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2020.09.17

実は重労働「デスクワーク」疲れを楽にするコツ|仕事中にも意識したい「3つの習慣」とは?


動かないで作業をすることが「こり」と「痛み」の原因となります(写真:kuro3/PIXTA)

動かないで作業をすることが「こり」と「痛み」の原因となります(写真:kuro3/PIXTA)

肉体労働のように体を酷使しているわけではないのに、なぜ、ひどい肩こりや腰痛に悩まされるデスクワーカーが多いのでしょうか? 実は、人間にとって動かないで作業をするということは一番の重労働だというのは、『肩・首・腰・頭デスクワーカーの痛み全部とれる医師が教える最強メソッド』の著者であり現役の医師である遠藤健司氏です。
同じ姿勢で15~30分もじっとしていると、血行が悪くなるうえに筋肉もかたまり、これが「こり」と「痛み」の最大の原因となるのだそう。そこで、仕事中でもちょこちょことできる「3つのエクササイズ」を教えてもらいました。

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筋肉は動かないことによってかたまる

「デスクワーク」というと、椅子に座って作業するだけで、肉体労働よりも比較的ラクで恵まれている仕事だ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は人間にとって、動かないで作業をするということは一番の重労働なのです。

当たり前の話ですが、人間の体というのは動くようにできています。当然ながら、人間の体をつくっている筋肉も、「動いていてこそ調子がいい」ように設計されています。

適度に動いている筋肉は、ポンプのように血液を出し入れさせます。すると、血液によって筋肉には栄養や酸素が運ばれる。ついでに、筋肉にたまっていた「疲れ物質(リン酸や乳酸といったもの)」を押し流してくれる。その結果、筋肉は元気でいられるわけです。

ところが、「同じ姿勢でじっとしている」という、およそ動物の体には向いていないことを要求されるのがデスクワークなのです。

同じ姿勢でじっとしていると、筋肉は動きません。つまり、血液を流すポンプが止まっているということです。そればかりか、動かない筋肉は、だんだん固くこわばってきて、血管を圧迫しはじめます。当然、血行は悪くなる。すると、筋肉に必要な酸素や栄養が届かなくなります。

さらに悪いことに、血液が押し流してくれるはずだった「疲れ物質」がどんどんたまっていきます。「疲れ物質」がたまると最初に感じるのが疲労感です。その後「こり」や「痛み」などの不快感に変わります。

以上のプロセスが、肩で起きれば肩こりになりますし、首で起きれば首こり・首痛になります。背筋やお尻といった、骨盤まわりの筋肉で起きると、腰痛になるわけです。これらの「痛み」は、ケガの痛みとは違い「だるさ」をともないます。

さらに悪いことに、人間の体は、痛みを感じると反射的に緊張するようにできていますので、筋肉痛(=こり、痛み)を感じた筋肉は、いっそう緊張します。すると、さらに血管が圧迫されて、血行が悪くなるという「負のスパイラル」を引き起こすのです。

同じ姿勢を続けて筋肉が動かなくなることを、私は「不動化」と呼んでいますが、この「不動化」が「こり」と「痛み」の最大の原因です。

ちなみに、肩こりよりもはるかに劇的で、つらい症状が出る「ぎっくり腰」や「寝違え」が起きるのも、実は同じメカニズムです。

“不動化”を防ぐ「3つの習慣」

「こり」や「痛み」を防止するためには、姿勢がいいに越したことはありません。猫背は肩こりをひどくしますし、坐骨を立てないだらっとした座り方は腰に悪影響があります。

ただ、どんなにいい姿勢でも、同じ姿勢をずっと続けていれば、やはり「不動化」が起きます。筋肉がかたまってきてしまうのです。
ですから、姿勢のいい人であっても、やはり大事なのは定期的に動くことです。

では、どのくらい動かない時間が続くと肩こりや腰痛につながるかというと、目安としては、30分間です。人は、15〜30分「不動化」すると、静脈の血流量が15〜20%減少すると考えられているからです。

30分間、デスクワークを続けたら、もう「不動化」によるさまざまな弊害が生じはじめると考えてください。もちろん個人差がありますから、15分で肩がこりはじめる人もいるでしょう。デスクワークをするなら、最低でも30分に1回は体を動かさないとまずい、と考えましょう。

