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2020.01.17

【特集/変化するホルモンとともに】 思春期・更年期に頼れる、婦人科の「ホームドクター」をもとう


----海外では当たり前にもっている婦人科のホームドクターも、日本にはなかなか根付いていません。ホームドクターをもつことの意義とは何でしょう。また、どのような安心感が得られ、不安が軽減されるのか。「よしの女性診療所」の吉野一枝先生にお話を聞きました。

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女性のからだの伴走者、婦人科の「ホームドクター」という存在

自分のからだが今どのような状態で、女性ホルモンの大きな流れのどのあたりにいるのか。それによって女性の心身の健康状態は大きく変わりますが、自分の立っているステージがわからないと、からだの症状が起きてからその都度対処していくことになり、それはまるで「地図なき道」を歩いているかのよう。大きな不安がつきまとうはずです。

実際に更年期の症状が出てもどこへ行ったらいいかわからず、関節が痛いから整形外科に行ってみようかしら、全然よくならないから内科かしら...と、あちこちの病院をさまよう方もいらっしゃいます。

そんな不安を少しでも軽減し、女性にとっての心強い伴走者となってくれるのが「婦人科のホームドクター」の存在。検診の習慣化や婦人病の早期発見、また個人の診断と女性ホルモンの働きを総合的に見て、次に起こることを予測し、適切な処置をしてもらえるなど、大きな安心感があるはずです。

日本ではまだあまり浸透していませんが、イギリスやドイツでは、初潮がきたら婦人科につなぎ、その子のホームドクターとして、長いつきあいが始まるのが当たり前とされています。性交渉や避妊の知識についても、日本では親や教師がきちんと教えているとは到底言い難い状況で、妊娠する仕組みは習っていても、それが性交渉とは結びついていなかったりと、日本全国で15歳以下の出産は毎年約500人も報告されているのが実情です。海外では、年ごろになって、「先生、彼氏ができました」とホームドクターに相談があれば、妊娠や出産の話をきちんと教えてもらえて「ピルを飲み始めましょう」と処方してもらえるなど、適切なアドバイスがもらえます。

女性にだけある「婦人科」を上手に使ってライフプランを立てよう

女性のからだについてきちんと教えてもらえず、知識が足りないばかりに間違った選択をしてしまう例は、性交渉に限った話ではありません。10代の思春期の無理なダイエットに関しても、その後の人生にどれだけの影響を及ぼすかがわかれば、そんな危険なことはしないはずです。ですが、メディアの「痩せている子がかわいい」などのあおりを受けて、「太ることが怖い」と考えている10代も多くいます。

病院には、無理なダイエットがたたって、生理が止まってしまってからやってくる子もいます。ホルモンの値を測るために採血すると、そういった子の腕はだいたいぶよぶよしています。ダイエットのしすぎで筋肉がなく、骨の上に脂肪が乗った状態。これではどれだけ細くても、美しいとはいえませんし、からだをつくっていく大事な時期にそんなことをしては、その先の自分が苦労することになるのです。

親が栄養の偏りのない食事を与えることや、無理なダイエットの危険性を説くことは大事ですが、そんなときにも定期的にホームドクターにかかっていれば、生理が止まってから慌てて来るなどの事態は防ぐことができるはずです。

人は、骨や関節など「20歳までにつくった自分のからだ」を一生、使っていかなければならないのです。10代は、その土台づくりにあたる大事な時期だということを親や学校の先生だけでなく、婦人科のホームドクターという専門的な立場からもアドバイスがもらえれば、それは親にとっても心強いでしょう。

ところが、親のなかには「婦人科で内診されるなんて、子どもがかわいそう」と言う方もいます。これは大きな勘違いで、よほどの必要がない限り中学生に内診などしません。間違った想像だけで、悪いイメージをもたれてしまうのも、日本の女性に婦人科のホームドクターが根付きにくい理由だと思います。病院には「男性科」はありませんよね。せっかく女性には「婦人科」があるのだから、ドクターのアドバイスをもらいながらライフプランを立て、女性特有の心身の悩みや心配が減るよう上手につきあってもらいたいです。

----思春期や更年期、女性ホルモンのバランスが大きく変わる時期にホームドクターがいれば、悩みや症状もきっと軽くなるはず。娘をもつ親やまた自身にとっても信頼できるホームドクターをもつことは、女性が健康に生きるために必要なことだといえそうです。

吉野一枝

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「よしの女性診療所」院長、産婦人科医・臨床心理士
高校卒業後、CM制作の会社勤務を経て、29歳の時、医学部受験を志す。32歳で帝京大学医学部へ合格。卒業後は東京大学医学部産科婦人科学教室に入局。 母子愛育会愛育病院、長野赤十字病院等に勤務後、2003年によしの女性診療所を東京都中野区に開院。『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本 』(永岡書店)『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)など著書多数。

先生/吉野一枝(「よしの女性診療所」院長)
取材・文/大庭典子
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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提供元:【特集/変化するホルモンとともに】 思春期・更年期に頼れる、婦人科の「ホームドクター」をもとう|ワコール ボディブック

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