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2019.12.13

医師が警告!「糖質制限したい人」、ここに注意| 「朝食抜き」「隠れ糖質」…その方法で大丈夫?


間違った知識や考えで「糖質制限」をしてはいませんか?(写真:MediaFOTO/PIXTA)

間違った知識や考えで「糖質制限」をしてはいませんか?(写真:MediaFOTO/PIXTA)

内科、循環器科の専門医として、数多くの患者と日々接している医学博士の池谷敏郎氏。血管、心臓などの循環器系のエキスパートとして『モーニングショー』(テレビ朝日)、『深層NEWS』(BS日テレ)などテレビにも多数出演しているが、過去15キロ以上の減量に成功し、57歳でも体脂肪率10.6%を誇ることはあまり知られていない。
その減量メソッドを全公開した著書『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える内臓脂肪を落とす最強メソッド』が13万部のベストセラーになっており、日テレ系列『世界一受けたい授業』(12月7日放映)にも出演した池谷氏が、「糖質制限の注意点」について解説する。

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「間違った糖質制限」は体調を崩しかねない

「ダイエット中だからご飯もパスタも食べないようにしている」「朝食は抜きにして、ランチもサラダだけ」と、ダイエットを頑張っている人たちからは、このような話をよく聞きます。

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糖質をたくさんとるとエネルギー過剰となり、大量に分泌されるインスリンの働きによって、どんどん「内臓脂肪」が蓄積されていきます。

内臓脂肪は「糖尿病」や「動脈硬化」「がん」など、さまざまな疾患の原因となるだけでなく、見た目も老けさせます。内臓脂肪を増やさないためにも「糖質をとりすぎないようにする」ということは、体にとって大切なことです。

しかし、多くの患者さんと接してきて「糖質制限」について間違った知識や考えをもたれている方がとても多いことを感じました。

「ひたすら炭水化物をとらないようにする」「極力食べないようにする」というようなことを続けていると、確かに体重は減るかもしれませんが、「無理な糖質制限」によるダイエットは、体に大きな負担をかけてしまいます。私自身もかつて、無理な糖質制限を行ってしまい、体調を崩したことがありました。

では、「正しい糖質制限」をするには、どんなことに注意をすればいいのか。さまざまな注意点がありますが、ここでは主な6つの注意点を解説します。

まず、初めに注意していただきたいのが「極端な糖質制限はNG」ということです。

「糖質」は少なすぎてもいけない

【注意点1】「極端な糖質制限」はNG

「糖質制限がいいというのなら完全な糖質制限にすればいいのでは」と思われるかもしれませんが、「極端な糖質制限」は、私はおすすめしません。

ブドウ糖は不要な栄養素ではなく、私たちの体を動かしたり脳を働かせたりするために必要な、大切なエネルギー源の1つだからです。

そのため、糖質中心だった食事から炭水化物を極端に減らすとエネルギー不足に陥りやすくなります。また、動物性脂肪が過剰になり、心疾患のリスク増加につながる可能性が高まる危険性も出てきます。糖質は「多すぎず、少なすぎず」上手にとることが重要なのです。

そこでおすすめなのが、「なんちゃって炭水化物」です。ごはんの量を1/2~1/3に減らすのですが、その分、きのこや大豆などを炭水化物とみなして「カサ増し」をするのです。

これならチャーハンや焼きそばでも大丈夫。糖質が減った分、たんぱく質や食物繊維がとれるので栄養バランスもよくなります。「極端な糖質制限」は避け、上手に糖質をコントロールしましょう。

【注意点2】「朝食抜き」はかえって太る

「食べる量を減らすために、朝食は抜いてしまおう」と、つい考えてしまいがちですが、実は朝食を抜くと体重はかえって増加しやすくなってしまいます。これは、最近になって名古屋大学の研究チームにより解明されました。

理由は、体内のエネルギー代謝をつかさどる「時計遺伝子」と、「脂質代謝を担う遺伝子」に狂いが生じたことでした。また、活動期になっても上がるはずの体温も上がってこないという症状もありました。

つまり、朝食を抜くことで「体内時計」に異常が生じ、エネルギーをあまり消費しない体になってしまうのです。

また朝食をとらないと空腹の時間がより長くなってしまうので、その反動が昼食や夕食のドカ食いへとつながってしまう危険性も大きくなります。

ダイエットのために、朝食は必ずとりましょう。しかし、だからといって油断をして糖質をとりすぎてしまうと、その後の空腹感を導いてしまいます。

朝食では、なるべく不足しがちな栄養素である食物繊維やビタミン、ミネラルを含んだ食事になるよう心がけましょう。

3つ目の注意点は、「食事の量を減らすと、必要な栄養素も減ってしまう」ことです。

「積極的に摂りたい栄養素」と「食べる時間帯」を知る

【注意点3】食事を減らしすぎると「ほかの栄養素も制限」してしまう

食事の量を極力減らそうとすると、糖質は減らすことができますが、それと同時にほかの必要な栄養素も減ることになるので、「単純に食事の量を減らす」のは要注意です。

とくに、たんぱく質不足には気をつけましょう。たんぱく質が足りなくなると筋肉が落ちていきます。筋肉が落ちると代謝が下がり、結果として、身体機能が低下してしまいます。

