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2020.12.23

マスクとってショック「顔のたるみ」意外な理由|加齢現象とあきらめず、今日からできる予防法


マスクをとった後に鏡を見て、ぎょっとした経験はありませんか?(写真:PIXTA)

マスクをとった後に鏡を見て、ぎょっとした経験はありませんか?(写真:PIXTA)

筆者は美容皮膚科医として、毎日多くの患者さんの、老化に対する悩みを聞く。そして、このコロナ渦で、以前にも増して相談件数が多くなっているのが、「顔のたるみ」という、無情にもすべての人が経験する現象だ。

コロナ渦と言ったのにも理由がある。1日の大半をマスクをして過ごすことが多くなった今、ひとたびマスクを外して鏡をみると、自分の想像していた顔と違っていてギョっとする……その原因の1つが、日に日に進行するたるみ、というわけだ。

たるみを引き起こす骨の加齢現象

多くの患者さんはたるみという現象が、皮膚だけの問題と認識しているように思う。もちろん、年齢を重ねると、皮膚自体が伸びきってしまう、という原因もある。しかし、顔というのは、皮膚だけでできているわけではなく、皮膚の下の脂肪、表情を作ったりするための筋肉や、そして土台となる顔の骨からできている。そして、そのすべての要素で起きる、加齢現象がたるみとして私達の目の前に現れるのである。

この、たるみを引き起こす骨の加齢現象の1つに、実は、「骨粗しょう症」が密接にかかわっている。骨粗しょう症といえば、身体の骨が弱くなるというイメージであるが、顔も例外ではない。そして、顔の場合は骨密度の減少が、30代40代の若いうちから顔におきて、たるみを引き起こしている原因と言われているのだ。

顔の骨はすべての土台となる。その土台が崩れれば、上に存在する、筋肉や脂肪、皮膚は支えを失って下に落ちていく。これがたるみの正体だ。

そもそも、骨粗しょう症とは何か。皆さんの持たれるイメージ通り、「骨折のリスクが増大しやすくなる疾患で、骨強度の低下を特徴とする」と定義される(日本骨粗しょう症学会「予防と治療ガイドライン2015年版」より)。そのうち、骨強度を決定するもののうち、大半を占めるのが「骨密度」である。

骨は身長が伸びるのが止まったら、成長せずに一生そのまま、と思われることもあるが、実は、骨では絶えず壊しては(=骨吸収)また新しく作る(=骨形成)、ということが行われている。

つまり、私たちが「成長せずにそのまま」と思っているのは、骨吸収と骨形成の量が等しく、バランスが取れている、からなのである。しかし、このバランスが崩れて、骨吸収が骨形成を上回ってしまうと、骨密度の低下が起きる。

「顔やせ」を実感しやすい部分

とここまで、骨粗しょう症と骨密度について書いたが、それでもまだピンとこない人がいるかもしれない。

しかし、この骨が「やせていっている」(つまり骨萎縮)ということを、実感しやすい場所がある。それは、頬、額、こめかみだ。頬は平坦になっていき、こめかみの凹みが目立ってくる。額には膨らみがなくなり、ぼこつきがでてきていないだろうか。ぜひ昔の写真と見比べて頂きたい。

実際に、とある論文によると顔の骨は体の骨よりも若いうちからやせていくことがわかっている。2012年に発表されたショー・RB・ジュニア医師らによる論文では、年代別に腰の骨である腰椎と、顔面骨の骨密度を比較しているが、顔面骨に関しては、男性では平均年齢29.9歳、女性では平均年齢27歳の若い年代のグループでも骨密度減少に伴う骨萎縮が起きているということがわかった。

では、顔の骨萎縮をどう食い止めるにはどうしたらいいのだろうか。

加齢が原因だから……とあきらめる前に今日からできる手立てがある。まず、1つ目の手段として、思いつきやすいのは、骨を強くするのに必要なカルシウムの摂取や、ビタミンD、ビタミンKの摂取でなかろうか。もう1つは、近年ますます注目を浴びている、全身の老化を促進する「AGEs」という物質の、体内での生成や蓄積を抑えることである。

まずは前者について解説していく。カルシウムは骨を構成する重要な栄養素であることは、イメージがつきやすいかと思う。しかし、骨の健康にかかわる栄養素は多く、カルシウムのみが重要というわけではない。ビタミンDやKの不足は、骨の質が変化してしまい、弱い骨となってしまう。

サプリメントで補えばいい、という声も聞かれるが、まずは食事からとることが大切だ。

例えば、カルシウムサプリメント。前述のガイドラインによると、カルシウム源をサプリメントのみに頼ると、健康リスクが高まる可能性が指摘されている。しかし同じ量のカルシウムを食事として摂取した場合、そのようなリスクの上昇はないといわれている。

カルシウムを多く含む食品は、大豆製品、緑黄色野菜、牛乳・乳製品、ビタミンDは魚類やきのこ類、ビタミンKは緑色野菜や納豆だ。いわゆる「バランスよく食べましょう」ということになるが、このようにしっかりとした理由があるのだ。

次は後者の「AGEs」についてである。加齢だけでなく、高血糖状態などによって生成蓄積される物質で、臓器を傷害する作用が強いといわれている。このAGEsは骨粗しょう症だけでなく、心血管疾患、アルツハイマー、がんなど、を引き起こしやすくするといわれている。そして、体内の見えないところの老化だけでなく、しわ、しみ、たるみ、薄毛ともかかわっているのだ。

このAGEsは一度形成されると、なかなか代謝されにくいという性質をもつ。つまり、いかにこのAGEsを生成させないようにするか、がカギとなる。

その1つが、食生活だ。「You are What you eat」という言葉もあるが、まさに私たちの身体は、私たちの口にするもの、からできている。ニュヨークにあるマウント・サイナイ病院のハイメ・ウリバリ医師らの報告によると、揚げ物や、焼き物はAGEsを生成することがわかっており、なるべく、茹でたり、蒸したりしたものを食べるとよいといわれている。また、レモンやお酢をかけて食べることも有効だ。

食べる順番も重要だ。急激な血糖の上昇もAGEsの生成に関わっているため、野菜や副菜から食べ、最後に主食、という順が推奨されている。ちなみに、どの健康に関する記事でも「悪」とされる、喫煙も御多分に漏れず、AGEsの蓄積に関わっている可能性がある。

「顔やせ」への対処法は?

最後に、顔の骨密度の低下によってすでに、顔の骨やせを実感されている方への美容皮膚科で可能な対処法をお伝えしたい。それがヒアルロン酸注入だ。一昔前までは、法令線の段差だけを埋めるための治療、というイメージがあったかもしれない。

しかし、顔面の老化のメカニズムが解明されるに従い、年々ヒアルロン酸注入に関する、技術や考え方はアップデートされている。実際に顔面骨の委縮を伴う患者さんには、骨の上にヒアルロン酸注入を行うことで、減ってしまったボリュームを回復させる治療を行う。これによって、マスクを外しても、「想像どおりの自分の顔」を鏡の中にみることができる。

もちろん、加齢に対する考え方は人それぞれで、それへの対処法もいろいろであっていい。マスクと共に生きる時代となった今、もう一度自分の顔と体に向き合ってみてはいかがであろう。

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提供元:マスクとってショック「顔のたるみ」意外な理由|東洋経済オンライン

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