2020.08.28
仕事をスムーズに運べる人が「多用する言い方」 |「断り方」を間違えると、関係性が悪化する事も
仕事をスムーズに運べる人は、周囲とコミュニケーションをどのようにとっているのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ(R)」の大野萌子です。
私はこれまで、カウンセラーとして、官公庁や企業などで年間150件以上の講演や研修を行い、2万人以上の社会人にコミュニケーションの指導をしてきました。その中でよく寄せられるのは、無意識のうちに使っている「言葉」によって、人をイラっとさせたり、不快な思いにさせたりして、人間関係にヒビが入ってしまったという声です。
この連載の記事はこちら ※外部サイトに遷移します
「相手を不機嫌にさせてしまった」と認識があるならまだいいのですが、怖いのは、相手をイラッとさせることを言っている自覚がない人。 自分では気づかないまま、「マイナスの口癖」が習慣化していて、周囲との人間関係を築くことができず悩んでいる人がとても多いのです。拙著『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』の中から、職場では、どのようなことに気を付けたらいいのかを取り上げます。
『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
仕事では「あいまい表現」は嫌われる
仕事で、お願いごとや頼みごとをするとき、「いかに相手に気持ちよく引き受けてもらえるか?」というのは、誰もが頭を悩ませる問題だと思います。「この人のためだったら、忙しくても引き受けよう」「自分のメリットにもなりそうだからやってみよう」と思ってもらえれば大成功。反対によくあるのは、「こっちの忙しい状況も知らずお願いされても無理」 「ムチャぶりするな」と思われて、反感を買ってしまうケースです。
×よけいなひと言 「ちょっといいですか?」
◎好かれるひと言 「10分ほどお時間ありますか?」
職場で声をかけるときに、「ちょっといいですか?」と言うことはよくあると思います。でもこの「ちょっと」は、人によって受け取り方がまったく異なります。
「3分」「30分」「1時間」をちょっとだと思う人もいれば、「食事でもしながら話したほうがいいかな?」と思う人もいるでしょう。この時間感覚の違いが、人と人がすれ違う大きな原因になることが多いのです。
例えば、事務所に電話をかけたときに、「いま担当者が不在ですので後ほどかけ直すように申し伝えます」と言われたとしましょう。この「後ほど」はあなたにとってどのくらいの感覚でしょうか? 私が企業研修の際にこの質問をすると、見事にバラバラの答えが返ってきます。短い人は「5分」「10分」、または「30分」から「数時間」。さらに「その日中」「翌日まで」という人もいて、5分から翌日までとかなり幅がでます。
つまり、「ちょっと」「後ほど」といったあいまい言葉で、相手がこちらの「つもり」をわかってくれると思ったら大間違いなのですね。
ですから、相手に時間をとってもらいたい場合や、返事をお待たせする場合は、「10分ほどお時間ありますか?」「明日のお昼までにお返事します」というように、“具体的に”期限や期日を伝えてください。
また、もしその約束を守れなくなった場合は、“事前に”変更のお詫びとお願いをして約束を破らないことも大事です。
「断り方」を間違えると、相手との関係性が悪化する
何か頼まれたときに、「忙しさ」を理由に断るのはよくあること。「忙しいので」「立て込んでいるので」「バタバタしているので」もよく耳にする言葉です。しかしこの断り文句は、「あなたのための時間はありません」と言っているのと同じで、失礼にあたります。
×よけいなひと言 「今ちょっと忙しいので」
◎好かれるひと言 「今週は厳しいですが来週でしたら」
失礼にならない方法は、「今週は厳しいですが来週でしたら」と、「いつまでならできるのか」明示すること。断る理由が忙しさではなく、仕事の内容に関する場合は、「その仕事に必要なスキルがまだありません」「業務内容の引き継ぎをしていません」というように、できない理由を、正直に伝えることです。そうすると言われたほうも、別の人に相談するか、できない部分をフォローする手段を検討するなど、対策を考えることができます。
いちばんよくないのは、やりたくない仕事やできない仕事まで、すべて「忙しさ」を理由に断ること。そうすると、「この人は言い訳ばかりしてやる気がないんだな」と思われて信頼を失ってしまいます。
断ること自体は悪くありません。しかし断り方を間違えると、相手との関係性が悪くなってしまうのです。ですから、まずは「できない理由」を伝えて、「代案」がある場合は提案すること。すると断られたほうも、「そういうことか」と理解して不快な思いをせずに済みます。代案は、次につなげる気持ちの架け橋です。
「見下している態度」や「上から目線」は禁物
ちょっとした内緒話や、まだ「一部の人」しか知らない話をするとき、どんな言い方が適切でしょうか?
「ご存じないと思いますが、こんな話があるんですよ」「知らないかもしれませんが、あの件はこういうことなんですよ」と、よけいなひと言をつけて話し始めたことがある人もいるかもしれません。言った本人に悪気がなくても、「まだ知られていない話を教えてあげる」という特別感を伝えたい、というニュアンスで使うこともあるかもしれません。
×「ご存じないと思いますが」 → ◎「ご存じかもしれませんが」
しかしこれは、「これから話すことはあなたは知らないこと。でも私は情報通だから知っている」という態度が見え見えで、相手を上から目線で見下している、失礼な言葉なのです。
『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
ですから、仮に相手が100パーセント知らない話でも、「知らないですよね?」と強調するのではなく、「ご存じかもしれませんが」と相手を立てて言うほうがいいのです。
また、その話を聞いた相手が「そんな話、知りませんでした!」と驚いた場合に、「ご存じなかったんですか?」とバカにするのもタブー。自分が少しでも優位に立てる立場にあると、ちょっとした言葉の端々に相手を見下す気持ちが表れやすいもの。そのため、自分が優位なときほど、謙虚な姿勢で会話をするように心がけることが大切です。
「上から目線」のよけいなひと言は、禁物です。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:仕事をスムーズに運べる人が「多用する言い方」 |東洋経済オンライン