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2018.08.14

新常識!やせるには「カロリーの質」が大切だ|科学的根拠のある「ダイエット食」とは


ダイエットのためには、何を食べるべきか。「科学的根拠」に基づいて解説します(画像:xiangtao / PIXTA)

ダイエットのためには、何を食べるべきか。「科学的根拠」に基づいて解説します(画像:xiangtao / PIXTA)

巷には「ダイエットに効く食事」に関する情報があふれかえっている。これらのほとんどは個人の経験談だったり、論文が1~2つあるだけだったりと、科学的根拠(エビデンス)が弱いものばかりだ。

最新の膨大な研究論文を基に、科学的根拠に裏付けされた「食の常識」を伝える『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』を上梓したUCLA助教授の津川友介氏に、きちんとした科学的根拠のある「ダイエットに効く食事」を解説してもらう。

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』 ※外部サイトに遷移します

カロリーの「量」と同じくらい、その「質」が重要

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『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』は10万部のベストセラーになっている クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

日本では「糖質制限ダイエット」が流行っている。「炭水化物さえ減らせばいい」というのはシンプルで魅力的な方法であるものの、実は糖質制限ダイエットは必ずしもやせる食事ではない。炭水化物の中にも、「太る炭水化物」と「やせる炭水化物」があるからである。

ハーバード公衆衛生大学院の研究者たちは、食事でダイエットしようとしている人たちがカロリーにばかり注目していることに警鐘を鳴らしている。最新の研究(2014年の論文、2018年の論文)によると、ダイエットにとって摂取するカロリーの「量」と同じくらい重要なのは、その「質」であるという。つまり、重要なのは、何キロカロリー摂取するかだけでなく、それをどのような食品でとるかだ、ということである。

関連記事:The Best Diet: Quality Counts ※外部サイトに遷移します

2014年の論文 ※外部サイトに遷移します

2018年の論文 ※外部サイトに遷移します

食事は大きく分けて、たんぱく質、炭水化物(糖質)、脂質の3つに分けられる。たんぱく質と炭水化物は1gあたり4キロカロリーであるのに対して、脂質は1gあたり9キロカロリーもある。同じ重さでも脂質のほうが2倍以上カロリーが高いので、ダイエットのために摂取カロリーを減らそうと思ったら脂質の量を減らすのが一見すると合理的であるように思える。

この考えを基に、昔は食事の中の脂質の量を減らす(低脂質食)ことでダイエットができるのではないかと考えられており、実際にそのようなダイエットが行われていた時代がある。

しかしながら、研究に参加した人たちを低脂肪食と高脂肪食に無作為に割り付けたランダム化比較試験(2008年の論文、2009年の論文)の結果、低脂肪食を食べていた人も、高脂肪食を食べていた人も体重の変化に差がないことが明らかになった。低脂肪食は必ずしも「やせる食事」ではなかったのだ。

2008年の論文 ※外部サイトに遷移します

2009年の論文 ※外部サイトに遷移します

やせる炭水化物はあるのか?

最近になって、食事の中の炭水化物の量を減らすことでやせることができるのではないかと言われるようになってきた。1972年にアメリカ人医師のロバート・アトキンスが著書『Diet Revolution』の中で提唱したため、「アトキンスダイエット」などとも呼ばれる。「糖質制限ダイエット」「低炭水化物ダイエット」「ケトン式ダイエット」という名前で呼ばれることもある。

これらのダイエット法は、程度の差こそあれ、いずれも炭水化物の量を減らすことでやせようというものである。では食事の中の炭水化物の量を減らしたら、本当にやせることができるのだろうか。

実は「炭水化物を減らせばやせる」という考え方は正確ではない。確かに単純に炭水化物の摂取量が多い人と少ない人を比較したら、炭水化物の摂取量が少ない人のほうが体重が減っていることはランダム化比較試験(2008年の論文、2007年の論文)で報告されている。しかし私たちが普段摂取している炭水化物の多くは「白い炭水化物」(精製された炭水化物のこと)であるため、これらの研究で「低炭水化物食」を摂取している人たちの体重が減少しているのは、「白い炭水化物」の摂取量が減少していることの影響を見ているだけであると筆者は考えている。

2008年の論文 ※外部サイトに遷移します

2007年の論文 ※外部サイトに遷移します

しかし、重要なのは炭水化物の量ではなく、どのような炭水化物を摂取するかであるということは、あまり認識されていない。つまり、白米やラーメンのように精製された炭水化物(白い炭水化物)は体重増加につながるものの、玄米や蕎麦のように精製されていない炭水化物(茶色い炭水化物)を食べても体重は増えないことが研究結果から示唆されている。

具体的に食事内容と体重変化の関係を見てみよう。2011年にハーバード大学の研究者らが、アメリカ人約12万人を12〜20年間追跡して、食事内容が体重にどのような影響を与えるかを調査した観察研究がある。それによると、白い炭水化物を食べている人は体重が増加しているのに対して、茶色い炭水化物を食べている人では体重が減っている。

関連記事:食事内容が体重にどのような影響を与えるかを調査した観察研究 ※外部サイトに遷移します

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注: 図の横軸は4年間でどれだけ体重が変化したかを表す。すべて食品の摂取量1単位当たりの変化である。これらの食品はすべて体重との関係が統計的に有意であったものである。一方で、体重との間に有意な関係が認められなかったものとして、チーズ、牛乳、ダイエットソーダなどがある(図中には示していない)。

