2020.11.30
毎日お通じがあっても便秘の可能性も!? 【慢性便秘症チェックリスト】
便秘は、女性ならだれもが悩んだことのある不調です。「このくらいなら大丈夫。特に苦しくないし、便秘じゃない!」と思う人、また「毎日出ているけど、すっきり出た感じがしない」人の中にも、排便に“満足感”がなければ、改善すべき便秘の可能性があることがわかってきました。あなたのお通じはバナナ便が出ていますか? 慢性便秘症かどうかをチェックしてみましょう。
こんな症状に当てはまったら、実は便秘の可能性が
あなたのお通じをチェックしてみてください。これらの自覚症状に当てはまると、便秘(慢性便秘症)の可能性があります。
・排便時間が1分以上かかる
・排便時に力む
・便がうさぎの糞のように硬い
・排便時に痛い
・便意を感じない
・おなかが張り、痛いこともある
・トイレに行っても、その後何回も行かなければならないことがある
・排便した後におしりの穴が詰まったような感じがあり不快である
ひとつでも当てはまったら、慢性便秘症の可能性があります。
毎日お通じがあっても、不快症状があれば慢性便秘症!
今まで、医師の間で統一された便秘の定義は、ありませんでした。
しかし、2017年に初めて『慢性便秘症診療ガイドライン』が出て、便秘の定義ができました。便秘とは、「本来、体外に排出すべき糞便を十分量、かつ快適に排出できない状態」とされたのです。
これまでは、「排便時に苦しい」「少ししか出なくてスッキリしない」といった症状があっても、毎日少しでも排便があれば、「便秘ではありません」と医師から言われたことがあるのではないでしょうか。
しかし、ガイドラインでは、毎日排便があっても、“排便困難感や残便感、不快感”など、便秘にともなう症状で“日常生活に支障”があれば、慢性便秘症と診断して、治療の対象となりました。
便秘症は、薬局、ドラッグストアで購入する市販薬を服用している人も多いですが、便秘薬は適切に使用しないと、逆に悪化させてしまうこともあります。また、病院を受診しても、満足感がないまま、同じ治療を継続している人も少なくありませんでした。
しかしながら、ガイドライン発行とともに、ひとりひとりの排便満足度に着目した治療へとゴールが変わってきています。
もしも便秘に当てはまったら、バナナ便を目指しましょう!
病院で処方される便秘治療薬を使っているにもかかわらず、コロコロ便や硬い便の人が約50%もいるといわれています。そういう人は、お薬を変えてもらうことが大切です。
今、便秘治療のゴールはバナナ便か、それに近い便で、排便時間も1分以内で残便感のない状態を目指しています。また、便意を感じないのも問題です。便意の回復も重要なポイントです。
病院の治療でも、「スッキリ気持ちいい!」と感じる満足度が高い排便が治療のゴールになっています。
すっきり気持ちいいバナナ便に変えたい方は、便秘に詳しい消化器内科や内科、便秘外来を受診してみてください。
新しい慢性便秘薬が続々登場しています
腹痛などの腹部症状と、便秘や下痢などの排便異常を慢性的に起こす人の治療薬として、「浸透圧性下剤」と「上皮機能変容薬」がガイドラインで“強く推奨”されています。
「浸透圧性下剤」は、便を柔らかくする作用がある「酸化マグネシウム」と呼ばれる薬です。昔から使われ、市販薬もある比較的安全な薬です。
さらに「上皮機能変容薬」は、新たな治療薬です。便を軟らかくして、腸の輸送能力を促進させる作用がある薬です。
この薬には、「ルビプロストン(アミティーザ)」という医師処方薬が2012年に登場しています。ただし、気持ち悪くなったり、効きすぎて、おなかを下しやすい欠点もありました。
そこで2019年、腹部膨満感、腹痛・腹部不快感がある慢性便秘症の「上皮機能変容薬」として「リンゼス」という薬が新たに加わりました。
便をやわらかくし、腸の輸送能力を促進します。また痛み刺激が抑制され、腹痛を訴える慢性便秘症の人への効果が期待されています。すでに、便秘型過敏性腸症候群(IBS)の治療薬として認可されていましたが、慢性便秘症にも適応が広がりました。
もうひとつ、新しい便秘薬が出ています。胆汁酸で消化管の運動促進と便意を回復させる効果があるという「グーフィス」という薬です。
腸管内の胆汁酸が不足すると、腸の蠕動運動が低下し便秘を発症します。そこで、胆汁酸の再吸収を抑制して、大腸内に流入する胆汁酸の量を増加させ、腸の蠕動運動を活発化させます。便意のある自然な排便を促すお薬です。
注意したいのは、市販薬に多い「刺激性下剤」です。アントラキノン系(センノシドやアロエなど)とジフェニール系(ビサコジル、ピコスルファートなど)があり、漠然と長期連用すると耐性ができ、難治性便秘になってしまうリスクがあります。
これらの「刺激性下剤」は、「上皮機能変容薬」や「浸透圧性下剤」で効果が不十分なときに、頓服として使用することが望ましいと言われています。
便秘改善には、排便姿勢が大事!
また、お薬だけでなく、日常生活の改善も大切です。これまで、あまり注目されてこなかった排便姿勢がじつは、大事なことがわかってきました。
腹圧をかけて便を押し出す際に、便の出やすい方向があります。背筋を伸ばしてまっすぐに座る姿勢では排便しづらく、かといって前傾しすぎも、後傾しすぎも、NGです。
ちょうど、ロダンの彫刻“考える人”の姿勢のようにひじをひざにつける前傾姿勢がベストといわれています。
ほかにも、セルフケアとしては、日常生活で睡眠、食事、運動などの改善も、快適なお通じのためには大切です。
・睡眠時間をたっぷりとる
・規則正しい生活
・規則正しい食事
・食物繊維を摂る
・水分を十分摂る
・運動をする
快便のためには、生活習慣全体を整えることも大事ですね。
増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。
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記事提供:ウェブメディア「MYLOHAS」
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提供元:毎日お通じがあっても便秘の可能性も!? 【慢性便秘症チェックリスト】|MYLOHAS(マイロハス)