2022.06.13
アンケート企画:あなたの悩みに専門家が答えます(13):50代では毎食事にどれくらいのたんぱく質をとれば良いですか?
私たちは、インターネットなどの多種多様なメディアからさまざまな健康情報を入手することができますが、それって確かな情報でしょうか?専門家に聞いてみたいお悩み、ありませんか?
本企画では、リンククロスシル編集部が、アンケートで募集した健康に関するお悩みについて、専門家に聞いてみました。
第13回目は、50歳代女性よりたんぱく質の摂取量について、管理栄養士・小野くみさんに回答していただきました。
Q. 50代では毎食事にどれくらいのたんぱく質をとれば良いですか?
回答
いただいたご質問の背景には、30、40代の頃に比べて筋力が落ち、今の食事内容で大丈夫なのか不安に感じる方が多いことが伺えます。そこで今回は50代を健康で過ごすためにたんぱく質を含む食材を実際どれくらい食べれば良いのか、その目安量を紹介していきます。
今さら聞けない!たんぱく質って何?
たんぱく質は、炭水化物、脂質とともに人間を動かすエネルギー栄養素の一つであり、動物や植物の細胞を構成する主要な成分です。
食品では主に、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに含まれていて、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体を構成する主成分となる役割がある、生命の維持に欠くことができない成分です。今の日本人の平均的な食生活ではたんぱく質の欠乏傾向は見られませんが、ダイエットや食欲低下など何らかの影響で欠乏すると、免疫機能低下などの欠乏症が起こるリスクが高まるので注意が必要です。しかし、とりすぎても中性脂肪として蓄えられ肥満などの原因になるため、過不足なくとれるように注意しましょう[1]。
50代の私たちはどのくらい食べたら良いの?
それでは次に、たんぱく質を具体的にどれだけ食べたら良いのかを見ていきましょう。
今回は『日本人の食事摂取基準(2020年版)』を参考に、通勤や家事、軽いスポーツなどの日常生活を送る50代(50〜64歳)の方に1日に必要なたんぱく質量をご紹介します[注]。
この値は、30、40代と比ベて増えているのかというと、実は、20代のころから変わりません。しかし多くの方が20代の頃より50代の今、運動習慣が減っている印象があります。運動量が減っている場合は同じ量を食べ続けると太る原因になるので注意が必要です[2]。
[注]糖尿病、高血圧などで医師または管理栄養士から食事指導を受けている方は、その指導に従ってください。
良質なたんぱく質って何?悪いたんぱく質もあるの?
たんぱく質のうち、人の体では合成することができない“必須アミノ酸”をバランスよく含んでいる食品のことを、よく“良質なたんぱく質を含む食品”といいます。良質なたんぱく質を含む代表的な食品は、卵類・肉類・魚類・豆類などです。一方、単品での質は高くなくても食べ合わせ次第で良質なたんぱく質として吸収される食品もあります。その代表的な食品はご飯やパンの穀類です。あまり知られていませんが、穀類にもたんぱく質は含まれています。しかし良質のたんぱく質ではないため、肉や魚などの主菜と一緒に食べることが大切です[3]。
あの食品に含まれている、たんぱく質はどのくらい?
私たちが普段食べている食材にはどのくらいのたんぱく質が含まれているのかを確認してみましょう。
たんぱく質をとろうとするあまり、ついお肉を食べすぎていませんか?肉に含まれる飽和脂肪酸のとりすぎは血液中のLDLコレステロールを増加させ、肥満や心筋梗塞などの循環器疾患のリスクを高めます。 豆腐や魚など、さまざまなたんぱく質源の食材を組み合わせて飽和脂肪酸のとりすぎや栄養の偏りに気をつけましょう[4, 5]。
50代女性が1日に必要なたんぱく質をとるには?
では、家事や軽い運動習慣があるような50代女性が何をどれだけ食べたら良いのかを、1日の食事例からイメージしてみましょう。
たとえば、このような食事の内容で、50代女性が1日にとりたいたんぱく質を補うことができます。
朝食:納豆ごはん、ヨーグルト
昼食:目玉焼きトースト
夕食:ご飯 鮭 肉じゃが
いかがでしょうか?毎食たんぱく質を含む食材を1〜2品取り入れることで、必要なたんぱく質を摂取することができます。
ずばり!1回のお食事でとるべき食品は?
50代男女が必要とするたんぱく質をとるためには、1食あたりで “肉、魚、豆、卵”から1〜2品選ぶようにしましょう。毎日のお食事や食材選びの参考にしてみてください。食品によって、たんぱく質を構成する特徴が異なるため、動物性、植物性いろんな食品を組み合わせて食べて健康な食生活を送っていきましょうね。
【参考文献】(すべて2022年5月9日閲覧)※外部サイトに遷移します
【プロフィール】管理栄養士 小野くみ
管理栄養士の資格を取得後、精神科病院、老人保健施設、保健センター等に勤務し、給食業務や栄養管理業務で赤ちゃんからお年寄りまでの栄養指導を経験。
現在は「スポーツキッズを伸ばす管理栄養士」として小中学生アスリート向けの“手間暇かけない栄養満点スポーツ食で、子供のベストパフォーマンスを引き出す”をコンセプトにした、パーソナル栄養講座を開催し、チームや個人の方の栄養サポートを行っている。
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