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2018.08.02

イラッとさせる人は「言葉選び」がなってない|お礼や依頼の言い回し一つで結果は変わる


メール一つでも適切な言葉を選ばないと、相手の心を動かせません(写真:oatawa/iStock)

メール一つでも適切な言葉を選ばないと、相手の心を動かせません(写真:oatawa/iStock)

本当に仕事ができる人は、どんな語彙力・モノの言い方を押さえているのか? 『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』の著者、山口拓朗氏が、「仕事の現場で、本当に使える語彙力」を解説する。

『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』 ※外部サイトに遷移します

「実践としての語彙力」を鍛えよ

「気のきいた言葉がパッと出てきません」

「幼稚な言葉、くだけた言葉ばかり使ってしまいます」

「語彙が少ないせいで、人と話すときに引け目を感じてしまいます」

人は「言葉」でものを考えています。「言葉」とは「語彙」のこと。たしかに、知っている語彙や使える語彙が少ないと、私たちは「ものを考えること」も、「知性や教養を育むこと」も、「いいアイデアを生み出すこと」も、「他人の気持ちを理解すること」も、ままならなくなります。

だからといって、やみくもに語彙やフレーズを増やしましょう、と言いたい訳ではありません。いくら立派な語彙や敬語をたくさん知っていても、「その場の空気」をつかみ損ねれば、「伝わらない」「誤解される」「怒りを買う」などの悲劇を招きかねません。

ずばり、大事なのは「知識としての語彙力」ではなく、仕事の現場で使える「実践としての語彙力」です。TPOに応じて、さり気なくも的確に、気のきいた語彙・フレーズをくり出すことができる。そういう人こそが、人と上手にコミュニケーションをとりながら、仕事で成果を出せる人ではないでしょうか。

たとえば、お礼を伝えるシチュエーション。ありがとうございます、を使ってばかりで「他にいい言い方がないかなぁ」なんて思っていませんか?

最もポピュラーなお礼の言葉は「ありがとうございます」ですが、ほかの定番フレーズとしては、「深く感謝しております」や「心より感謝申し上げます」などがあります。

驚くほどよくしてもらったと感じたときは、さらに、これらの言葉の直前に〈もったいないくらい〉という意味の「過分な」や「身に余る」を加えると、感謝の気持ちがより伝わります。「過分なお心遣いをいただき/身に余るお言葉をいただき、誠にありがとうございます」という具合です。

〈もらった恩や情けを決して忘れない〉という恐れ多い気持ちを表すフレーズに「○○さんには足を向けて寝られません」があります。「大きな施し」を受けたときや、「大きな借り」を作ったときに使用を検討しましょう。

目上の人への手紙やメールであれば「幸甚に存じます」や「幸甚の至りです」と書くと、大人びた雰囲気が醸されます。「幸甚」とは〈この上ない幸せ。非常にありがたいこと〉という意味です。

来てくれたことに感謝したいときに使えるのが、「ご足労いただき、ありがとうございます」というフレーズです。ほかには、「足をお運びいただき、ありがとうございます」も敬意の強いフレーズです。

場合によっては、お礼というよりはむしろ素直に喜びを伝えた方がいい場合もあります。ありがたい助言やほめ言葉をもらったときは「大変励みになります」や「もったいない/身に余るお言葉です」、一緒に過ごせたことへのお礼を伝えたいときは「至福のひとときでした」や「夢のような時間を過ごさせていただきました」など、少し洒落たフレーズも用意しておきましょう。

このように、「お礼を伝える」シチュエーション1つとっても、どの語彙・フレーズを使うかによって、相手が抱くあなたへの印象は大きく変わるのです。

こう言えば、依頼は「速く」「思い通り」に進む!

ほかに、ビジネスシーンで語彙力やモノの言い方が仕事の出来を左右するのは、何かを人に依頼するときです。

「○○いただきたく~」は、メールなどの書き言葉で使い勝手のいいお願いフレーズです。○○には「ご善処/ご鞭撻/ご高説/ご指南」など、書き手が相手に望む言葉を入れます。「善処」は〈適切に処理する〉、「鞭撻」は〈戒めながら強く励ます〉、「高説」は〈優れた意見〉、「指南」は〈教え導く〉という意味です。

また、お願いをするときには「クッション言葉」も欠かせません。クッション言葉とは〈会話の間に挟んで嫌悪感や不快感を和らげる言葉〉のこと。なかでも「お手数をおかけいたしますが~」「ご迷惑でなければ~」「ご多忙のところ恐れ入りますが~」は万能フレーズです。気遣いあふれるクッション言葉で相手の心証をよくしておけば、OKの返事をもらいやすくなります。

イエスの返事をもらうためには、相手を「持ち上げる」方法も有効です。「これをお願いできるのは○○さんしかいません」「頼れる人が○○さんしかいませんでした」という言い方も有効でしょう。

「ご笑覧」や「ご高覧」は、メールや手紙、書面などの文章作成時に使えるかしこまった言い回しです。「ご笑覧ください」は、〈たいしたものではありませんが、ご覧ください〉という意味です。一方の「ご高覧」は、「ご笑覧」よりも敬意が強めの尊敬表現です。「来週の展示会に弊社の商品を展示いたします。ご高覧いただければ幸いです」のように、取引先やお客様に対して商品や作品を案内・宣伝するときにも使えるフレーズです。

これからは「使用語彙」を増やそう

以上、ビジネスシーンに使える語彙・フレーズをいくつか紹介してきました。「聞いたことはあったけど、意味や使い方がわかっていなかった」「すぐに使ってみたい語彙やフレーズがあった」など、さまざまな気づきと学びがあったのではないでしょうか。

言葉には「理解語彙」と「使用語彙」のふたつがあります。「理解語彙」とは、意味を理解できている言葉のことです。パッと文字を見たときにその言葉の意味がわかるようなら、それは「理解語彙」が多い、ということです。

一方、「使用語彙」とは、自分で書いたり話したりして、実際に使える言葉のことです。シチュエーションに応じて表現力豊かに語れる人は「使用語彙」が多い、ということになります。

「使用語彙」を増やすためには、積極的に語彙とフレーズを使っていきましょう。「○○という言葉の本来の意味を知っていますか?」と雑談のネタに使ってみるのもおすすめです。人に話をすることで「使用語彙」の量が増えていきます。

語彙とフレーズを積極的に使うことによって、あなたのビジネスパーソンとしての資質は飛躍的に向上していきます。周囲の人たちと円滑なコミュニケーションが図れるようになり、好意や信用も集まりやすくなります。

くどいようですが、どの言葉を使うかはTPO次第です。相手の立場や性格、相手との関係性、その場の状況などに関心を向けながら、人と会話をしたり、文章を書いたりすると良いでしょう。

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『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』(PHP研究所) 書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

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「失礼なメール」を送る人が知らないNG表現

事実!一流のメールは驚くほど「感じがいい」

「大人の語彙力」はなぜ急速に失われたのか

提供元:イラッとさせる人は「言葉選び」がなってない|東洋経済オンライン

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