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2018.03.26

仕事の効率UP|集中力が高まる「フロー状態」とは


集中力を高めて仕事を効率的に処理していくことが、長時間労働を脱するための解決法の一つです。そこで、スポーツドクターの辻秀一先生に、効率的に仕事を進めるため、集中力を高める方法とベストパフォーマンスを発揮する方法について伺いました。

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目次
-集中力の低下で長時間労働が生まれる理由
-集中力を高める「フロー状態」とは?
-集中力を高めてパフォーマンスを上げる方法
-集中力と睡眠の関係

集中力の低下で長時間労働が生まれる理由

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仕事を早く終わらせたいのに、「集中力が下がり、長時間労働が常態化してしまっている」という人も多いはず。ここでは、集中力が低下してしまう原因とその悪影響について解説します。

集中力が低下する理由

集中力や行動、そのパフォーマンスのクオリティーには、脳の役割の一つである“認知機能”が大きく関わっていると考えられています。認知機能には、周囲の状況や出来事に対して“意味付け”を行ったうえで“行動を決定する”働きがあり、一般的に“集中力が高い”“仕事ができる”といわれる人たちは、この認知機能が効率よく働き、頭の回転が早く、一つのことに没頭できる人と考えられてきました。ところが、辻先生は「認知機能だけでは、集中力を維持し、優れたパフォーマンスを発揮し続けることは難しい」と言います。

「認知機能による“意味付け”は、行動内容を決めるうえで欠かせない機能ですが、それと同時に心に感情の“揺らぎ”を生み出します。例えば、『終わらせなければならない仕事がある』という状況に対して、『嫌だなぁ』『マズイぞ』という意味付けをしてしまうと、マイナス感情をつくり出してしまうのです。この“揺らぎ”は記憶に刷り込まれるため、マイナスの固定概念や思い込みといった“とらわれ”の状態を生み、集中力やパフォーマンスに負の影響をもたらします」(辻先生)

長時間労働が生まれてしまう背景

辻先生によると、こうした“揺らぎ”や“とらわれ”の状態を“ノンフロー状態”と呼ぶそうです。ノンフロー状態になってしまうと、一つの仕事に没頭して集中しているつもりでも、心はとらわれ不機嫌な感情状態に陥っているため、クリエイティブな発想力や仕事の質が低下し、集中力もダウンしてしまうのです。

「不機嫌な感情が先行したノンフロー状態で仕事を続けていると、モチベーションは下がっていきます。この状態を放置して集中力を高めようとしても、パフォーマンスは上がらず、長時間労働から抜け出せなくなってしまうのです。また、ノンフロー状態が常態化すれば、メンタルヘルスに不調をきたし、うつなどの精神疾患を引き起こす場合もあります。

“やらされている状態”ではなく、“無我夢中で、楽しい状態”であれば、周囲の状況や環境などの外部要因に左右されないため、状況に即して最大・最適・最高のパフォーマンスが発揮でき、長時間労働も減らすことができます」(辻先生)

集中力を高める「フロー状態」とは?

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長時間労働を減らすために重要となるのは、ノンフロー状態の“やらされている状態”ではなく、“無我夢中で、楽しい状態”にすること。この状態を、「フロー状態」と呼びます。

集中力のカギを握る“フロー状態”とは

フロー状態とは、機嫌のよい感情が先行して物事を前向きに捉えることで、集中力が高まり最高のパフォーマンスを発揮できる状態です。ただし、人は生きている限り脳の認知機能をストップさせることができないため、フロー状態をキープし続けることは不可能なのだそうです。

「私たちの心は、常にフロー状態とノンフロー状態のどちらかに傾いています。そのため、集中力を高めてベストパフォーマンスを発揮するためには、普段から自分の心がどんな状態かを意識し、必要に応じてフロー状態に修正していく必要があるのです。これは、単純に“ポジティブ・シンキング”になろうという意味づけ法ではなく、心の状態を最優先し、“良い心の状態”を維持することです。自分の心に起こる気分や感情に機嫌のよい要素が多くなるよう、習慣付けることが重要なのです」(辻先生)

集中力の高い“フロー状態”のメリット

心をフロー状態にして集中力を上げることで、仕事の質やモチベーションがアップし、パフォーマンスにも大きな影響を与えます。つまり、ノンフロー状態を可能な限り回避し、フロー状態に切り替えることが仕事の効率アップの秘訣となります。

「フロー状態は、締め切りや上司などによって無理やりやらされている状態ではなく、自発的に行動しているときの心の状態なので、やりがいを限りなく高めることができ、仕事の質も向上します」(辻先生)

辻先生が講師を務めたビジネスパーソン向けのセミナーでは、実際にノンフロー状態の傾向が強かったビジネスパーソンが、フロー状態に切り替える方法を学んだことで、働き方が改善されたというケースも多々あります。

「残業続きでストレスを抱えながらも、身体的にはまだまだ頑張れると、無理して働いていた方がいました。その方に、フロー状態になる方法を継続的に実践してもらったところ、健康かつ作業時間が大幅に短縮し、プライベートの時間を確保できるようになりました。結果的に、家族との関係も改善されたといいます。さらに、周囲の状況を見ながらバランスよく集中力を発揮できるようになったため、社内の人間関係もスムーズになり、快適に仕事ができるようになったそうです」(辻先生)

集中力を高めてパフォーマンスを上げる方法

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ここぞというときに集中力を高めるためには、いつでも心をフロー状態に切り替えられるよう、訓練する必要があります。そこで、フロー状態にするために必要な3原則と、具体的な方法を紹介します。

