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2018.10.15

実録!「禁酒」すると睡眠はどう変わるのか|お酒ではなく睡眠でストレス解消に挑んだ


「徹底的に寝てストレスを解消」を試みる(写真:PeopleImages/iStock)

「徹底的に寝てストレスを解消」を試みる(写真:PeopleImages/iStock)

皆さん、お酒は好きですか? これだけのストレス社会なので、もしかしたらストレス解消法がお酒という方も多いかもしれませんね。筆者も大好きで、ストレス解消のために過去に2年間お酒を徹底的に飲んだことがあります。

あくまで個人的な感想かつ体験ですが、ストレスをお酒で解消しようとすると、連日ストレス解消のために飲みに行く→飲みに行く回数を重ねると、体がお酒に慣れて酒量が増える→酒癖の悪い人にからまれる回数が増え、余計ストレスがたまる→飲んでもストレスが解消されなくなる→それでもまたお酒を飲む、というサイクルに陥っていました。

お酒を飲むと眠りが浅くなる

この期間、平日の平均睡眠時間は4~5時間になっていました。1日7時間は必要な私にとっては、完全な睡眠不足です。睡眠不足の弊害については前回(「睡眠負債」が招きかねない4つの致命的ミス)で書いていますが、このときは私も前頭葉の働きが低下しまくり、つねにイライラしていましたし、判断力が鈍くなって仕事もプライベートも散々でした。

「睡眠負債」が招きかねない4つの致命的ミス ※外部サイトに遷移します

さて、深酒になると十分な睡眠時間を確保することが難しくなり、寝不足になりがちです。また深酒でなくても、眠り自体が浅くなります。

その証拠にお酒を飲むとすぐに眠れるけれど、夜中に目が覚めることはありませんか? 国際アルコール学会の報告によると、お酒を飲むと短時間で眠りに落ちることが認められていますが、アルコールを分解するなどのために眠りが浅くなってしまうことがわかっています。

また通常、夜になるとおしっこを作るのを抑えるホルモン「抗利尿ホルモン」が出るのですが、お酒を飲むとアルコールが抗利尿ホルモンの働きを邪魔するので、寝ている間もおしっこがどんどん作られてしまいます。

ただでさえアルコールを分解するために眠りが浅くなっているうえに、膀胱におしっこがたまっていくので、おしっこがある程度たまってきた頃、たとえば夜中の2時とか3時とかにトイレに行きたくて目が覚めるのです。

イビキをかきやすくなる、とも言われています。アルコールが舌の筋肉を麻痺させるので、舌が気道を塞いでしまい空気の通り道が狭くなり、空気が通るときに空気抵抗が大きくなって粘膜が振動するからです。気道が狭くなっているので、イビキをかいているときは、酸素を十分に取り込めなくなり、眠りが浅くなります。

イビキをかいている人を起こそうとして声をかけると、意外にすんなり起きてビックリしたこと、ありますよね。そう、イビキをかいているときは眠りが浅いから、すぐに起きてくれるのです。こういうときは、中途覚醒も増え、疲れが十分に取れず、日中眠くなることも多いはずです。

睡眠は嫌な記憶を消してくれる

ということで、お酒は一般的に眠りを浅くし、翌日に疲れを残します。深酒をすると睡眠時間が短くなるので、さらに「眠く」「ダルく」感じる人も多いでしょう。

深酒で逆にストレスが増えることが2年間の実体験でわかりましたので、今度は睡眠の教科書どおりに、「徹底的に寝てストレスを解消」を試みることにしました。実は睡眠にこそ、ストレス解消効果があるのです(灯台もと暗し、ですよね)。

睡眠中には記憶の整理整頓が行われ、その中の一環として「嫌な記憶を消す」作業が行われるのです。具体的には脳の活動が低下するノンレム睡眠中に、消したい記憶やストレスを消してくれます。だから上司や取引先から理不尽なことを言われたり、仕事で失敗したりなど、かなりの精神的ダメージもしっかり寝れば翌朝には弱まっているのです。

たとえば子どもの頃、親に怒られてわーっと泣いた日を思い出してみてください。疲れてそのままベッドで随分長く寝て起きたら、怒られたことも忘れてケロっとスッキリしていた記憶はありませんか? これは、私たちの今までの人生で最も賢い、「ストレス解消法」でした(泣くことの浄化作用ももちろんあります)。