エネルギーを燃やす筋肉がないと、リバウンドは簡単に起きてしまいます。そのため、食事の量をむやみに減らさず、減らしたときは筋肉の材料となるたんぱく質は積極的にしっかりとることが大切です。

ただし、慢性腎臓病(CKD)などで、たんぱく質の摂取を制限されている人は、動物性たんぱく質を食べすぎないように気をつけましょう。

豆などの植物性たんぱく質であれば腎臓への悪影響が少ないことがわかっているので、主治医とよく相談しながら、たんぱく質不足にならないように気をつけてください。

【注意点4】「太りやすい時間帯」と「太りにくい時間帯」がある

ダイエット中でも、スイーツが無性に食べたくなるときがありますよね。しかし、無理に我慢をしてストレスをためてしまうと、最終的にドカ食いになってしまい、努力が水の泡にもなりかねません。

そういうときは無理に我慢をしないで「食べる時間」を工夫してみましょう。どうしても食べたいものは「午後2~6時の間」に食べるようにするのです。なぜなら、この時間帯は食べても「太りにくい時間帯」だからです。

私たちの体には「BMAL1(ビーマルワン)」という遺伝子があります。この遺伝子は、体内時計に関係する遺伝子であると同時に、脂肪の分解を抑制して、体内にため込む働きをしています。

最近の研究成果で、このBMAL1は1日の中で影響力が変動することがわかりました。影響力が強まるのは夜間の時間帯で、日中は弱まります。午後2時ごろがいちばん弱く、6時ごろからまた強くなっていきます。つまり、影響力が弱まる午後2~6時の間に食事をすると、太りにくいということになります。

まだ、動物実験レベルの研究結果ではありますが、食べる時間の工夫の1つとして取り入れてみる価値はありそうです。

5つ目の注意点は「主食やお菓子以外の『隠れ糖質』がある」ことです。

【注意点5】主食やお菓子以外の「隠れ糖質」に注意

「糖質制限をしているのに全然効果がない」と悩んでいる人がいますが、じつは、自分で気づかないところで、糖質をとっていることが多いものです。

「糖質」というと、つい主食のご飯や麺類やパン、お菓子などに目がいきがちですが、それ以外にも糖質を含む食べ物は結構あります。野菜や果物、飲み物などでも糖質を多く含む食べ物があるので注意しましょう。

【糖質を多く含む食品の例(主食やお菓子以外)】
野菜……イモ類(じゃがいも、さつまいもなど)、れんこん、かぼちゃ、そら豆など
果物……バナナ、ぶどう、もも、なし、マンゴー、柿など
その他……くずきり、シリアル、練り物(ちくわ、かまぼこなど)、栄養調整食品(大豆バー、ゼリーなど)
飲み物……スポーツドリンク、市販の野菜ジュースなど

【注意点6】体重が減らなくなっても「1カ月」は継続する

「内臓脂肪」は食べすぎや運動不足により急速に蓄積します。しかしその一方で、食事改善や運動のエネルギー消費により、急速に減少するのが特徴です。ダイエットを始めてからたった15日でも、変化を感じることができると思います。

これに対して「皮下脂肪」は15日程度では、そうそう減りません。また、落ちる過程としては、内臓脂肪が落ち切ってから皮下脂肪が落ちるのではなく、途中から同時進行になっていきます。そのため、順調に減っていった体重も、ある時期から変化が出なくなる可能性もあります。

しかし、ここで体重が減らないといって諦めては、またすぐにリバウンドしてしまいます。まずは1カ月のダイエット計画を立ててみましょう。日々の体重の変化で一喜一憂するかもしれませんが、1カ月をメドに続けてみることが大切だと思います。

「間違った糖質制限」は命に関わるリスクがある

糖質のとりすぎは「内臓脂肪」を増やし、さまざまな疾患の原因となるので、ある程度の制限をする必要があります。しかし、間違った認識で「糖質制限」をすると、体に負担がかかるだけでなく、かえって命に関わる重大なリスクにつながる可能性もあります。

そのためには、「糖質制限」を正しく理解したうえで実践することが大切です。

そうやって「内臓脂肪」を落とせば、健康体になれるだけでなく、「見た目」も「心」も若々しく生き生きとした毎日を過ごすことができる、私は57歳の医師として自分自身の経験からも、そう確信しています。

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提供元:医師が警告!「糖質制限したい人」、ここに注意|東洋経済オンライン

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