2022.07.04
アンケート企画:あなたの悩みに専門家が答えます(16)オートミールダイエットで体脂肪を減らすには?
私たちは、インターネットなどの多種多様なメディアからさまざまな健康情報を入手することができますが、それって確かな情報でしょうか?専門家に聞いてみたいお悩み、ありませんか?
本企画では、リンククロスシル編集部が、アンケートで募集した健康に関するお悩みについて、専門家に聞いてみました。
今回は、オートミールダイエットについて、管理栄養士・村上加織さんに回答していただきました。
Q. オートミールダイエットで体脂肪を減らすには?
回答
最近、幅広い層でオートミールダイエットへの関心が高まっていますね。質問者様のようにパンなどの主食をオートミールに置き換えることが、このダイエット法の一般的な取り入れ方のようです。今回は、ご質問いただいた“体脂肪”に関する疑問についてお答えしたいと思います。
オートミールダイエットで本当に痩せられるの?
オートミールは、燕麦(えんばく)を食べやすく加工した全粒穀物であり、白米や小麦粉と同じく穀類に分類されます。精製(ふすまと胚芽を取り除く)されていないため、食物繊維が豊富に含まれ、満腹感が得られやすいことが特徴です。
では、穀類を原料とする主食のカロリーを比較するとどうでしょうか?
オートミールの1食あたりのカロリーは、ほかの主食と比べて低いことがわかります。よって、主食をオートミールに置き換えることでカロリーが抑えられ、減量につながるといえるでしょう。ただし、どのような食品においても共通ではありますが、食べ過ぎてしまうとカロリーオーバーになってしまい本末転倒に。どんなに良いといわれている食品も食べる量には注意しましょう [1]。
“体重が減っても体脂肪が減らない”のはなぜ?
体重が減ったにもかかわらず体脂肪が減らない理由として、主に2つのことが考えられます。
1つ目は、ダイエットの初期段階では、体内の水分や食事からとる水分が減少しやすいため、それが体重に反映されていることが考えられます。脂肪を減らすためには、長期的にダイエットを行うことが大切です。
2つ目に、栄養不足や運動不足が長期間続くことによる筋肉の減少が影響していることが考えられます。筋肉が減少すると、基礎代謝(生きているだけで消費されるエネルギー)が下がり、体脂肪が燃焼されにくくなるため、筋肉量を保つことが重要です。オートミールはダイエットの強い味方になる食材ですが、筋肉を作り維持するためには食事全体のバランスと適度な運動を心がけましょう。
質問者様のダイエットの詳しい状況がわからないため一般的なご回答になりますが、参考になさってください[2]。
体脂肪を減らすために意識したい3つのポイント
それでは、体脂肪を減らしダイエットを成功させるためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?次の3つのポイントをおさえておきましょう。
(1)摂取エネルギーを減らして脂肪の蓄積を防ぐ
摂取エネルギー(カロリー)とは食事からとるエネルギーのことを指します。摂取エネルギーが過剰になると余った分は体脂肪として蓄えられるため、体脂肪を減らすには摂取エネルギーを減らす必要があります。まずは1日の食事・間食を見直してみましょう。ごはんや脂身、脂っこい食品のとりすぎやお菓子・飲料をとる習慣がある場合、頻度や量を改善することが望ましいです。
また、食物繊維が豊富な野菜、きのこ、海藻は、満腹感が得られやすく便秘予防にもなるため、積極的に取り入れることをおすすめします。ごはんにも食物繊維が多く含まれるため、ごはんを極端に減らすことは控えましょう[3, 4]。
(2)消費エネルギーを増やして脂肪を燃焼する
体脂肪をさらに減らすためには、消費エネルギー(カロリー)を増やすことを意識しましょう。私たちは生きるために、摂取したエネルギーを以下の3つに使っています。
・基礎代謝(生きているだけで消費されるエネルギー)
・食事誘発性熱産生(食事などの刺激によって内臓が動くことで消費されるエネルギー)
・身体活動(体を動かすことで消費されるエネルギー)
なかでも、身体活動は1日のエネルギー消費量に大きく影響するといわれているため、ウォーキングや掃除などを積極的に行うと良いでしょう。まずは、いつもより10分多く体を動かすことをおすすめします。
さらに、基礎代謝を増やすために無理のない範囲で筋力トレーニングを行うこと、食事誘発性熱産生を増やすためにゆっくりとよく噛むことも意識できるとよいですね[5, 6]。
(3)食事の時間が遅くならないよう心がける
何をどのくらい食べるかだけでなく、いつ食べるかという視点をもって食事に意識を向けることは肥満を予防するうえで重要だと考えられています。夜遅くの食事や間食は、体脂肪がつきやすくなり肥満のリスクを高めると報告されていることから、夜食はできるだけ控えるようにしましょう。難しい場合は、夕方頃に夕食の一部をとり、遅い時間の食事を減らす分割食を取り入れることをおすすめします。体脂肪がつきにくい食べ方を意識してみましょう[7]。
ダイエットは無理なく継続しましょう!
急激な減量には健康上のリスクがありリバウンドの原因にもなるため、ダイエットは気長に継続することが大切です。脂肪1kgを消費するには約7000kcalほど消費する必要があり、1日あたりに直すと240kcalになります。ぜひ減量の目安にしてみてください。食事も運動も、ストレスをためないよう少しずつ習慣にしましょう[8]。
【参考文献】(全て2022年5月16日閲覧)※外部サイトに遷移します
[5]厚生労働省:e-ヘルスネット|身体活動とエネルギー代謝
[6]厚生労働省:e-ヘルスネット|速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」
[7]厚生労働省:e-ヘルスネット|交代制勤務者の食生活に関する留意点
【プロフィール】管理栄養士 村上加織
「食の力で大切な人を健康にしたい!笑顔にしたい」という想いを実現すべく、管理栄養士の資格を取得。急性期病院に勤務し、給食管理や栄養指導を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。特定保健指導やコラム執筆などの活動を通して、食と健康に関する情報を科学的根拠に基づき発信している。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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