確かに「肩凝り」は病気の名前ではなく、首から肩にかけて感じられる筋肉の緊張感や不快感、鈍痛などを指す自覚症状ですが、肩凝りを放っておくと、めまいや頭痛の原因となり、女性であれば、子宮筋腫や子宮内膜症といった病気が隠れているかもしれません。
凝っている症状が悪化しないように、日常生活の中で予防しておくことが大切です。
体操だけでは治らない
若い頃や、中高年になっても筋肉がついている人の場合は、例えば肩凝りでも、肩をもみほぐしたり、体操をしたりして血行がよくなると、改善しやすいものです。
しかし、筋肉が衰えている中高年の場合は、ちょっとした運動くらいでは、肩凝りはなかなか治りません。肩もみや体操をしても、すぐに凝った状態に戻ってしまいます。
漢方医学では、五臓の中の「脾」(西洋医学に脾臓のことではなく、消化器系に関わる)が、筋肉と胃腸の働きに関係していると考えられています。言い換えると、加齢とともに胃腸の働きは弱ってくるので、良い筋肉を作ることができなくなりやすい、ということです。
胃腸の働きと筋肉の関係
凝りの解消にあたっては、すぐに改善が見られない場合も多いので、凝りを溜めず、悪化させないための日ごろからの養生が大切になります。
血行を良くすることはもとより、中高年の場合は、胃腸の働きを強化することも同時に行う必要があります。
「筋肉が衰える」ことが凝りの原因だと説明すると、患者さんの中には「運動して筋肉をつけよう!」と考える方もいます。しかし、運動をする前に、まずは胃腸の働きを良くして、筋肉を作りやすいカラダにしておきましょう。
ストレスでも凝る
胃腸の働きを強化するにあたっての食事は、「腹八分目」「バランスよく」「規則正しく」を守り、胃腸に余分な負担をかけないようにします。食事量の割合は、朝食:昼食:夕食=10:8:6を目安に。
また、ストレスによっても凝りが生じます。これは五臓の「肝」(西洋医学の肝臓の機能に加えて、自律神経や情緒のコントロールを行う)がストレスの影響を受けやすく、うまく働かなくなると血行も悪くなります。
ストレスを溜めないようにし、「肝」と「脾」の両方の養生に共通となる、普段から、過労や睡眠不足を避け、中高年の場合はある程度は年齢を意識して、今まで以上に休息の時間を増やすよう心がけるといいでしょう。
著者:木村容子(東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長)
お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁入省(国家公務員I種)。イギリス・オックスフォード大学大学院に留学中、漢方に出会う。帰国後、退職して東海大学医学部に学士入学。2002年から東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。現在、同研究所所長。日本東洋医学会認定 漢方専門医、指導医。内科学会認定医。日本東洋医学会理事。人生100年時代に向けて、漢方治療を通じて各自に合わせた“ポジティブ・エイジング”を推進。
著書:『太りやすく、痩せにくくなったら読む本 医師が教えるほんとうのダイエット』(大和書房)
『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)
『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
『漢方の知恵でポジティブ・エイジング』(NHK出版生活人新書)
他多数。
記事提供:介護・福祉の応援サイト「けあサポ」
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