出典:Mozaffarian et al(2011)を基に筆者作成。 ※外部サイトに遷移します

フライドポテトを食べる人は太っている

研究結果では、じゃがいも、加糖飲料(糖分を含む炭酸飲料など。ここではダイエットコーラなどの無糖のものは含まない)、赤い肉、フルーツジュースなどをとっていた人ほど体重が増えていた。逆に、野菜や果物、ヨーグルトを食べていた人は体重が減っていた。

それでは、バナナやリンゴなどのいわゆる「糖質の多い果物」はどうだろうか。実は、果物の種類と体重変化との関係は別の研究で検証されており、バナナやリンゴの摂取量が多い人ほどむしろ体重が減っていたことがわかっている。種類にかかわらず果物の多くはダイエットによいと考えてもいいだろう。

関連記事:果物の種類と体重変化との関係についての研究 ※外部サイトに遷移します

注意が必要なのは、これは観察研究(食習慣の違う人たちを追跡して体重変化がどうなったか検証する研究のこと)の結果であるので、因果関係があるかどうかは明らかではないということである。つまり、正確には、これらを食べると体重が減る(もしくは増える)とは言えず、体重が減った(増えた)人はこれらの食品の摂取量が多くなっていたということまでしか言えない。

しかし、それにしても白い炭水化物と茶色い炭水化物とでは体重変化との関係が真逆であったというのは興味深い知見であろう。

ランダム化比較試験では何がわかっているのだろうか? たとえば、ナッツに関しては、複数のランダム化比較試験が行われており、ナッツを食べたグループは食べていないグループと比べて、どちらかというと体重が減る傾向にあったものの、2つの集団の間には大きな差は認められなかった。

関連記事:Nut intake and adiposity: meta-analysis of clinical trials. ※外部サイトに遷移します

このように高カロリーであるナッツを食べても太らない(どちらかというとやせる傾向にある)ことは言うことができるが、ナッツを食べることでやせることができるかどうかは、まだ断定的なことは言えない。

その他、ほかの研究でも乳製品の摂取が体重増加につながっていることや、100%ジュースの摂取量が多い人ほど太っていることも明らかになっている。

関連記事:乳製品の摂取が体重増加につながっている ※外部サイトに遷移します

関連記事:100%ジュースの摂取量が多い人ほど太っている ※外部サイトに遷移します

炭水化物を減らした分、何を食べるか

同じ1g当たり4キロカロリーの炭水化物であっても、白米を食べていた人ほど太っており、玄米を食べていた人ほどやせていた。同じカロリーであっても、フルーツジュースを飲んでいた人ほど太っていたが、(加工していない)果物を食べていた人ほどやせていた。これらからも、摂取しているカロリーの「量」よりも、何からそのカロリーを摂取しているか、つまりカロリーの「質」のほうが重要なのだと理解してもらえると思う。

巷で流行っている糖質制限食の最大の問題点は、炭水化物を減らした分、代わりに何を食べるかに関して、しばしば間違った指導が行われているということである。「炭水化物さえ減らせばステーキでも焼肉でも好きな物を食べてもいい」とアドバイスされたならば、明らかにその食事療法は間違っているので、指導者を変えたほうがいいかもしれない。なぜならば、先ほど紹介した研究結果にもあったように、赤い肉を食べている人ほど体重が増えていることがわかっているからである。

さらには仮に肉を食べて体重を減らすことができたとしても、赤い肉をたくさん食べると、動脈硬化が進んで脳卒中になりやすくなったり、大腸がんのリスクを上げることになる。病気になってしまうリスクのある危険な食事なのである。病気のリスクを上げずにやせる方法があるのに、脳梗塞やがんになる可能性が高くなってまでやせたいと考える人は多くはないだろう。

白い炭水化物を減らして、その代わりに野菜や果物をたくさん食べるようにアドバイスされたならば、それは正しい食事療法である。白い炭水化物を、茶色い炭水化物に置き換えるように、というのも正しいダイエットの指導である。この「炭水化物の代わりに何を食べることが推奨されているか」に注目してみるだけで、あなたの受けている食事療法が正しいものなのか、科学的根拠のないあやしいものなのかチェックすることができる。

もう1つ重要なポイントは、やせるためには食事だけ変えるのでは不十分であるということである。数々の研究によって、食事だけでなく、運動量、睡眠、ストレスのレベルも体重に影響を与えていることが示唆されている。これらをすべて最適化することが、きちんとやせるための第一歩である。

関連記事:Increasing adiposity: consequence or cause of overeating? ※外部サイトに遷移します

ここで紹介している「やせる食事」は、実は、「健康的な食事」とかなり近い。つまり、「健康的な食事」は、脳卒中やがんなどを減らすだけでなく、ダイエットにも有効だと考えられる。

2003〜2004年には、アトキンスダイエットによって6カ月は体重減少がみられるものの、12カ月後には体重が元通りになってしまうことが2つのランダム化比較試験(2003年の論文、2004年の論文)で明らかになった。それだけでなく、極端な炭水化物制限の健康に対する長期的な影響はまだわかっておらず、心臓病などのリスクが上がる可能性も疑われている。

2003年の論文 ※外部サイトに遷移します

2004年の論文 ※外部サイトに遷移します

関連記事:心臓病などのリスクが上がる可能性も疑われている ※外部サイトに遷移します

いずれにしても、単純に「炭水化物さえ食べなければ、ほかのものは何を食べてもいい」というダイエット法は、上記のような理由でおすすめできない。

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【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

最先端の医学では「白米は体に悪い」が常識だ

医学的に「健康に良い食べ物」は5つしかない

「パンばかり食べる人」がひそかに陥る不調

提供元:新常識!やせるには「カロリーの質」が大切だ|東洋経済オンライン

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