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2018.10.04

部下を自慢するリーダーが「最強」である理由│人は「建前では動かない」という重要な真理


人がついてくる社長とそうではない社長では何か違うのだろうか?(写真:beer5020/iStock)

人がついてくる社長とそうではない社長では何か違うのだろうか?(写真:beer5020/iStock)

16年連続増収の武蔵野を率い、ベストセラー著書を連発する小山昇社長ですが、人の心のつかみ方も一流で、「やれ」と言わなくても、相手が「自然とそうしたくなる」「そうせざるを得なくなる」方法で、人を動かしてしまいます。

その方法は、「何度も言うけど、動いてくれない」と悩むリーダーから、「人に対して強く言えない」というリーダーまで、広く役立つはず。その骨子をまとめてもらいました。

仕組みやルールをつくっただけでは人は動かない

「部下が動いてくれない」「社員が言うことを聞いてくれない」

私のところに相談にくる社長や幹部は、常にこんなストレスを抱えています。

なぜ、私が社長をしている、武蔵野の社員は社長の言うとおり動くのか、その理由を知りたがっている人に対して、私はこう言いたい。

「『やれ』と言っても、言うことを聞かないのは、当たり前」である。

私は、人の基本姿勢を次のように考えています。

•ラクして高い給料をもらいたい

•面倒なことはやりたくない

•ほめられたいし、人に勝てるとうれしい

こうした「人間心理」を無視して、「新しいことをやれ」「もっと仕事をしろ」などと言っても、効果はありません。「仕組み」「ルール」もそうです。私は多くの「仕組みづくり」の本を書きましたが、ただ仕組みをつくるだけではダメです。

何が足りないのか、ここで質問に答えながら考えてみてください。

問題1 新たなIT機器を導入するとき、あなたなら、どんな人を社内講師にするでしょうか?

多くの方はITに強い人、積極的な人、教えるのがうまい人を挙げるでしょう。あなたもそうではないでしょうか? 私の答えは逆です。

年配で、IT機器にいちばん疎そうな人。

確かに選ばれた社員は大変です。自分が苦手な分野の講師をしなければならないのですから。でも、そんな社員が講師として教えたら、周りにいる人はどう思うでしょう? あいつができるなら俺もできる、あいつに負けるなんて、そんなことは自分に許せないと、頑張ります。

私は、60歳のパート社員にIT機器の使い方を最初に教えて先生にしたが、その人から、

「〇〇さん、若いのに物覚え悪いね」と言われたらどうでしょう? ショックで頑張るのではないでしょうか。

これがもともとITに強い人が教えていたら、

•あいつは頭がいいからできるんだ。自分はできなくても仕方ない

•何かあったら、あいつに聞けばいいや

と考えます。

人を動かすには「心理」が大事

さらに人間心理を読み解けば、誰もが「できるやつ」は嫌いです。学校時代に、学年でいちばん成績が良くてスポーツでもできて、顔立ちが整っていて、しかも女性にモテる人と比べられたら嫌だったでしょう?

そんな人を講師にするほうが、間違っています。

それに、「いちばん疎そうな人」や「もともと苦手な人」は、丁寧な教え方ができます。これこそ一石二鳥です。

人を動かすには「心理」が大事です(お金も大事ですが)。人の心理がわかるかで差が出ます。

人の上に立つ人にとって、「鈍感」は「犯罪」です。「鈍感」と1度でも言われたことがある人は、気を付けてください。

問題2 ルールを守らない社員にどうルールを守らせるのか?

私の答えは、「社長もルールを守る」です。

わが社には、「酒気帯び運転をした場合、8日間の自宅謹慎」「飲酒運転者と同じ酒席に同席したときも、2日間の自宅謹慎」というルールがあります。

あるとき、ベテランのアルバイトが退職することになり、その慰労会を開いたことがあります。途中から参加したMくんが、帰りに酒気帯び運転をした。その結果、酒席にいた私まで、「2日間の自宅謹慎」になった。

Mくんがクルマで来ていることを知らなかったとはいえ、ルールはルール。社長といえども、例外はありません。自ら「2日間の自宅謹慎」になりました。

私の謹慎中に、取引先銀行の支店長が本社に来て、対応した滝石洋子部長(現・常務取締役)が、

「小山は、酒席に同席していたため、わが社のルールに従って2日間の自宅謹慎中です。出社しておりません」

と事情を説明しました。すると面白いことに、その銀行から融資を受けられることになったのです。

•「社長が、率先して会社のルールを守り、罰を受けている」

•「社長も、社員も、決められたことを、決められた通りに実行している」

ことが評価された結果です。

ルールは明確で平等であるべき

普通、社長は、自分で決めたルールを自ら破ります。「酒席の同席者も自宅謹慎」と社員には通達しておきながら、いざ自分がその場に居合わせると、なんのかんのと言い訳をします。すると、社員はどう思うか。

