2022.03.04
ひじきの栄養と効能効果~気になる噂についても管理栄養士が徹底解説~
当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
ひじきはわかめや昆布と同じ海藻の一種で、ミネラルや食物繊維といった健康に良い栄養を含んでいます。
一方で「体に悪い成分が含まれている」という情報もあり、食べるのを控えている方もおられるようです。
そこで今回は、ひじきの栄養について、栄養のプロである管理栄養士が詳しく解説いたします。
「ひじきは髪に良い」という噂や、栄養を効率的に摂ることができるレシピもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ひじきの栄養と効能効果
ゆでた乾燥ひじき100gには以下のような栄養が含まれています。
ひじきは食物繊維やミネラルを含んでいるので、食生活が乱れがちな方は積極的に食べていただきたい食材です。しかも、カロリーが低いのでダイエット中の方にもオススメですね。
では、各栄養について詳しく解説いたします。
食後血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けることができます。
ひじきに含まれているのは主に水溶性食物繊維で、水を含むとゼリー状になり余分な脂質や塩分を体の外に排出する働きがあります。また、小腸で糖分を吸収するスピードを緩やかにする働きもあるため、食後の急激な血糖上昇を防ぐことができるのです。
ちなみに、不溶性食物繊維は便の量を増やすことで腸を刺激し、便通を促す効果があります。
こむら返りにカルシウム
カルシウムと聞くと、まず思い浮かべるのは「骨」ではないでしょうか。
カルシウムは骨や歯の構成成分でもあり、普段から意識して摂りたい栄養です。
また、カルシウムは筋肉を収縮させる効果があります。よく足をつる人は、カルシウムが不足しているかもしれませんので、ひじきを食べてカルシウムを補給すると良いですよ。
ひじきの鉄を吸収率アップさせるには?
鉄分は肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜や海藻類に含まれる非ヘム鉄に分けられ、ひじきに含まれているのは非ヘム鉄です。
非ヘム鉄はヘム鉄と比べて体に吸収されにくいですが、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取すると吸収率がアップします。
鉄分は血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの構成成分として使われる他に、運ばれた酸素を筋肉中に保管する手助けもします。
鉄分が不足すると貧血になりやすいため、特に女性は積極的に摂りたい栄養です。
むくみ・血圧予防にはカリウム
カリウムは体の余分な塩分を水分と一緒に排出する働きがあります。むくみや血圧が気になる方は積極的にとると良い栄養です。
生の野菜に多く含まれているカリウムですが、ひじきなどの海藻類にも含まれています。
むくみが気になる方は、ひじきを使ったサラダなどでカリウムを摂ると良いですね。
これって噂?ひじきは髪の毛に良いのか
「海藻を食べると髪の毛が黒くなる」という話を聞いたことがある方は多いかと思います。
そのように言われる理由として、ひじきに含まれるヨウ素が髪の毛の主成分であるたんぱく質の合成を促す働きがあるからだと考えられます。
しかし、残念ながら直接髪の毛に効くといった科学的根拠はありません。髪の毛に良い成分を摂りたいと思った時には、ひじきと一緒にたんぱく質を含む食材をとると良いでしょう。
なぜひじきは栄養がないと言われるのか
乾燥ひじきを食べる際水で戻したり茹でたりと何度も水にさらすため栄養が流れてしまっているのでは?と考えている方が多いようです。
ひじきの栄養のうち、カリウムは多少水に溶けやすいですが、カルシウムや鉄については水に流れ出てしまうおそれはありません。
むしろひじきは栄養が豊富なうえに低カロリーなので、ダイエット中の方にもおすすめな食材です。
体に悪いヒ素が含まれているって本当?
ひじきには体に悪影響のあるヒ素が含まれている、というのは事実です。
しかしひじきのヒ素について、厚生労働省は「体重50㎏の人が毎日4.7g以上を継続的に摂取しない限り限度を超えることはない」としています。
ひじきの煮物小鉢1杯分に使われる乾燥ひじきはおおよそ3gですので、毎日大量に食べない限りひじきが体に悪影響を及ぼすということはありません。
子供が食べても大丈夫か
子供についても、ひじきを大量に食べない限り影響がでることは考えにくいです。ただし、少量でもヒ素が含まれているなら子供に食べさせるのは控えよう、と思う方もおられると思います。
しかし、ひじきに含まれているヒ素は水に溶けやすく、乾燥ヒジキであれば「水で戻す」と5割程、直接「茹でる」と、8割減ることがわかっています。
ちなみに、最もひじきのヒ素を減らせるのは「茹でこぼす」方法です。
(1)乾燥ひじきを30分ほど浸けて水で戻す
(2)水を捨ててからお湯で茹でる
(3)茹で上がったら流水で洗う
この方法で約9割ヒ素を減らせます。
確かにひじきにはヒ素が含まれていますが、栄養も豊富なので子供にも食べてもらいたい食材です。安心して食べられる方法で、普段の食事にひじきを取り入れると良いでしょう。
いつもと一味違う~ひじきの効果的なレシピをご紹介~
今回はひじきを使って一味変わったおしゃれなサラダをご紹介します。
ひじきに含まれている鉄は、レモン汁のビタミンCやツナ・枝豆のたんぱく質と一緒に摂ると吸収されやすくなりますよ。
【ひじきのカラフルサラダ】
【作り方】
(1)ひじきは水に30分浸けて戻した後、沸騰したお湯で軽く茹でから冷水にさらし水気をよく切る
(2)パプリカは種をとり5㎜に角刻む
(3)ボールにドレッシングの材料を入れてよく混ぜる
(4)(3)に(1)と(2)、むき枝豆、コーン、ノンオイルツナ缶を入れてよく混ぜ合わせたら完成
【ポイント】
・茹でこぼすことで減ってしまうひじきのカリウムを補うために、生のパプリカを合わせています。
・定番のひじきの煮物など、和風の味付けに飽きたときにぜひ作ってみてください。
まとめ
ひじきには鉄分をはじめとしたミネラルや食物繊維といった栄養が含まれており、私たちの健康を維持する効果をもたらしてくれます。
一方で体に有害なヒ素が含まれているものの、水で戻したり茹でたりすることで含まれているヒ素の約9割を減らせます。正しい知識と対処法を知っておけば、安心して食べることができますよ。
また、ひじきの栄養を効率的に摂れるレシピもご紹介しましたので、レパートリーに加えてみてください。
それでは当記事を参考にいつもの食卓にひじきを使ったおかずを1品取り入れて、健康的な毎日をお過ごしください!
【参考文献】※外部サイトに遷移します
文部科学省 食品成分データベース ひじき(ステンレス釜/乾)
文部科学省 食品成分データベース ひじき(ステンレス釜/ゆで)
監修:編集長 宮田 亘造 H2株式会社 シニアマネージャー
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
監修:管理栄養士・調理師 前間弘美
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。
記事提供:H2株式会社
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