2022.03.24
たけのこの知られざる栄養成分~健康効果や食べ合わせについて管理栄養士が解説~
当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
春に旬を迎えるたけのこは独特の香りとシャキシャキした食感が特徴的ですが、体を作る上で欠かすことのできないたんぱく質を含んでいるなど、栄養面でも魅力がある野菜です。
今回は栄養のプロである管理栄養士が、たけのこの意外な栄養についてその効果や他の食材との組み合わせをご紹介します。
健康な毎日を過ごすためにたけのこを活用したい方はぜひ最後までご覧ください!
たけのこの栄養素と効能
たけのこには様々な栄養が含まれていますが、その1つにたんぱく質があります。
たんぱく質というと肉や魚といった食材に多く含まれているので、野菜であるたけのこに含まれているのは意外ですよね。
他にもカリウムや食物繊維に加えて、チロシンという聞きなじみのない栄養も含まれています。
では、それぞれどのような働きをするのか、詳しく解説いたしましょう。
ダイエットにも有用なたんぱく質
たんぱく質は糖質、脂質と並び三大栄養素と呼ばれています。
その働きは筋肉や臓器の構成成分になるなど、私たちの体を作る上で重要な役割を持つ栄養素です。
また最近では、ダイエットのためにたんぱく質を積極的に摂る方も多くいらっしゃいます。
たんぱく質の代表格である肉や魚ほど多くはありませんが、生のたけのこ100gには3.6gのたんぱく質が含まれています。
さらに、たけのこのカロリーは100gあたり27kcalと非常に低いため、ダイエットしながらたんぱく質を補いたい方にお勧めの食材です。
たけのこのカリウムは野菜の中でもトップクラス
カリウムは体の余分な塩分を水分と一緒に排出してくれる働きがあります。むくみが気になる、血圧を下げたいという方には積極的に摂っていただきたい栄養です。
なお煮物にするとおいしいたけのですが、野菜の中でも特にカリウムが多く含まれ、生100gあたり520mgほど含まれています。
そこで同じく煮物の定番野菜である大根と比べてみましょう。
大根に含まれるカリウムは、皮をむいた生の状態で100g当たり230㎎であるため、たけのこは大根より約2倍ものカリウムを含んでいるのです。
白い粉の正体はチロシン
チロシンはあまり聞きなれない名前ですが、たんぱく質の元となるアミノ酸の一種であり、私たちの体にとって有用な働きを持っています。
チロシンはドーパミンという神経伝達物質を合成する際に必要で、幸せを感じたり集中力を上げるなど、脳を活性化させる働きがあります。
例えばたけのこを切ると、中心部分に白い粉のようなものがありますが、それがチロシンです。
見栄えが良くないから・・・と白い粉を取り除いて食べると、せっかくのチロシンを捨てていることになります。
茹でても白く残っていることがありますが、ぜひそのまま食べてみてください。
便通を良くする食物繊維
食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。
そしてたけのこに含まれるのはほとんど不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、水を含むと膨らみ便の量を増やすことで腸を刺激して便通をよくする働きがあります。
ちなみに生のたけのこ100gには2.8gもの食物繊維が含まれています。
これは、キャベツやレタスといった食物繊維が多いと言われている野菜と比べても2倍近い量です。
水煮筍(たけのこ)は栄養がない?生と成分に違いがあるのか
栄養面において、水煮のたけのこは生のたけのこと比べるとそれほど大きな違いはありませんが、カリウムは生のたけのこに520㎎含まれているのに対し水煮は77㎎と大幅に減っています。
これは、カリウムが水に溶けやすいため、水煮にした場合煮汁に流れ出ているからです。
たけのこの水煮を使いつつよりカリウムを多く摂りたい方は、生の野菜や果物などを使った料理も一緒に食べることで、カリウムを補うことができますよ。
たけのこは消化に悪い?
結論から言うと、たけのこは消化に悪いと言えます。
その原因は、たけのこに多く含まれている食物繊維にあります。
食物繊維は人間の体で消化できない栄養です。
そのため、食べた後は体外に排出しようとしますが、大量に摂ると排出するまでに時間がかかってしまい、消化器官に負担をかけてしまうため消化が悪いと言われています。
食べ過ぎるとどうなるのか
たけのこを大量に食べるということは、食物繊維を多く摂ることになります。
食物繊維を大量に摂ることで、消化器官に負担がかかり便秘になったり逆にお腹が緩くなったりする可能性があります。
食べ過ぎには注意して、適量を意識しましょう。
適量であれば便秘に効果的
食物繊維の摂りすぎには注意が必要ですが、一方で適量の食物繊維は便秘解消に効果的です。
現在成人の方が摂っている食物繊維の平均値は18g前後ですが、理想は24g以上とされています。
食物繊維不足を防ぐために、目安としてまずは1日3~4gの食物繊維をプラスして食事に取り入れる工夫をしましょう。
たけのこの水煮はおおよそ1パックに150g入っており食物繊維は3.5gなので、1日1パック食事に取り入れるだけで目安の3~4gの食物繊維を補えます。
たけのこは春が旬ですが、水煮でしたらスーパーなどで季節を問わず手に入りますよ。
たけのこには食べ合わせの良い・悪い食材があるって本当?
たけのこと食べ合わせの良いのは「カルシウムを多く含む食材」です。
たけのこにはえぐみ※成分であるシュウ酸が含まれています。
※不快な苦い味を指す
シュウ酸は大量に摂ると尿路結石の原因となるため、溜まる前に排出する必要がありますが、その時に必要なのがカルシウムです。
シュウ酸はカルシウムと結びつくことで、シュウ酸カルシウムとなり便として排出できます。
たけのこのようにシュウ酸を多く含む食材を食べる時には、カルシウムを含む食材を一緒に食べると良いでしょう。
例えば、厚揚げにはカルシウムが多く含まれているので、厚揚げとたけのこを煮物にするとシュウ酸とカルシウムを同時に摂ることができますよ。
一方で、たけのこと食べ合わせの悪いはこれ!というものは特段ありません。
しいて言えば、たけのこのように食物繊維を多く含む食品と組み合わせて大量に食べることで、消化不良を引き起こす可能性があります。
健康的な食事を心がけるのであれば、どんな食材でも「適量」を意識しましょう。
まとめ
たけのこにはたんぱく質をはじめ、カリウムやチロシン、食物繊維など有用な栄養が含まれています。
たんぱく質は筋肉を作り、カリウムはむくみの解消、食物繊維は便秘解消に役立ちます。
さらに、たけのこはカロリーが低いためダイエット中の食事で「あともう一品」欲しい時に取り入れると良いでしょう。
旬の時期以外でも、パック詰めされた水煮であればスーパーなどで簡単に手に入りますよ。
ただし、食物繊維が他の野菜と比べても多く含まれているため、大量に食べることで食物繊維の摂り過ぎにより消化不良になる可能性があります。
食べる時には適量を心がけましょう。
それではたけのこを普段の食卓に取り入れて、毎日を健康に過ごしていただければと思います。
【参考文献】※外部サイトに遷移します
監修:編集長 宮田 亘造 H2株式会社 シニアマネージャー
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
監修:管理栄養士・調理師 前間弘美
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。
記事提供:H2株式会社
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提供元:たけのこの知られざる栄養成分~健康効果や食べ合わせについて管理栄養士が解説~|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】