それが、大人になるとお酒やタバコ、買い物、SNSなどにストレス解消を求めてしまうのですが、筆者の場合は、その場は楽しくても目先の気分がごまかされるだけでした。

一方、中毒性がなく、安全で、お金がかからず、かつ効果的なストレス解消法が「よく寝る」ということ。嫌な記憶をやり過ごすのではなく、薄れさせてくれるのは睡眠だけです。脳にたまったストレスは、「脳を休ませる」ことで解消できるのです。

しかし、いきなりアルコールをやめるのは、至難の業かもしれません。私の場合、歯を磨いたり顔を洗ったりするように、飲酒が完全に日常のルーティンの中に組み込まれていたので、いきなり回数を減らすのは難しく、まずは量を減らすところからスタートしました。量を減らすのにそれほど苦はなく、半年くらいで、半量で満足できるようになりました。

飲みに行く回数の減らし方は

苦戦したのは、飲みに行く回数を減らすステップ。取り組んだポイントは2つです。1つ目は、「なぜ、こんなに飲みに行きたくなってしまうのか?」を分析することでした。誘われると一度は断ろうと思うのですが「行かないと、私が寝ている間に楽しいことが起きちゃうかも」と、行くことに「執着」して断れなくなってしまうのです。

この思考回路はどこから来ているのか? 私の場合は、子ども時代にできてしまったトラウマにありました。

子どもの頃、夜に目が覚めたら私以外の家族がおいしそうにお菓子を食べていたり、テレビを観ていたり。修学旅行のときに、内緒の暴露大会が始まるのも夜でした。

そのときの「自分だけおいていかれたような」悔しい気持ちがトラウマとなり、大人になってからも「寝ている間に楽しいことが起きちゃうかも(おいていかれないようにしなさい)」と支配していたのです。それに気づいて以来、「おいていかれるような」気持ちが減り、飲みに行く回数を減らすことができるようになりました。

2つ目のポイントは、お酒を飲む人と食事に行くとやはり自分も飲みたくなって飲んでしまうので、お酒を飲む人とは食事に行かないと決めたことです。そして家で夕食を食べるときは、「少しでも飲みたい気持ちになったら、寝る」と決め、結果的に8時頃から寝るようになりました。

お酒を控えたのとたっぷり眠ることで体調がすこぶる改善してきて、「飲まない」=「体調がいい」という構図が自分の中ででき、体調がいいのがうれしかったので禁酒を頑張れました。たまに飲んでしまうこともありましたが、飲んでもワインをグラスで2~3杯ほど。ここでストップしてもよかったのですが、もとに戻るのが怖かったのと、もっと体調を良くしたかったので「グラスワイン1杯で満足できる人」を目指しました。

お酒に誘われたときはどうするのか

この頃になると問題は、あり余る夜の時間をどう使うかということ。暇なので久しぶりにきちんと毎日湯舟につかるようになり、さまざまな入浴剤を試して入浴に凝ったり、健康に関する本を読み漁ったり、健康によい食事を作ってみたり……。

そのうちに寝る前にユーチューブを見ながら10分程度のヨガをするようになりました。このおかげでの体調が飛び抜けて良くなったので、寝る前の日課になりました。でも、ワインをグラス1杯でも飲んでしまうと、面倒になってヨガができなくなってしまうんですよね。だから毎晩ヨガをするために、だんだん禁酒を徹底できるようになっていった次第です。

お酒に誘われたら、どうするか。そのときは「お酒、飲めないんです」と正直に言ってしまうのがポイントです。最初から飲めないことを宣言しておくと、「飲み」中心の食事から「食べ」中心の食事に変えてくれるか、もしくは話自体が流れます。

さて、お酒をやめて寝るようになってから、お金がかからなくなったり、体調が良くなったり、生産性が高くなったり、協力者が増えたり……と私自身にはたくさんのポジティブな効果がありました。もともとストレスを解消するためにお酒を飲んでいたのですが、お酒から睡眠にストレス解消法を切り替えたら、ストレス自体もずいぶん軽減されました。

体調が良くなって、「寝たい」「ダルい」「疲れた」と自分の方へ向いていた気持ちが、「大丈夫?」「うまくいってる?」「良かったね」と周りの人にも向けられるようになったからか、協力者が増えて、睡眠不足だった頃と比べて仕事もプライベートもとてもスムーズに良い方向に進むようになりました。

もちろん、私のように極端な禁酒をして1日に2時間も3時間も長く寝ろとは言いません。ただ、今実践しているストレス解消法に少しでも不足感がある方は、だまされたと思って睡眠に真剣に取り組んでみてはいかがでしょう? いつもより20分、30分長く寝るだけでも、「継続は力」になりますよ。

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【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

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提供元:実録!「禁酒」すると睡眠はどう変わるのか|東洋経済オンライン

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