2020.10.12
寒露(かんろ)/秋の空を味わいながら「いいかげん」に
菊晴れと秋の味覚を楽しんで
寒露(10月8日〜)になると、朝夕の気温差がぐっと大きくなり、秋の深まりとともに冬の始まりを感じます。
季節の始まりの初候は、雁(かり)が北から渡って来て、冬の到来を告げるとともに、菊が見ごろを迎えます。また秋の味覚としては、しめじやししゃもが旬を迎えます。季節が進む次候では、「菊晴れ」と言われるように、菊の花が満開になり秋晴れの日が続きます。ちょうどそのころに、干物で知られるハタハタや、栗など秋の味覚が旬を迎えます。「寒露」の終わりである末候は、キリギリスの声がとどろき、秋の終わりを告げるとともに、真鶴が北の大地から日本へ渡ってきます。食材が充実して、特に柿やサバがおいしい時期です。
頑張りすぎないのが、ちょうどいい
寒露になると、春から夏にかけて育んできたものが実り、収穫の時期を迎えます。人も同様で、春から準備し培ってきたものが実を結び、人から注目され、高揚感を得られやすい時期です。高揚感と食欲の秋・運動の秋が重なり、体重が増えてしまったり、動きすぎて関節を痛めたりすることも。また、疲れがたまって免疫機能が低下し、かぜをひいたり、膀胱炎をおこしたり、女性はホルモンのバランスがくずれて生理痛の悪化につながることもあります。
人から注目され高揚感を得ることは、次への原動力となりますが、ここで頑張りすぎると、後にからだをこわすことになるため、何事も無理をせずに「いいかげん」を保つといいでしょう。
旬の果物で脳を活性化
実りの秋を代表する果物が、栗や柿です。栗はエネルギー源となる炭水化物が豊富で、脳の活性化につながります。またビタミンCが豊富で、ストレスの軽減効果があるとともに、マンガンや銅が多いため、骨を健康に保ち、貧血予防や健康を維持することにも役立ちます。一方、柿は炎症を抑える作用があるため、かぜや胃腸炎の予防に効果的です。鎮静効果もあるのでリラクゼーションにつながり、収斂(しゅうれん)作用によって皮膚や粘膜を健やかに保つことにも役立ちます。
こころとからだの二十四節気2019年<寒露>の記事はこちら ※外部サイトに遷移します
伊藤和憲(いとうかずのり)
鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。
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文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
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提供元:寒露(かんろ)/秋の空を味わいながら「いいかげん」に|ワコール ボディブック