2020.05.08
激増「在宅勤務疲れ」を予防する5つのコツ│在宅勤務8年の筆者はこうして心身を整える
「働き方のメリハリがなくなった」「集中力がキープできない」…。長引く在宅勤務をきっかけに、心身に不調を来たす人も増えている。どうしたらいいのか?(写真:A_Team / PIXTA)
4月7日に7つの都府県で緊急事態宣言が出され、その後全国に拡大されたことで、在宅勤務で仕事をする人が増えています。この記事を書いている4月末時点では、5月6日までの緊急事態宣言は延長の方向ということですし、多くの企業では当面在宅勤務を続ける可能性が高そうです。
そんな中で聞こえてくるのは、ずっと家にこもって仕事をするうちに溜まる「在宅勤務疲れ」や「コロナ疲れ」です。欧米に比べて日本の家は狭いので、余計にストレスが溜まりやすいでしょう。そうした心理状態に対して心理学者やカウンセラーがさまざまなアドバイスを発信しています。専門家の言うことなので、有効なものだと思いますが、私は少し別な視点から「在宅勤務疲れ」への対策と今後についてお話をしたいと思います。
きちんと身支度をして、家の中に「出勤」する
私は2012年にサラリーマンを定年退職して独立後、8年間にわたって講演や執筆活動を続けています。講演は多いときは年間140回以上ありますが、それを除けば、あとは家で土日も関係なく執筆する毎日ですので、時間的にいえば1年の4分の3ぐらいは「在宅勤務」をやっています。そんな私の経験から、在宅勤務でこれをやれば良いと思われる、そして私自身が実践している5つのポイントを紹介します。
1つ目は毎朝ヒゲを剃ることです。私は、外出するしないにかかわらず、平日は必ず起きたらヒゲを剃るようにしています(私はヒゲをたくわえているので、剃るというよりも整えるというほうが適切ではありますが)。女性の場合だと、お化粧をするということになるのかもしれません。
2つ目は、楽な格好ではなく、ワイシャツとズボンを着ることです。家に居ると、つい起きたままの状態で、パジャマやジャージを着て過ごすことが多くなると思います。でも、これも起きたら着替えるようにするのです。さすがにスーツやネクタイまで身に着ける必要はありませんが、少なくとも襟付きのシャツとズボンは着たほうが良いいでしょう。
この2つは、いわば「会社に出勤する前のルーティン」です。面白いもので、これらをすることで仕事モードに入ることができます。「在宅勤務」は、ややもすれば時間の経過に流されてしまいがちです。それをこんな簡単なことで防ぐことが可能になるのです。
3つ目は、自分で時間割を作って、それを守ることです。私の場合は執筆が主な仕事ですが、それ以外に「データ収集とその読み込み」「資料作成」「考える」といった内容の作業を、時間を決めて行います。合間に「家事」や「昼寝」も入れます。会社であれば、これに会議や報告などが入ってくるでしょう。こういうさまざまな行動は、会社にいると上司から指示されて行うものです。それを家にいる間は、自分で決めて、自分に指示するのです。
4つ目は、夜は早く寝て、朝は日の出と共に起きることです。「在宅勤務」は生活パターンを変えるチャンスです。仕事の後、飲みに行くこともありませんから、家で食事をして早く寝る。そして朝は早く起きる、という朝型の生活スタイルに変えることが可能です。私も夜10時には寝るようにしていますが、朝は早く起きても通勤の必要がないので、仕事の効率が非常によくなります。
5つ目は、2時間おきに家の中でできる運動をすることです。私は、これを以前からやっています。デスクワークがずっと続くと、2時間おきにスクワットや腕立て伏せをするのです。最近ではラジオ体操も付け加えました。これは運動不足解消と気分転換の両方に効用があります。
「業務のマネジメント」を自分で行うことが大事
これらの5つの習慣は、私が長い間自宅で仕事をしてきたことによって次第に身に付いてきたものばかりなのですが、実をいうと私もサラリーマンを定年退職し、家で過ごし始めた頃、「在宅勤務疲れ」のような心理状態になったことがありました。長年サラリーマンをやっていると、自分では気づかないうちに「仕事は会社でやるもの」「家では休養するもの」という「仕分け」が心の中でできあがっているようです。
それまでの「家にいるモード」のまま仕事をする、それも今回のように一カ月近くも続くとストレスが溜まるのは、自然なことだと思います。さらに在宅勤務では多くの場合、前述のように行動計画や時間割を自分で決めなければなりません。ところがサラリーマンを長くやっていると、そういうことは上からの指示でやるものという習性が身に付いていますので、自分で合理的に計画を立てることがなかなかできないのです。
しかしながら今回のような“在宅勤務をやらざるをえない”という状況は、まさに働き方を変える大きなチャンスだと思います。それも、単にZoomで遠隔会議ができるとか、無駄な出張が減るという表面的なことが「働き方を変えること」ではありません。何よりも大切なのは、「業務のマネジメント」を自分の頭で考え、判断することが否応なしに求められるようになる、ということです。
そう、まさに5つのポイントの中では3つ目の自分で時間割を作って、それを守ることがいちばん重要なのです。いうまでもなく、組織の構成員一人ひとりが判断能力を持つことで生産性は向上します。それこそが「働き方改革」なのです。
紹介した5つのポイントを要約すれば、(1)普段の生活と変わらないスタイルで、(2)自分で業務の段取りを組み立て、(3)健康についての自己管理を行う、となります。いずれも当たり前のことですが、毎日、会社に行ってルーティンの仕事をしているだけではなかなか変えられないものばかりです。具体的な5つのポイントを実行することで、在宅勤務疲れを予防したり解消したりするだけでなく、仕事に対する行動変容のきっかけにもなるのではないでしょうか。
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提供元:激増「在宅勤務疲れ」を予防する5つのコツ│東洋経済オンライン