とはいえ、仕事中に大々的に運動できるような環境ではない、という人も多いと思います。そこで、今回は、作業をしている最中にできる、あるいは作業中に一瞬でできる簡単なエクササイズを紹介しましょう。

もしかすると、「エクササイズ」という言い方は適切でないかもしれません。それくらい簡単な、ちょっとした“動作”だからです。

(1)仙骨座位から坐骨座位に座り直す

最初に紹介するのは、“座り直すこと”です。椅子に座って仕事をする際には、15分に1回、座り直しましょう。

どのように座り直すかというと、「仙骨座位」から「坐骨座位」に座り直すのです。

15分に1回、骨盤を立てた「坐骨座位」に

仙骨座位とは、骨盤を後ろに倒して、ダラッと座った姿勢。骨盤の仙骨という骨(お尻の上のほうにあります)を座面につけた座り方で、一般に「だらしない座り方」あるいは「疲れているときのラクな座り方」とされているものです。

ラクなように見えて、実は背中・腰に負担をかけ、「フラットバック」の原因になるのがこの座り方です。

長時間、椅子に座って作業をしていると、たいていはだんだんと仙骨座位になってきますので、これを、15分に1回、骨盤を立てた「坐骨座位」に直してやります。

坐骨座位は、お尻の下、脚の付け根あたりに出ている坐骨を座面につける座り方です。このときに、筋肉を緊張させて姿勢を整えるのではなく、骨盤の上に背骨をきれいに積み上げるイメージで、できるだけリラックスしたままいい姿勢をつくるようにしてください。

この座り方をすると、自然に背筋が伸びるのがわかるでしょう。そして、腰や肩が少しラクになったと感じるはずです。

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なお、普段から坐骨座位ができている人も、15分ごとにいったん体をダラッとリラックスさせて、そこから改めて坐骨座位で座り直す、という座り直しを行いましょう。もちろん、座り直しをするにせよ、できるだけ頻繁に立って動く時間をつくることは忘れないでください。

(2)あごを引いて姿勢をリセットする

もう1つ、姿勢を正すためにぜひやっていただきたい手軽な習慣が、「あご引き」です。

これも、やり方は簡単です。

(1)まず、あごを引きます

(2)片手を軽く握って、人差し指をあごの先に押し当てます

(3)少し力を入れて、10秒間あごを押します

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ちょうど、ロダンの「考える人」のポーズを、背筋を伸ばして、あごを引いて行うイメージです。

あごを押してやることで、当然ながら前に出ていたあごは引っ込みます。それだけでなく、自然と背筋が伸び、骨盤が立つのもわかるでしょう。つまり、あごを押すことで、簡単に姿勢をリセットできるということです。

また、押されたあごはその力を押し返そうとします。このときに、首の筋肉が鍛えられるという効果もあります。筋肉が強くなれば、それだけ血流もよくなりますから、「こり」や「痛み」の改善に役立つわけです。

「座り直し」とあわせて、仕事中に簡単にできる習慣として、ぜひ取り入れてみてください。

「不動化」した筋肉を動かそう

(3)肩甲骨を寄せて胸を張る

私が推奨する「肩甲骨はがし」ストレッチは座ったままでもできるので、ぜひ仕事の合間にも行ってほしいのですが、動きが大きいぶん、オフィスの環境によってはやりづらい人もいるかもしれません。

仕事中、本格的に「肩甲骨はがし」までやれる環境にない人は、ときどき肩甲骨を動かすようにしましょう。

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やり方は簡単。肩甲骨をギュッと寄せて、胸を張るだけです。

「肩甲骨はがし」ほどではありませんが、これだけでも「不動化」した筋肉はかなり動きます。そして、肩甲骨を寄せると、自然に背筋が伸びます。

「座り直し」「あご引き」と同様、肩甲骨を寄せるのも姿勢をリセットする効果があるということです。

仕事に集中していると、どうしても体を動かすことを忘れてしまいがちだという人は、スマートフォンのタイマーなどをセットしておくといいかもしれません。

長時間デスクワークせざるをえないとき、仕事中に一瞬でできる「こり」「痛み」予防の習慣として、仕事中にこの「3つの習慣」を定期的に行うよう意識してみてください。

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提供元:実は重労働「デスクワーク」疲れを楽にするコツ|東洋経済オンライン

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