2020.12.16
「腸に無知すぎる日本人」食事術、残念な5大誤解|カロリー制限…「その食事法」本当に大丈夫?
日本人がやりがちな食事法の「意外な落とし穴とよくある誤解」とは? (写真:studio-sonic/PIXTA)
世界的に著名な自然療法士でオステオパシストのフランク・ラポルト=アダムスキー氏。1992年に発表された「アダムスキー式腸活法」は30年近く欧州で愛され続け、その「腸活メソッド」を紹介する著作は、本国イタリアのみならず、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、トルコなど世界中で話題になっている。2017年には、Google.itの食事法(ダイエット)部門で「最も検索されたキーワード」ベスト3に選出されたほどだ。
そのアダムスキー氏の著書が、このたび初めて邦訳され、『腸がすべて』として遂に刊行された。アダムスキー博士によると、多くの体の不調の原因は「汚れた腸」にあり、さらに私たちは「間違った食事法」で「腸を汚して」しまっているという。
日本人がやりがちな食事法の「意外な落とし穴とよくある誤解」を、本書を抜粋・再編集しながら紹介する。
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ちまたの「あの食事法」には思わぬ「落とし穴」がある!
私は長期にわたるさまざまな研究を通じて「アダムスキー式腸活法」の基礎を構築するに至りましたが、その基本の考え方となるのは「体の機能不全のほとんどは『腸の汚れ』が原因である」ということです。
『腸がすべて:世界中で話題!アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』
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腸が「正しく」流れているときは、健康な生活を送ることができますが、腸が汚れて詰まってしまい、流れが「滞る」と体のバランスが崩れてしまい、さまざまな体の不調へとつながってしまいます。
腸の流れが滞ってしまうのは、「間違った食生活」で消化管の壁に「有害な汚れ」がたまっていくことが主な原因です。
すると、体に必要な栄養成分を取り込めなくなるだけでなく、免疫力までも低下させてしまい、重大な健康被害を引き起こす可能性もあるのです。
また、コロナ禍で増えてしまった体重を落とそうと、さまざまな食事法に取り組んでいる人も多いと思います。そのなかには残念なことに「落とし穴」も存在します。
では、どのような食事法が危険なのでしょうか。ここでは、「食事法の落とし穴」、主な5つを紹介します。
まず、ひとつめの食事法の落とし穴は「カロリー制限ダイエット」です。
「カロリー」を減らしすぎると、健康被害の恐れが・・・
【落とし穴1】「カロリー制限」ダイエット
「やせるならカロリーを減らせばいい」という考え方は一般的に浸透しています。普段摂取していた脂肪やカロリーが入ってこなくなれば、体は体内の蓄えに頼り、何日かすると当然やせはじめます。
ただし、いつもどおりの栄養を受け取れないと、体はバランスを崩しはじめます。そして、耐えられなくなると、さまざまな器官に不調が現れはじめます。
ところが、消化管をはじめとした人体には、「どうにかして現状に適応しよう」とする力があります。「受け取るカロリーが少ないのだから」とカロリーをなるべく節約し、「より少ないエネルギーで生きるすべ」を身に付けます。
しかしカロリー制限をやめた途端、やせながら栄養不足に適応していった体は、与えられたものを余さず吸収するようになっていきます。そこに、脂肪やカロリーが与えられるわけですから、何も拒まずにすべてを取り込もうとします。これがいわゆる「リバウンド」です。
「カロリー制限」のようなダイエットでは、減った分以上に体重が増えることが避けられないケースも多いのです。
【落とし穴2】「炭水化物抜き」ダイエット
「炭水化物は太る原因」と考えている人は少なくないでしょう。しかし、炭水化物は、タンパク質、ビタミン、無機質と同じように、健康に欠かせない大切な栄養素です。
確かに、炭水化物を食事から除けばすぐにやせますが、それは持続的に行えるものではありません。しかも、突然思いもよらない恐ろしいかたちで、体のバランスを崩すことにもなりかねません。
炭水化物は、はるか昔からわれわれの食生活に欠かせない栄養素であり、それを取り除こうとするのは間違いです。
とりわけ悪者扱いされている炭水化物の中に、果物の糖分(果糖)があります。果物は糖分を含んでいるだけでなく、「抗酸化物質」の宝庫です。抗酸化物質は老化防止や、単なる風邪からがんまで、さまざまな病気の予防効果を期待するうえで欠かせないものです。