「いくら社長とはいえ、守らないのはずるい」

そう思います。それを放置しておくと、今度は古参の社員が「オレは会社のベテランだ。社長が見逃してもらえるのなら、幹部のオレだって」と言い出す。これでは規律が守られません。

ですが、武蔵野は、社長が率先してルールに従う会社です。

「社長だってルールに従わなければ、罰せられる」

そう知れば、ルールに文句を言う人がいなくなり、みんながルールを守ります。ルールは、明確で平等であることが大事です。

問題3 どちらのリーダーに部下はついていきたくなるのか?

1. 飲み会で自分自身の成果を参加者に披露するリーダー

2. 飲み会で部下のことを褒めるリーダー

武蔵野には、グループ懇親会という飲み会があります。この飲み会では、「チェックイン」といって、はじめに、参加者が1人1分で話をするのが決まりです。ただし、「1分過ぎると1000円、懇親会に寄付する」ルールです。

以前、グループ懇親会に参加したダスキンの統括本部長は、課長時代、最初から3000円を握りしめていたことがありました。最初から寄付金を払う前提で、1分以上、彼が話したかった内容とは、何だと思いますか?

それは、「自分の部下を自慢すること」です。

寄付金を払ってまで、部下を自慢する上司を見たら、彼の部下は「頑張ろう」と思います。「1000円払うのは損」と思っている社員は、出世しない。この場は、「私の部下はこんなに頑張っている」と、社長に認めさせる千載一遇のチャンスです。

反対に、「自分の自慢」しかしない上司に、部下は心を開きません。

部下がいちばん嫌がるのは、「社長や役職者が自説を語ること」です。聞きたくないことを延々と語られる飲み会なんて、2時間もいたら苦痛以外の何ものでもない。ある意味、拷問と同じです。

私は、「人間心理を無視して人を動かすことはできない」と考えています。心理といっても、「心理学」ではありません。重要なのは、「実践心理」です。

私がキャバクラでモテるのは(笑)、キャストの心理がわかるからです。モテるコミュニケーションをしていたからです(ちなみに、65歳で夜の街は卒業しています)。

以前、私はある社長から、

「どんなスーツを着ているんですか?」と質問をされたことがあります。「小山さんと同じスーツを着たら、私もキャバクラでモテるんじゃないかと思って(笑)」と。

そこで私は、あきれながら、こう答えました。

「あなたは、スーツを着ているときに女性にモテたいのですか? それとも、スーツを脱いでいるときに、モテたいのですか? どっちですか?」

「あなたは、権力、地位、名誉、名声で人を縛ろうとしている。そうではなくて、すべてを脱ぎ捨てたときの『その人自身の魅力』で惹き付けないといけない。魅力的な人間になれば、追っかけなくても女性は寄ってくるし、お客様も寄ってくるし、社員も動くようになる。モテたいと思っているうちは、モテない」

その後、その社長はこんな話をしてくださっています。

「小山さんの特徴は何かというと、1つは『相手の本音をわかってあげる力』にあると私は思います。小山さんが人に慕われるのは、『自分のことをわかってくれる』からではないでしょうか。

人間は、本音で動く生き物です。建前では動かない。人間心理に長けている小山さんはそのことがよくわかっているから、社員の本音を探ることに、ものすごい労力をかけているのだと思います」

社員に動いてもらうには?

社員に動いてもらうためには、仕組みもルールも大事です。

でも、その根底にあるのは、社長やリーダーが「人の心」をつかんでいるのか、その仕組みが人の心に寄り添った運用をされているかです。

以前、経営サポートパートナー会員のとある社長に、冗談まじりでこんな質問をされました。

「武蔵野の一体感は、まるで、夏の甲子園の常連校みたいですね。というか、自衛隊にもひけをとらないのではありませんか?」

「ひけをとらない」のではありません。武器効率が同じなら、武蔵野は自衛隊にも、警察にも負けない自信があります。

最後に繰り返しますが、「面倒なことはやらない。都合の悪いことはやらない」のがまともな社員です。でもそれは、ほめ方だったり、コミュニケーションの取り方だったり、上司の努力で変わっていくものです。

わが社は、大卒も、中卒に近い高卒も、中卒に毛が生えた元暴走族もいますが、全員が「決められた時間に、決められた場所で、決められた通りに動く」のは、それが理由です。

『人を動かしたいなら、「やれ」と言ってはいけない 思い通りに部下が動く“すごい"伝え方』

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提供元:部下を自慢するリーダーが「最強」である理由|東洋経済オンライン

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