2020.03.27
新型コロナ予防に有効な「正しい手洗い方法」│イメージは外科医の両手を上げたあのポーズ
手を洗う前に爪は短く切り、装飾品は外しましょう(写真:PeopleImages/iStock)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、手洗いうがいの重要性、そしてマスクの需要が急激に高まっています。当たり前にできている!と思っている方こそ、意外な落とし穴があるかもしれませんので、ぜひ再度チェックするつもりで読んでいただけたらと思います。
まず手洗いですが、手を洗う前には簡単な準備が必要です。まず短く爪を切ること。長い爪は指先が洗いづらく、皮膚を傷つけることにもつながります。
次に指輪や時計、ブレスレットなどの装飾品を外します。これらを着けていると、はめた場所が洗えず不潔なだけでなく、アクセサリー自体に水が掛かることや、装飾に指が引っかかるのを無意識に避けてしまい、その周りの部分も洗えなくなってしまいます。外出先での紛失が怖い場合は、せめてずらして洗いましょう。
長袖の服は、しっかりと肘まで袖をまくることも大切です。
水温は何度でも構いませんが、温度調整ができる場合はぬるま湯で洗うこともよいでしょう。温度に予防効果はないものの、冷たく筋肉が強張った状態で洗うよりもよく手を動かして洗うことができます。
いまさら聞けない「手洗いのキホン」
それではいよいよ手の洗い方です。医療現場では患者さんと接する際の手洗いが重要視されており、特に手術前の医師は肘まで、前腕の中央くらいまで、手首までと3回も手を洗います。さすがにこれを私たちが日常的にやるのは難しいですが、医師が手洗いのときに特に気をつけているのは「肘より手を下げない」ということです。
イメージは外科医が手術用手袋をキュッ!とはめて両手を上げたあのポーズ。指先を一番キレイにするわけですから、汚れを水とともに腕のほうへ流してしまうというわけです。肘の石鹸を洗い流すときでさえも、手先を下げないように体をかがめて前腕から水を伝わせて洗い流すほど徹底しています。
ご家庭の洗面台は低いので、なかなか難しいかもしれませんが、少しかがんで、腕を立てるのではなく、横に寝かせる感じで指先のほうを少し上げていただくだけでも効果はあると思います。
洗う順番は手のひら・手の甲→指先や爪の間→指の間→親指→手首が一般的です。文字ではなかなかお伝えするのが難しいですが、厚生労働省などの各機関が手洗いの手順をイラストでわかりやすく示していますので、ぜひ参考にしてみてください。
とはいえ、見えない汚れの洗い残しが気になると思います。目視する1つの方法としては、ブラックライトで発光する専用のローションを手に塗り、手洗い後ライトに手をかざすことで洗い残しをはっきりと見ることができます。
私自身、感染症学の授業でこの方法を使ってチェックしたところ、丹念に手洗いをしたつもりでしたがやはり洗い残しがありました。
「指の間の付け根」「手のひらや指の側面」「爪の周囲」がその主な場所です。ただ、ブラックライトなどをご家庭で用意するのはなかなか難しいので、上記のような洗い残しをしやすい部分を意識しながら手洗いをすることで、よりよい手洗いにつなげていただけたらと思います。
なお、手洗いのタイミングは帰宅時や調理前後、トイレの後などこれまで通りで構いません。こまめな手洗いの習慣は大切ですが、過敏になりすぎると逆に手荒れの原因にもなります。回数よりも、1回1回きちんと手順を踏んで洗うようにしましょう。手洗い後は自然乾燥させず、清潔なタオルやペーパーで水気を切ることも忘れずに。
うがいはうがい薬のCMのように「アー」と声を出すように何度かすすぐ方法が一般的ですが、「オー」と声を出す方法も喉の奥まで水が行き渡るのでおすすめです。「アー」「オー」と何度か繰り返すことで十分なうがいができるでしょう。水を口に含んでクチュクチュとすすぐことも口腔内を清潔に保つうえで効果的です。
また、「鼻うがい」をすれば口だけでなく鼻の粘膜に付着した細菌やウイルス、そして花粉を洗い流すことが可能です。この時期花粉症がつらい方はぜひ試してみてください。
マスク、正しく着けていますか?
交通機関や街中でマスクをされている方々は、パッと見ただけでも、間違った着け方をしている方がかなりいらっしゃいます。品薄のなか折角苦労してマスクを手に入れても、間違った使い方をしていてはもったいないと感じます。
すぐわかるのは鼻を覆っていない方。これでは花粉や他人の咳やくしゃみなどの飛沫が鼻の粘膜から入ってしまい、マスクの意味がありません。眼鏡を掛けている方は、自分の吐息でレンズが曇るのを避けたい気持ちでずらしたくなるかもしれませんが、マスクを鼻にぴったりフィットさせれば息漏れを防げます。マスクは鼻まで覆い、ワイヤーのあるものは、しっかりと折り曲げて使いましょう。
裏表、上下を逆にしている方もよく見かけます。マスクの正しい方向は耳掛けの紐の位置や、プリーツの上下など、ある程度決まっていますがメーカーによって異なるようです。「マスクのロゴが読めるほうが内側」など意外とわかりやすく書いてあるので、1度パッケージの説明書をよく読むことをおすすめします。
なお、基本的に不織布(使い捨て)マスクの使い回しはいけません。目には見えなくても細かい線維がズタズタになり、飛沫などをブロックする力はかなり失われているからです。とはいえ、マスクがどうしても手に入らない場合は、非常の措置として、洗うよりも肌に触れる面に、小さく切った清潔なガーゼやキッチンペーパ―など挟みそれをこまめに取り換えるほうがよいかもしれません。
いかがでしたでしょうか。連日新型コロナウイルスについてのさまざまな報道が各種メディアで飛び交っていますが、このようなときだからこそ、必要以上に敏感にならず、普段の感染予防の習慣を改めるよい機会と捉えていきましょう。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:新型コロナ予防に有効な「正しい手洗い方法」│東洋経済オンライン