必要なのは、「節度ある食べ方」をすること。そして普段の食事の中で、ほかの食品とどのように組み合わせるべきかを知っておくことです。
3つめの食事法の落とし穴は「デトックス」です。
体の不調をリセットする食べ物は存在しない
【落とし穴3】「デトックス」な食べ物をとる
どんな「スーパーフード」も、消化管が詰まって正常に流れていなければ、腸の中で「奇跡」を起こせません。
いくら体にいい物質が含まれていても、唯一の通路(消化管の壁にある「穴」)がふさがれて血中に到達できなければ、どんな効果も発揮されません。
世間では、「浄化」や「断食」「毒素の排出」といった話題でもちきりです。体調不良の原因となる毒素を除去するのは確かに重要なことですが、そんなことのできる食べ物は存在しません。
「体の浄化」は、消化管の詰まりを解消することで促進されます。腸が詰まっていたら、体に必要な栄養素が取り込めないからです。
正しい食事健康法を取り入れて消化管を機能させれば、「奇跡のダイエット法」は必要ありません。腸がベストコンディションで自分の仕事を行えば、それだけで「解毒」になるのです。
【落とし穴4】24時間以上食事をとらない「断食」
食べ物で体の毒素を除去することができないのであれば、食べ物をとらない「断食」はどうでしょうか。「体内浄化」の必要性は欧米ではかなり声高に叫ばれていて、「断食」は「どのダイエットよりも効果がある」という人もいるほどです。
しかし、考えてみてください。いきなり「断食」を始めて、24時間食べ物を口にしなかったとします。そうなると、腸はいまだかつて経験したことのない状況に置かれることになります。
空っぽの時間が長くなり(夕飯から朝食までの時間の2倍以上)、消化管はその間に詰まりの原因である「汚れ」を取り除きはじめます。
「それは、すばらしい!」と思いきや、これらの汚れがあまりに大きすぎるため、出口へ向かう途中でリンパ管に衝突してしまう可能性があります。
すると、この汚れが小石となって肝臓や腎臓から排出され、これが激痛を伴う胆石発作や腎疝(じんせん)痛(尿管結石で尿の流れが妨げられ、腎盂内の圧力が上昇して起こる発作)となってしまう恐れもあるのです。
果物などの体にいいものを食べて、消化管の滑りをよくして日常的に腸の汚れをとっていれば、このような痛みは起きません。
ダイエットを始めるときには、まず「消化管の詰まり具合」をチェックすることから始めてください。個人差はありますが、私の意見では、「消化管が良好な状態」というのは、便がほぼ1日1回出ている状態です。
数日前に食べたものが腸の中でとどまり、発酵や腐敗を繰り返して毒素を生じさせる前に体の外へ排出できていれば、「断食」は必要ないでしょう。
最後の食事法の落とし穴は「水飲み健康法」です。
【落とし穴5】1日何リットルもの水を飲む「水飲み健康法」
「水を1日何リットル以上飲むとデトックス効果がある」というような話がありますが、必ずしも、健康のために1日何リットルもの水を、無理して飲む必要はないのです。
体内の水分の浄化を担う「腎臓」がきちんと機能せず、余分な液体を除去できていないとしたら、大量の水を飲んで毒素を処理しようとしても無駄になってしまいます。この余分な液体が、足や手、顔のむくみなどの原因になってしまうこともあるからです。
「水を大量に飲む」よりも体が欲する分だけ飲んでいれば大丈夫です。
「体重を減らす」のではなく、「毒素」を減らす
私の提案する「アダムスキー式腸活法」は、こういった従来の食事法・ダイエット法とは根本的に異なる点が2つあります。
1つめは「栄養の偏りや栄養不足を引き起こさない」こと。それが腸をきれいに保つ重要なポイントです。
そしてもう1つは「『体重を減らすこと』を目的としていない」こと。体重を減らすということは、自分体の組織や筋肉を分解してそこからカロリーを奪うということです。しかも、手軽だと思われがちなカロリー制限をするダイエットでは、毒素は排出されないままです。
体重を減らすよりも重要なのは、「腸の汚れを取り除く」こと、つまり、組織の中にある脂肪や毒素が「消化管」を通って自然な方法で出て行けるようにすることです。
大切なのは、「体重を減らすこと」ではなく、消化菅の働きを正常に機能させ、食べたものを滞留させないことなのです。つまり、「腸を完全に正常な状態に戻す」ということが、「スリムな体型を維持する」ために欠かせない条件です。
さまざまな食事法・ダイエット法が世の中にあふれていますが、まずは「腸を正常な状態に戻す」ことを意識していきましょう。みなさんも「アダムスキー式腸活法」を実践して、ぜひ健康な心と体を手に入れてください。
(医学監修:澤田幸男/医学博士、澤田肝臓・消化器内科クリニック院長)
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提供元:「腸に無知すぎる日本人」食事術、残念な5大誤解|東洋経済オンライン