心をフロー状態にする基本3原則

「心をフロー状態にするためには、3つの原則があります。この3原則を実践することで、いつでもフロー状態になれるスキルが身につくでしょう」(辻先生)

原則1:フロー状態についての仕組みを知る

「スキル化するためにはまず、フロー状態の意味や効果、フロー状態になる方法を理解しましょう。ただし、知識として持っているだけではスキルとは言えず、フロー状態になることはできません。以下の2つの原則も合わせて実行することが必要です」(辻先生)

原則2:フロー状態を意識・実践する

「2つ目の原則は、得た知識を実践すること。後述する『フロー状態にするための方法』を実践して初めて、自分のフロー状態を確立することができます。また、自分がノンフロー状態になっていないか、どうしたらフロー状態になれるか意識する習慣をつけることも大切です」(辻先生)

原則3:体験をシェアする

「最後に、知識を得て実践したからこそ生じる成功体験や喜びの感情を、誰かに話して共有しましょう。言葉にすることで、フロー状態につながるプラスの体験や感情を、脳に強く印象付けることができます」(辻先生)

「フロー状態」に導く方法

続いて、心を「フロー状態」にするため、すぐに実践できる方法を紹介します。

自分の機嫌は自分でとる

心の状態は、環境や出来事など、外的要因によって影響を受けることがほとんどです。そのため、不機嫌な感情が生まれてノンフロー状態になったとき、それらの外的要因を言い訳にしてしまいがちです。しかし、実は「自分自身」という内的要因によって、自分の心の状態を決定することもできます。これは、簡単に言えば「自分の心は自分で決める」ということです。

「心をフロー状態にするためのスキルを磨くには、まず環境や出来事、他人のせいにしていたことを書き出し、それらに対して『自分の機嫌は自分でとる』という意識で書き換えてみる方法がおすすめです。例えば、『仕事がたくさんあるから憂鬱だ』という考えを、『仕事をただ一生懸命やる。仕事の今できることをやる』といった思考に意識して切り替えるイメージです」(辻先生)

3つの自己ツールを使う

心をフロー状態に傾かせるためには、「表情」「態度」「言葉」の3つのツールを活用するのも効果的です。

●表情
外的要因に支配されることなく、自分の心をフロー状態に傾けるためには、「笑顔にする」ことが大切です。表情は心に生じた感情を表しているものと考えられていますが、表情が心に与える影響も無視できません。良い表情は、顔面の筋肉が「この状態でいることがフロー状態だ」と脳に思い起こさせ、心のフロー化を促してくれます。いつも機嫌の良い表情でいるためには、定期的に自分の表情を鏡で観察し、自分の決めた時間ごとに口角を上げて笑顔をつくってみるように意識してみましょう。

●態度
ノンフローな態度の代表格は、肩を落とした姿勢やため息です。また、人はノンフロー状態になると、呼吸が浅く、速くなる傾向があります。そこで、ゆっくりと深呼吸することを日頃から意識してみましょう。また、“穏やかな態度”や“堂々とした態度”、“元気な態度”は、心をフロー状態にしてくれるので、意識的に実行してみてください。

●言葉
人は、耳に入る言葉に大きな影響を受けます。そのため、「ノンフローな言葉」を耳に入れ続けると、心までノンフロー状態に陥ってしまいます。他人が発する言葉を遮断することはなかなか難しいですが、最も耳に近いところから発せられる影響力のある言葉、つまり自分の口から発する言葉を選ぶことはできます。心をフロー化するには、自ら気分が上向く「フローな言葉」を選んで発するよう、習慣づけることが重要です。そのためには、「感謝」や「感動」など、自分の機嫌が良くなる(フロー化する)言葉を書き出して、意識的に使うことが効果的です。

「好き」を考えリストアップする

フロー状態にするために欠かせないのが、「好き」という感情です。「好き」とは、理由や理屈など、認知の脳でつくり出すものではないので、固定観念が形成されにくく、“とらわれ”とも無縁な存在です。つまり、「好き」という感情を大事にすることが、自分の心を自分でフロー化するスキルとなるのです。

そこで、日頃から「好きなこと」「好きなもの」「好きなとき」を考えリストアップするようにしてみましょう。サッカーや焼肉、絵を描いているときなど、多ければ多いほど、フロー化しやすくなります。これが習慣化すると、「好き」を考えるだけで機嫌のよい感情が起こりやすくなります。

集中力と睡眠の関係

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ノンフロー状態からフロー状態に整える上で特に大切なのが睡眠前です。

「脳は24時間働いているので、日中にノンフロー状態が続いてしまうと、睡眠中にもその状態を引きずってしまうそうです。そのため、寝ようとしても日中抑え込んでいた不機嫌な感情や気分の落ち込みなどが頭に浮かび、認知機能が暴走を起こして寝付けなくなるのです」(辻先生)

睡眠不足になると、物事に集中するために必要な「ノルアドレナリン」の働きがにぶってしまい、業務効率が低下する悪循環におちいってしまいます。

「スムーズに入眠するためには、ベッドに入る前からフロー状態になるよう意識することが大切です」(辻先生)

心身を良い状態に保ちながら集中力を高めることで、作業効率は大きく変わり、長時間労働から脱することができるはず。モチベーションの向上や人間関係や睡眠の改善にも役立つ、フロー状態にする方法をぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

<参照>
『ゾーンを引き寄せる脳の習慣』辻秀一(祥伝社)

photo:Getty Images

※体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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提供元:仕事の効率UP|集中力が高まる「フロー状態」とは│フミナーズ

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